私は生まれつき目が見えない。
何も見たことが無い。
中学校までずっと
いじめられていた。
この目のせいで。
迷惑をかけていた。
この目のせいで。
景色が、みんなの顔が
見てみたいと
何度思った事だろう。
でもそんな事が
叶うはずがなかった。
いくら病院に行っても
いくら治療に行っても
変わることはなかった。
期待した私が馬鹿だったみたい。
すごく追い詰められた。
どうしようもない
絶望感に。
もう消えてしまおうか。
なんて、初めて思った。
やっぱり馬鹿だなぁ。
私。
せっかくもらった
大事な体。
捨てるなんて。
でも、
聞きあきたんだよ。
今を精一杯生きなさい。
とか
決してあなたは不幸じゃない。
とか。
大人の言うこと。
だって私
これでも精一杯
生きてるのに。
頑張ってるのに。
すごく、侮辱されたみたい。
私の生き方を。
これから私は
どうやって生きたらいいの?
目も見えなくて
何もできないのに。
点字も覚えようとしても
難しかった。
覚えれなかった。
この18年
いろんな事をした。
キャンプに行ったり
水族館に行ったり
お母さんとケンカしたり、
夏祭りに行ったりして
なんだかんだ
楽しかったのかも。
でも、やっぱり
普通の人と比べたら
出来ることは少なかった。
プールも泳げなかったし
一人で、おつかいなんか無理だった。
一人じゃ何もできなかった。
だけど、今は何でもできそう。
こうやって
ビルの屋上にも
一人で上がれた。
後悔ばかりの人生だったな。
染々そう思う。
さぁ。
希望を持って
空を飛ぼう。
勇気を持って
鳥になろう。
ヒュー
私は空を飛んだ。
一瞬だけ
綺麗な空が
見えた気がした。
コメント
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こんな事が起こらないように私は願っています。
超短編ですが、見てください。