アメリカ
…、ッ……カナダ……?
アメリカ
本当に……カナダなのか……?
カナダ
……うん、そうだよ
カナダ
正真正銘、兄さんの弟
アメリカ
カナダ…!!
懐かしいその姿に、アメリカは思わず涙目になった
カナダ
……まったく
カナダ
なんでこっちに来ちゃうかなぁ
カナダ
てか……忘れてくれててよかったのに
アメリカ
……え?
カナダ
僕のこと、忘れてる方が気は楽だったでしょ?
カナダ
だから、みんな頑張って、僕の存在を隠してたのに
カナダ
なんでわざわざ思い出しちゃうの?
そう言うカナダの目は
どこか、悲しそうだった
アメリカ
……なんだよそれ
カナダ
え?
アメリカ
俺をみくびるなよ?
アメリカ
大事な弟のことを忘れ続けられる程馬鹿じゃねえ
カナダ
…
アメリカ
たとえ傷ついても、また立ち上がるのが俺なんだ!
アメリカ
だから……
アメリカ
だ…から……
アメリカは涙を堪えるのに必死で、言葉をうまく紡げない
カナダ
……兄さん
カナダは、そんな兄を
そっと抱きしめた
カナダ
……ごめん
アメリカ
……
アメリカ
俺の方そこ……ごめんな……
アメリカ
お前を……守ることができなくて……
アメリカ
いつもッ…守られてばっかりで……
カナダ
いいんだよ兄さん
カナダ
……僕も
カナダ
いつも兄さんに助けられてたから……
……それは、1年ぶりの
兄弟の再会だった
カナダ
……でも
カナダ
兄さんがここに来るのは、少し早いかな?
アメリカ
え…、?
カナダ
耳を、よく澄ませて
アメリカはカナダの指示通りに周囲の音に耳を傾ける
すると
ーーーー
ーーーカ!
アメリカ
……声が聞こえる
カナダ
父さんたちの声だよ
アメリカ
え……
カナダ
兄さんが目を覚ますように……ずっと近くにいる
カナダ
だから、早く戻ってあげて
アメリカ
でも……
カナダ
でもも何もない!
カナダ
……大丈夫
カナダ
また会えるから
アメリカ
…ほんとか?
カナダ
もちろん!
カナダ
……また
カナダ
夏の日にでも、会いに行こうかな
アメリカ
夏はもう嫌なんだが…
カナダ
ふふっ!
カナダ
……じゃあ、兄さん
カナダ
またね
そう言われた途端
アメリカの視界は黒に染まった
カナダ
……
カナダ
また
あの夏の日に
カナダ
……ね?
アメリカ
……
見知らぬ白の空間で目を覚ます
……いや
これは2回目の光景だ
アメリカ
……
アメリカ
ありがとな、カナダ
アメリカ
俺
アメリカ
生きるよ
アメリカ
お前の分まで
ひぐらしの声がする
空はまだ青く、入道雲が佇む
その全てが、アメリカの決意をより際立たせた







