5年後
夏樹
って事で新しい製品を制作しようとしてるんだけど
夏樹
どう?
澪
そーねぇ…
澪
……まっ、少しだけなら融資入れても良いわよ
夏樹
助かるよ
夏樹
そうだ、怜は今どうしてる?
澪
怜?
澪
ああ、今はちょっと出張に行ってもらってる
夏樹
出張?
澪
ええ
澪
地球社の方に新しい警備をつけるから
澪
それの教育
夏樹
へぇ、ちゃんとやってんだな
夏樹
安心したよ
澪
当たり前でしょ
澪
誰の旦那だと思ってるわけ?
夏樹
はいはい、わーってる
夏樹
ったく…
夏樹
惚気ばっかでお腹いっぱいだっつーの
澪
うるっさ
澪
てかそっちは?
夏樹
んぁ?なにが?
澪
芽衣は?
夏樹
…ああ、芽衣は…
出張を終えて愛しい人が居る社長室の扉に指を付けると認証してウィーンと開いた
澪
はぁ?!!
澪
聞いてないんだけど!!
夏樹
今日言おうと思ってたんだよ!!
怜
?
鞄をソファーに置いて澪さんの傍に駆け寄る
澪
!おかえりなさい
怜
ただいまです、澪さん
ギュッと抱きしめると画面の向こうから親友の彼が手を振っていた
夏樹
よっ
怜
わー!夏樹くん!
夏樹
久しぶりだな〜元気か?
怜
はい!
怜
元気ですよ〜
怜
それより、今何を話して…?
夏樹
あー…
澪
芽衣がお腹に子供を授かったって話よ
怜
うぇぇ?!!!!
怜
お…おめでとうございます!!!
夏樹
ん、おう
澪
まさかそこがくっつくなんて思ってなかったから余計ビックリだわ
夏樹
んだとお?!
怜
ふふ…
怜
お似合いですよ、お2人とも
夏樹
へへ…
澪
てかそろそろ時間
澪
怜も帰ってきたし
澪
話はまた今度ね
夏樹
おう
夏樹
またな澪、怜
怜
はい!
澪
ん
ピッと通話を切断した澪さんは僕に腕を伸ばした
意図を察した僕は澪さんを抱き上げて代わりに椅子に座った
澪
お疲れ様
怜
はいっ
怜
…会いたかったです…
澪
…私も
ギューッと抱きしめてずっと感じたかった温もりと匂いを堪能する
澪
…ねえ、怜
怜
ん…はい…?
澪
…子供、欲しい?
怜
………
怜
ふへぇ?!!
突然の言葉に変な声が出てしまった
澪
ふふ…っ…
澪
顔真っ赤
怜
そ…そそそ…それは、その…
澪
なによ、嫌なの?
怜
い…いやじゃないですよ?!!
怜
で…でででも…
怜
澪さん…忙しい…です…し
怜
あまり、身体に負担…かけたく、ないです
澪
……まぁーそうねぇ…
澪
忙しい…けど
澪
ちょっと落ち着いたらどうかなぁって思ってさ
怜
っ…
怜
だ…大事に…します…っ
怜
澪さんも、
怜
澪さんとの、宝物…も…っ
澪
……うんっ…
澪
もう、離さないで
澪
ずっと一緒にいてね
澪
今度は、置いてかないで
怜
……はい…
怜
ずっといます
怜
貴女の傍に
怜
今度こそ
ここは、前世とは違う争う、戦争をする必要の無い世界
あの時、もし撃っていたら
恐らく澪さんは僕を見捨てたりはしないけど、僕は罪悪感に一生苛まれていたと思う
争いなんてものが無い世界、もう少し平和にこれからも平和に、幸せに過ごせるように
止めてくれたこの愛しい人を、沢山愛したい
そう心に誓いながら唇を何度も重ねた
fin