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偽善…?どういう事?私は、別に…

「人の気持ちが痛いほど分かる」なんて、バカみたい。

それは……!!

そんなおバカさんに教えてあげる。貴方は人の気持ちなんて1ミリも分かってない。

違う!!!

違わない。貴方が適当にそう感じ取ってるだけ。本当は、気持ちなんか理解してない。

違う!!

思い出してみて。言われたでしょ?彰人にも。

「貴族なんかに…俺の気持ちが分かるかよ」

!!

彰人は貴方が思うよりずっと、苦しい思いをしてきたはず。なのに、それを今まで何不自由なく暮らしてきた貴方に分かるの?

分かるわけないじゃん。

それは…

あと、貴方は自分の過去についてこう言った。

「昔から人の気持ちが自分のことのように嫌なほど理解することができたんだよね。けど、私の気持ちをそれだけ理解してくれる人はいなかった。」

あたかも、自分可哀想、みたいに。

違う!!そんなんじゃない!

あんたは人の気持ちを理解してるんじゃない、あんたの妄想を押し付けてるだけ。ほんとに、迷惑な偽善者。

違う…違う……私は、ただ…

私は…みんなに…

待って、当ててあげる。

「笑顔でいて欲しかった」でしょ?本当に、うんざりするよ。

〜〜〜〜!!!

嫌ッ!!貴方はなんなの?!試練って何?!

貴方が偽善者でなくなること。

は?

それが試練だよ。

そんな…だから、私は偽善者なんかじゃない!!

私は本当に分かるの!!嫌になるほど、痛い気持ちも、苦しい気持ちも、辛い気持ちも!!

だけど、楽しい気持ちとか、嬉しい気持ちとかは分からなかった!!ううん、分かりたくなかったの!

自分より他人が幸福なのが嫌だから?

……そう、なのかな。分からない、そうなのかもしれない。

私は…たしかに何不自由なく過ごしてきた。けど、誰よりも孤独だった。

私はみんなの気持ちを理解できたけど、みんなは私の気持ちを理解してくれなかった。ううん、しようともしてくれなかった。

まだ悲劇のヒロイン気取りでいる気?

やめて!!そんなんじゃないから!

貴方、本当に人の気持ちを理解する気ないでしょ。

そんなわけない!

…なら、彰人のあの言葉、あんたはどう捉えた?

「貴族なんかに…俺の気持ちが分かるかよ」

え?あれは…過去に貴族と何かあった彰人が、貴族の私にイライラして…

違うでしょ。本当に分かってない。

彰人はね、貴方を信じてたの。貴族は貴族でも、杏は違うって。最後の希望に、この言葉を投げかけたの。

何も分かろうとしてない。こんなんじゃ、「共感」なんか使いこなせるわけない。

それは…

人の気持ちなんて、その人にしか分かるわけないじゃない。貴方は間違ってる、いい人振って演じてる。

そ…んな、ちが…

カイト

(この子は人一倍優しい。けど、自分よがりなところがある)

カイト

(それに気づき、本当に人の心に触れようとした時、「共感」はさらに花開くだろう。)

カイト

(ただ、この子がそれに耐えられる精神力があれば…だけどね。)

こはね

あの…2人とも、どこ行っちゃったんですか?

カイト

試練の扉は、開く人によって行き先が変わる。だから本人にしか分からない。

こはね

青柳くん…私も行ってくるね。

冬弥

…そうか、

こはね

カイトさん、お願いします!

カイト

もちろんいいよ。さぁ、扉を選んで。

こはね

ギィィィィ

こはね

ハッ

こはね

あ、あれ?真っ暗…ここはどこ?

こはね

あ、杏ちゃん!!

え?こはね?

こはね

あ、東雲くんに青柳くんも!ねぇ、ここはどこか知ってる?

こはね、悪いけど、私たちもう仲間じゃないから。

こはね

え?

彰人

お前みたいな役立たず、仲間に入れてる方が馬鹿らしいだろ。

冬弥

足でまといは御免だ。

こはね

あ…え、ねぇ、私何かした?

「何もできない」からだよ。もう話しかけないで。

こはね

!!

こはね

ねぇ、待って!私も能力使えるようになったよ!みんなと同じように…

彰人

お前、俺らと対等だと思ってんのか?

こはね

冬弥

彰人、もう行こう。時間の無駄だ。

みんな何してるの?

こはね

え?!わ、私?!

こはねぇぇ!!♡私の相棒!

わっ、ふふ、杏ちゃん〜

こはね

ね、ねぇ!貴方は何?私がこはねだよ!

彰人

は?何言ってんだ?

冬弥

お前とこの小豆沢は違う。

こはね

え…でも、私もこはねだよ、

「役立たずの方」のこはねでしょ。

こはね

役……立たず?

いつもみんなに守られて、見てるだけ。何も力になれない。そんな存在、いても邪魔なだけ。

けど、私は「強い」。だから、杏ちゃんもみんな、私を選んだ。

こはね

そ…んな、

こはね!行こっ!♡

うん!

彰人

チッ、時間が無駄になっちまった

冬弥

ああ、全くだ。

こはね

(違う、違う、言い返したいのに…)

こはね

(なんで、何も言えないの…?)

こはね

(この暗闇の中で、ずっと一人ぼっちなの?そんなの…そんなの、嫌だよ…)

こはね

杏ちゃん…

こはね

東雲くん、青柳くん…

こはね

分かってる。これは試練。みんなはあんな事絶対に言わない。

こはね

なのに…!なんで、言い返す言葉が見つからなかったの…?

こはね

理由は分かってる。あの私が言ったことは、全て自分が1番思ってた事だからだ。

こはね

どうすればいいの……

こはね

嫌だよ、杏ちゃん…

カイト

(あの子は自己肯定感が低い。まぁ、だからこそ「犠牲」が使えたんだろうけど。けど、それだけじゃ使いこなせない。)

カイト

(この子にはもっと自分がどんな存在かを理解して、自分を強く持つ意識を持たせないといけないな。)

カイト

(強い能力は、使い手を呑み込んでしまう事もあるから。)

冬弥

……

カイト

(それにしても、1番の問題はこの子かな。)

カイト

(少し震えてる…いつも何かに怯えているようだ。それにしても、どうしてこんな所に…)

カイト

行かないのかい?

冬弥

え、あ……

カイト

何がそんなに怖いの?

冬弥

分かりません…何も分からないから、怖いんです…

カイト

へぇ…けど、強制はしないよ。好きにするといい。

冬弥

(俺も行きたい…彰人を守れるように強くなりたい…なのに、どうして足が動いてくれないんだ…!)

カイト

彰人くんとは、昔からの知り合い?

冬弥

え?あ…いえ。3年前、俺が倒れてた所を彰人が拾ってくれたらしく…

カイト

倒れる前のことは?

冬弥

…全く、覚えてないんです。

カイト

(この子はたしか、「虚空」の能力者…心にポッカリ穴があくのは珍しい事じゃないけど…)

バンッ

冬弥

?!

カイト

…やぁ、おかえり。

彰人

ハァッ、ハァッ、ハァ……

冬弥

彰人!大丈夫なのか?!

彰人

…ッ、

カイト

ギブアップ…かな?

彰人

駄目だ……どうしても無理なんだ…アイツだけは、絶対に許せねぇ…

冬弥

彰人…?

彰人

ごめん、冬弥。お前との約束、守れなかった…

冬弥

約束?

カイト

うん。まぁ、予想通りだよ。

カイト

多分、そろそろもう1人も帰ってくるよ。

バンッ

う"っ、ぅう、もう嫌!!!

冬弥

白石!どうした?大丈夫か?

うっ、うわぁぁぁん!!(泣)

カイト

やっぱり耐えられなかったか…

冬弥

一体何をしたんですか?あの扉の先には…何があるんですか?

カイト

それは自分で確かめないと、ね?

冬弥

…っ

カイト

(さて…もう1人の子はどうかな…)

こはね

暗い、暗い、暗い…

こはね

私は…役立たず?

こはね

違う……私は役立たずなんかじゃない、杏ちゃんの相棒…

こはね

杏ちゃん……なんで、私なんかを相棒にしたの?

「こはね?貴方こはねって言うの?」

「私は杏!よろしくね、相棒!」

こはね

こはね

ううん、きっと理由なんてない。けど、杏ちゃんが私を選んでくれた。それが、きっと答えなんだ。

こはね

私は……役立たずかもしれない。けど、役立たずでは終わりたくない。

こはね

そう、私は「犠牲」のこはね。みんななために犠牲になれば、役に立てる存在。

こはね

私は役立たずなんかじゃない。与えられた役割は果たしたい!

こはね

杏ちゃんのためなら私は…いくらでも強くなれる!

パァァァァ

こはね

きゃっ!ま、真っ白な空間…?

こはね

ここはどこだろう…

こはね

(けど不思議。さっきよりも楽になったみたい。)

こはね

(今なら…どんな事が起きても、怖くないや!)

よくここまで来たね、こはね。

こはね

だ、誰…?

こはね

(真っ白で大きい…蛇?)

私がお前に力を貸してあげよう。

これでもう、大切なものを失わないようにね。

こはね

貴方は…誰?私、貴方の事知ってる…?

……さぁね。この扉の先が、出口だ。

大丈夫。私はいつも、こはねの傍にいる。

こはね

…パール伯爵?

ギィィィィ

こはね

…あれ、みんな?

カイト

やぁ。1つ目の試練、合格だね。

こはね

えっ、あ、今ので合格ですか?

冬弥

小豆沢…お前、何ともないのか?

こはね

どういうこと?

彰人

俺らは…クリア出来なかった。

こはねぇぇぇ…

こはね

…!

彰人

けど…カイトさん、もう1回お願いします。

カイト

うん、いいよ。

彰人

冬弥、もう1回行ってくる。

冬弥

彰人…分かった。

ギィィィィ

こはね

東雲くん…クリアできなかったって?

私も彰人も、ギブアップしたの…

どうしても……耐えられなくて。

けど…こはねも、クリアしたんだもんね!私も頑張らなきゃ!

カイトさん!お願いします!!

カイト

うん。どうぞ。

こはね、行ってくるね!

ギィィィィ

こはね

青柳くんは…

冬弥

すまない、俺は…まだ、行けていない。

冬弥

だが、少し決心がついた。

冬弥

カイトさん、お願いします。

カイト

うん、分かった。

ギィィィィ

彰人

…フー

彰人

(そうだ、そうだ。元から、こんな能力なんて無ければ良かったんだ。)

貴族の女

~~~~~~~~?~~(笑)

彰人

初めから、こうしとけば良かった。

グサッ🩸

貴族の女

(#)'3`;;)・;'.、グハッ

彰人

能力なんかに頼らず、自分で殺しとけば…

グサッザシュッブシュッ🩸

貴族の女

ピクピク…

彰人

…っはは、どっちがドブ鼠だ

彰人

あ………

貴族の女

シーン

彰人

なんだ…?場面が戻されない?てことは、これが正解だったのか?

彰人

けど、これじゃ俺は能力に目覚めないはず。という事は、俺が能力を持ったのは間違いだった?

彰人

は…分かんねぇ…

子供

お母さん……?

彰人

!!!

子供

ねぇ、お母さん…大丈夫なの?

子供

お母さん、お母さん、お母さん…

彰人

(そうか、コイツにも子供がいて…いなくなると、悲しむ人がいる。)

彰人

(それを、勝手に殺して奪うことは許されるのか……いや、答えはわかってる。)

彰人

(それより、この子供…)

彰人

おい、お前、その痣どうした?

子供

痣…?お母さんが、毎日蹴るの。叩くの。でもね、私が悪いの。私の出来が悪いから…

彰人

!!

子供

でもね、私お母さん大好きだよ。だって、頭を撫でてハグしてくれるんだもん。

彰人

…ははっ、やっぱり屑じゃん

子供

ねぇ、なんでお母さん動かないの?

彰人

(…誰か、俺に天罰を与えてくれ。)

能力「天罰ーネメシスー」発動

彰人

!!

パァァァァ

彰人

ハッ

彰人

ここ…どこだ?!

彰人

あ、扉……あれか!

彰人、お前はあれでいいと思ってるのか?

彰人

親父?!?!

彰人

おま、勝手に秘宝とか探しに行きやがって!勝手にいなくなりやがって…!!

それは…すまない。だけど、どうしても行かなければいけなかったんだ。

それより、なぜ貴族の女を殺した?

彰人

俺の母親を殺したのはアイツだ。それに、俺を騙しやがった。死んで当然だ。

本当にそう思っているのなら、まだお前にこの扉を開ける資格はない。

彰人

は?!

お前は「怒り」の制御が出来ていない。それが出来なければ、「天罰」は使いこなせない。

彰人

そんなの…どうしろってんだよ

簡単だ。「怒り」をコントロールできるようになれ。

彰人

怒りを……コントロール…

そうだ。「怒り」任せの能力は、身を滅ぼす。正しいことにだけ、その能力を使いなさい。

彰人

正しい…事にだけ……

彰人

ハッ

彰人

…あのクソ親父が、、

貴族の女

~~?~~~~~(笑)

彰人

(…けど、今回はもう、大丈夫だ。)

続く!!

この作品はいかがでしたか?

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コメント

13

ユーザー

なんかもう…こはねが大事にしてる蛇さんみてなんかもううわぁー!!(இωஇ`。)ってなりましたわ

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