透の家 リビング
夜笑
はぁ...はぁ...
椿
あら?もう終わり?
椿
私はただ避けてるだけよ?
舞
どうして...私達の邪魔を...するの...?
椿
アナタは記憶喪失なのかしら?
椿
私は邪魔をするなって言ってるの。アナタ達はまだ分からないの?
舞
私達は...あの人を...助けたいだけ...
椿
靴屋から出て行って、こんな家にいる分際でよくそんなことが言えるわね
椿
今更心変わりしたところで、もう遅いわ
椿
...あら?もうこんな時間。そろそろかしら?
夜笑
そろそろって?
椿
ああ、もう天文台に行っていいわよ
夜笑
なっ⁉︎何のつもり?
椿
計画は10時開始だもの
夜笑
10時?何を言ってるの?まだ8時20分でしょ?
椿
何言ってるの?リビングの時計、2時間遅れてるわよ?
夜笑
...は?
街中
舞
ちょ...ちょっと...待って...
夜笑
早く着いてきて‼︎
舞
何も...はぁはぁ...走らなくても...
夜笑
仕方ないでしょ...はぁはぁ...タクシーが...一台も通ってないんだから...
夜笑
(彼女があの家にやって来た理由、まさか開始までの時間稼ぎだったとは...‼︎)
夜笑
(早く...早くしないと...)
舞
っ⁉︎姉さん...“アレ”‼︎
舞が指を指す方向を見ると 上空に桃色の何かが 浮かんでいるのが分かった。
夜笑
“アレ”は...
夜笑
夜笑
小春っち⁉︎何で飛んでるの⁉︎
夜笑
(いや、今はそんなことどうでもいい...‼︎)
夜笑
...ということは天文台はあそこだ‼︎
夜笑
舞、ラストスパートだよ‼︎
舞
ま、待ってぇ...
聚楽市天文台 入り口
夜笑
はぁ...はぁ...やっと...着いた...
舞
はぁ...はぁ...
夜笑
(今のところ小春っちに問題はなさそう)
夜笑
(でも銃を持ってるから、注意して説得する必要があるかもしれない...)
舞
はぁ...はぁ...
夜笑
舞、大丈夫?
舞
う、うん...だいぶ喋れるように...はぁ...なった...
夜笑
じゃあ行こう、小春っちを助けに‼︎
そしてウチらは最後の力を 振り絞り小春っちの元へ 急いだ。
聚楽市天文台敷地
夜笑
随分広いね...
舞
ここは...広場?
夜笑
いや、あの建物...ひょっとして図書館?
舞
じゃあ...ここは図書館の敷地の一部なの...?
天文台内は異常に広く 不気味なほど静かだった。
舞
ねぇ...あの人のいる場所ってバラ園じゃないの...?
夜笑
バラ園?
舞
入り口にあった掲示板の...案内図を見たら位置的にバラ園だったよ...
夜笑
それを早く言ってよ‼︎無駄足じゃん‼︎
舞
いや...でも今私達がいるのは...バラ園と建物の間の道...だから...
舞
こっから...バラ園の入り口を...探せばいい...
舞
入り口は...全部で5箇所ある...らしい...
舞
でも4箇所工事中だから...今入れるのは...1箇所だけだって...
夜笑
その入り口ってこの辺りにある?
舞
うん...多分...
舞
あ‼︎あれかも...
舞の言う場所を見ると 一箇所だけ進入可能な 場所が確認できた。
夜笑
よし、あそこまでスピード上げていくよ‼︎
ウチらはバラ園の入り口へ 無我夢中で向かった。
しかし、この時 ウチはもっと 警戒すべきだった。
夜笑
さあ、こっからどっちに進めば
ピーーーッ
夜笑
えっ?な、何の音...
ドガァァンッ‼︎
夜笑
夜笑
は?
一瞬、何が起こったのか 理解ができなかった。
しかし、それは 嫌でもすぐに理解できた。
夜笑
な、何で...
小春っちが何者かに 撃ち落とされたのだ。
夜笑
小春っち...?小春っちぃぃぃッ‼︎