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この大学は学年末に行われる厳しい試験に合格しないと進級させてもらえず、留年する学生も多かった

特に斉藤教授は厳格で、真面目を美徳とし、融通がきかなさすぎるため、学生の中でも悪い意味で評判だった

斉藤教授は、学生と交流して人気を得る他の教授を軽蔑し、学生の顔や名前などは覚えようとも思わなかった

いよいよ学年末試験のシーズンがやってきた

斉藤教授

これから問題用紙を配る

斉藤教授

解けた者から順に、この机の上に答案を置いてでるように

斉藤教授

解答時間は2時間

斉藤教授

少しでも提出が遅れるようなことがあれば、その者の答案用紙は受け取らないので、そのつもりで

答案用紙を提出できないとういことは、すなわち0点ということで、留年できなくなるという意味だった

全ての学生に答案用紙が行き渡った

斉藤教授

はじめ!

試験問題は、2時間をめいっぱい使い切って終わるかどうかという膨大な量だった

佐々木

遅れてすみません

佐々木

先生、僕にも問題用紙をください

斉藤教授

今からでは、もう、最後までやる時間はないと思うがね

斉藤教授

(遅刻をする学生が大嫌いなんだが、時間内に来たため試験を受ける権利はあるだろう、少なくとも残りの時間は)

斉藤教授

(しかし、残りの時間で試験問題が解き終わるはずがあるまい)

斉藤教授

ふん、時間の無駄だろうが、せいぜい頑張りたまえ

佐々木

(急げ、急げ)

佐々木は必死に問題に取り組んだ

いよいよ、試験が終わる時間が迫ってきた

ギリギリまで答案用紙を見直していた学生たちも、1人、また1人と答案用紙を提出して去って行った

斉藤教授

そろそろ試験終了だ

そう言うと、残っていた学生たちも皆答案用紙を提出して去って行った

試験終了から3、4分経ったときだった

佐々木が試験を解き終わり、自分の答案用紙を提出しようとしたのだ

斉藤教授

なんだね、君は

斉藤教授

まだいたのかね

斉藤教授

だめだ

斉藤教授

もう、時間切れだ!

佐々木

先生は、私が誰だか知っているんですか?

斉藤教授

(なんだこの学生は)

斉藤教授

このクラスに何人の学生がいると思っているんだね

斉藤教授

君の名前だど知らんよ

佐々木

ということは、先生は、私の父親が、誰であるかも知らないってことですか?

斉藤教授

(なんという学生だ)

斉藤教授

(おそらくこの学生の父親がなんらかの権力をもった地位についているのだろう)

斉藤教授

(どうだとしてもこんなふうにコネを使う人間は大嫌いだ)

佐々木

まさか先生は、私の一族のことを知らない訳では無いですよね

佐々木

私の顔を見ても分かりませんか?

斉藤教授

(この学生め…)

斉藤教授

君が誰であるかなど、私は知らんし、興味もない!

佐々木

本当に、私が誰だか知らないのですね?

斉藤教授

知らんと言ったら知らん

斉藤教授

たとえ君の父親がこの国の大統領だろうが、今日の試験にはなんの関係もない!

斉藤教授

君の顔も知らんし覚えるつもりもない

斉藤教授

君などは、遅れて答案を出した卑怯者でしかない

佐々木

ああ、よかった

そう言うと、佐々木は答案用紙の束の半分ほどを持ち上げ、その中に自分の答案用紙を差し込むと、きれいに角をそろえて去って行った

斉藤教授の前には800人分の答案用紙の山だけが残されていた

もう、彼の答案がどれだかは分からないだろう

それどころか、学生には興味のない斉藤教授の記憶からは、佐々木の顔さえ消えていた

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