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sutie
何事もなく、 学園から帰ってきて早数分。
俺は学生服から着替えもせず近くの椅子に座り込んでいた。
sutie
出た言葉はそれだけ。
力が抜けたかのように、椅子にへたり込む。
sutie
学園の疲れもある中、俺はとある1つのことが気になり始める。 そう。それは、すちえの男の子の姿。
実際、すちえの容姿は 咲 には劣らないくらいの美貌をしている。 それは、この指輪(性別変換機)のお陰か、それともすちえの本来の姿が綺麗だからか。
どちらにせよ、原作ではすちえの男の子姿なんて見たことは無い。 だからこそ、余計気になった。
ただ、1つ課題があった。
それは__
sutie
そう。男の子の戻り方。
俺は 咲 の事はよく知っている。 だが、 すちえ のことはあまり……というより全く知らないと言っても過言では無い。 だからこそ、この指輪(性別変換機)の使い方なんてサッパリだし、そもそもこの存在をこの世界に来て知った。
sutie
あれ、、詰んだ……?( ᐛ )
sutie
ふと思い出したのは、“魔力”というこの世界独特の物。 前世の世界では存在しなかった“魔力”だが、今世は魔力がある。
散々アニメの世界を見てきた俺は、魔法がどのようなものかも案外知ってるし、理解もしている。
《魔法はイメージ》
その言葉が、安直に頭へと思い浮かんでくる。
sutie
sutie
その時その瞬間、俺は生きてきた人生で初めて、「男の子に戻りたい」そうイメージした。
指輪が突如として光る。
周りに白い煙のような隠す為のような物が出てくる。
咄嗟に目を閉じた。
???
白い煙が収まったあと、俺は急いで鏡の前に立つ。
そこには___
緑色の髪色。 それに黒メッシュが入った短髪。
赤色の瞳。
suchi
鏡の前に映る少年は最早、悪役令嬢「すちえ」ではなく、ただの男の子。 俺はこの時、「すちえ」ではなく、「すち」という男の子なのだろう。
初めての事であまりまだ実感は分からないが、鏡に映る姿がその思考を形どっていた。
というか、男の子の普段着は黒パーカーにジャケットを羽織っているような服。
とても動きやすくて、学生服よりもいいのではないか?と思うぐらい俺に合っていた。
………とは言っても、流石に普段でもこの姿では出向けない。 周りには俺は「すちえ」として女性として認識させてしまっているのだから。 もしこれで、俺が「すち」として男性として出たら間違いなくやばいだろう。 世間的にも、俺からしても。
ってな訳で、男の子の姿で居られるのは、1人の時だけだな。 少し残念に思いながらも、その考えを改めて固めた。
明かりが一切灯っていない書棚。
Ameno kosame
*ボッ*と音を立てて赤い炎が指の先に灯る。
*コツコツッ*
静かなこの場に歩みを進める1つの足音が響く。
とある書棚の前で進んでいた歩みが止まる。
目当ての本が瞳の中に映る。
書棚の中にある1つの本を手にとる。
Ameno kosame
手には「見惚れの悪魔呪い」という題名の本があった。
……そう。俺が手に取ったのは、「見惚れの悪魔呪い」という題名の本。 それは、人類の敵である“女性悪魔”のみが使える魔法とされている「呪い」について詳しく書かれた本だった。
傍にある椅子に座り、足を組む。
表紙とページを数枚めくる。
めくった後にはずらりと文字が並んでいる。
……昔の自分なら絶対こんな本なんて読んでなかっただろうに。
-見惚れの悪魔呪い-
このお話は、実際にあったお話。
とある町に、性格が穏やかで、誰にでも優しく笑顔を向ける1人の少女が居た。 みなは、その少女に惚れ、常に守り愛した。
そしてその街の国王。 国王の5人の子供すらその少女に見惚れ、優遇した。
そう。 国民は、国王、国王の子供達は1人の少女に手の中で踊らされているかのように動き、操られた。 人々は、その現象を「呪い」そう口々に言ったそう。
そんな所に、1人の男の子が現れた。 彼は愛を知らず、 恋というものには億劫。
そして、1人の少女にはないような性格を持っていた。 それは自己犠牲という、 自分を犠牲にする性格が少年には癖で身についていた。
それを見た国王の5人の子供達はそちらの少年に興味を持ち、惹かれる。
そしていつの間にか、 1人の少女に注がれていた愛は、いつしか1人の少年へと徐々に移り変っていった。
愛を貰えず、愛に飢えた1人の少女は遂に本性を表したかのように、狂った。
人々を✘し、傷つけ、 街を血色へとに染め上げた。
その後少女は、 1人の少年と愛していたはずの5人の王子に倒される。
後に少女は、「悪魔」と呼ばれ始める。 ただ実際、その少女の種族は “悪魔”だったそう___。
その事が時代に刻まれたと同時に、 「悪魔」が生まれ始める。 その為、現在の「悪魔」が居るのは、今回のお話の1人の少女が関係しているのでは。 世間ではそう騒がれている。
また1人の少女は 「見惚れの悪魔」と別名すら付けられた。
パタリと本を閉じる。
Ameno kosame
少し、昔から違和感を感じていた。 初めて恋心を抱いた 咲 ちゃんに対して。
異様にどっぷりの彼女に沼ったのだ。 俺らの関係は、彼女に愛を注ぐのを反対に彼女に愛を注いでもらう。 そんな関係を保っていた。
そして、彼女との関係を邪魔する物を近づけないようにだってしていた。 それくらい、深く沼り、堕ちていた。 ただ、そんな状況が雰囲気が異様に変わってしまった1人の少女によって錆びていた歯車が動き出すように変わる。
それが「すちえ」なのだ。 そして、俺は彼女に興味を持ち惹かれた。
どん底に堕ちた 咲 の愛情の沼りから連れ出すように、引っ張り出すように救ってくれた。 確かに。こさは、咲 と愛情を注ぎ合っていた。だが、どこか足らぬ感情が微かに胸に残っていた。 それは自分には分からないし、彼女自身も答えてはくれず、ずっとさ迷っていた。 ただそんな感情がはっきりとわかったきっかけが「すちえ」 その感情が分かった途端。不思議と彼女(咲)に向いていた恋心は無くなった。どうでも良く感じたのだ。
本当にこの物語(見惚れの悪魔呪い)の国王の5人の子供と同じように。
もちろん。全部が全部。 咲 を疑いたい訳じゃない。 ただ、一致しすぎている。この本との描写が、現状が。
Ameno kosame
Ameno kosame
苦笑する。
これは、自分の考えだけで、思いとどまって欲しかった。 現実に、して欲しくなかった。
してしまえば、彼女は、咲 は 「見惚れの悪魔」になってしまうのだから。
願った言葉は、暗い空間に飲み込まれ消えてゆく___。
まるで、神様が許していないかのように。
6話 見惚れの悪魔呪い _ 𝐟𝐢𝐧𝐢𝐬𝐡
コメント
8件

やばいほんとにすきすぎる。 毎回思うけど、作品作るの上手すぎますっ! 続き待ってますっ!
咲ちゃんが…?! 続き待ってます🐤

見惚れの悪魔呪い…見てて思ったけどやっぱり咲達の関係に似てるよね、本当にこんな感じになったりして……続き楽しみです…!