生きる意味を 失った俺が
最後に恋をしたのは
華奢で小さな少女だった
最近体調が 優れなかった俺は
病院へ診察しに行った
その結果がこれだ
すでに病魔が俺を むしばんでいたため
あとは死を待つだけ という残酷で暗い日々
柊花 太樹
…まぁでもいい機会かもしれないな
柊花 太樹
最近何もかも上手くいかなかったのも事実だから。
生きる意味を完全に 失ってしまった俺
これからの事を 考えるのも面倒なので
散歩に出て気分転換 しようと思った
柊花 太樹
…どうせそのうち動けなくなると思うからな。
柊花 太樹
何もかも忘れられたらいいのに…
柊花 太樹
…ちょっと座ろ
ちょっと歩いただけで 疲れてしまう
こんなにも病状が 出ていたのに
俺は気づけなかったんだな
…もしかしたら
目を背けていたのかもしれない
柊花 太樹
みんな幸せそうだな…
笑顔で走り回っている 子供たちを眺めながら
俺は1人の少女に 視線を移した
柊花 太樹
あの子…何してるんだろう
柊花 太樹
他の子と一緒に遊ばないのか…?
少女はしゃがみこんで 何かを摘んでいる
するとまわりを キョロキョロし始めた
柊花 太樹
…今度は何をしようとしてるんだ?
すると少女は
真っ直ぐ俺の方へと 歩み寄ってきた
柊花 太樹
…え?
金木 美咲
ふふっ…!
金木 美咲
ねぇ、お兄ちゃん!
金木 美咲
このお花あげる!
…それは赤い綺麗な花
柊花 太樹
(こんな綺麗な花が近頃の公園で咲いているのか…)
柊花 太樹
…どうして僕にお花をくれたんだい?
金木 美咲
んー…
金木 美咲
なんか悲しそうな顔してるなと思ったのあるけど
金木 美咲
私がね
金木 美咲
貴方のこと…好きだなって思ったからだよ!
柊花 太樹
…?
金木 美咲
ほら、こうやってちゃんと目を見て話してくれる。
金木 美咲
そして…私があげたお花を受け取ってくれた。
正直、そんなに意識して 行動していなかった
ただ純粋な気持ちを
少女は俺に伝えてくれた
柊花 太樹
…ありがとう。(((ニコッ
俺は…恋をしてしまった "気”がする
金木 美咲
どういたしまして!
金木 美咲
その花の花言葉はねー
もし、この恋の心情を 読み取るのであれば
金木 美咲
片想い、だよ!
柊花 太樹
…っ
その心情は
『ありがとう』
柊花 太樹
…ねぇ
金木 美咲
ん?
金木 美咲
どうしたの?
柊花 太樹
僕ね、君に恋しちゃったみたい。
金木 美咲
こい?
柊花 太樹
君のことが好きってことだよ。
金木 美咲
じゃあ、わたしも
金木 美咲
貴方に恋をしてるんだね!
柊花 太樹
…そうかもしれないね。
生きる希望を 失っていた俺に
いきる笑顔と生きる大切さを 少女はくれた