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教室
〇〇
朝のHR直前、担任が名簿を見ながらため息をついた。
その名前が出た瞬間、周囲の女子たちが小さくざわつく。
女1
女2
女1
〇〇は静かに窓の外を見ていた。 頬杖をついて、つまらなそうに。
〇〇
学校一の美人。 静かで大人びて、いつもどこか冷めた表情をしている〇〇は、男子にも女子にも一目置かれていた。 だがその視線のほとんどが「顔目当て」であることに、彼女自身はもうとっくに気づいている。
〇〇
そう思っていた——その日までは。
昼休み、校舎裏。
誰も近づかない裏庭に、〇〇はひとり、文庫本を手にして座っていた。 静かで落ち着く、お気に入りの場所。なのに——
渡辺翔太
低い声に顔を上げると、タバコの煙とともに現れたのは、金髪の男。 黒のパーカーを羽織って、制服は着崩し放題。鋭い目つき。
——渡辺翔太だった。
〇〇
〇〇は無言で立ち上がった。 目も合わせずにその場を去ろうとすると——
渡辺翔太
声に思わず足が止まった。
〇〇
バッと振り返ると、渡辺は〇〇の表情を面白そうに見ていた。
渡辺翔太
〇〇
渡辺翔太
〇〇
ツンとそっぽを向いて歩き出す。 でもその背中に、ふわっと笑うような声が聞こえた。
渡辺翔太
——あの日から。
なぜか、渡辺翔太は〇〇の前にちょくちょく現れるようになった。
ある日。自販機の前で飲み物を選んでいると、突然横から手が伸びて、同じジュースに触れた。
渡辺翔太
〇〇
渡辺翔太
〇〇
渡辺翔太
ふざけたように笑うその顔。 ……イラッとする。のに、目が離せない。
〇〇
ふと、渡辺が笑わずに真剣な顔をする瞬間を見た。 教室で、友達の佐久間と笑ってるのとはまるで違う。 瞳が鋭くて、冷たくて、でもどこか寂しげで。
……気づけば、目で追っていた。
〇〇
その日の帰り道
渡辺翔太
背後から声がして振り返ると、そこには制服を着崩したまま、バイクの前に立つ渡辺翔太。
渡辺翔太
〇〇
渡辺翔太
〇〇の手首を軽く掴んで、自分の方へ引き寄せる。
〇〇
渡辺翔太
〇〇
鼓動が、うるさい。 顔が、熱い。 なのに目は、そらせない。
渡辺翔太
〇〇
〇〇は顔を真っ赤にして、渡辺の手をふりほどいた。 けどその目には、初めて見るような輝きが宿っていた。
〇〇
——恋なんて、興味ない。 でも、もしそれがこの人なら。