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🌹 おまけエピローグ ―あの日の続き―
放課後の教室は、夕日がゆっくりと溶けていくような光に染まっていた
菜月
菜月が鞄を肩にかけて笑う。 あの日泣きながら笑っていた彼とは、もう少しだけ表情が柔らかい。
紬は頷き、ふたりは並んで下駄箱へ向かう 歩幅が自然と揃っているのが嬉しくて、紬は少し頬が熱くなる。
学校を出ると、夕風がふたりの間を抜けた
紬
菜月
そう言いながら、菜月は少し照れたように目をそらす。
その仕草がかわいくて、紬は笑う。
紬
菜月は一瞬だけ目を見開き、 すぐに優しく微笑んだ。
菜月
公園は夕日でオレンジ色に染まり、 風が木々を揺らし、優しい音が響いていた
あの日と同じブランコ。 同じ夕日。 でも、すべてが違って見える。
ふたりでブランコの前に立つ。
菜月はゆっくりとポケットを探り、 小さく折りたたまれたハンカチを取り出した。
紬は思わず息をのむ。
紬
菜月
菜月はハンカチを紬の両手にそっと乗せた
菜月
菜月
紬の胸がじんわり熱くなる。
紬
菜月は照れたように笑い、 紬の頭にそっと手を置く。
菜月
紬は顔を上げる。 菜月は優しく、まっすぐに紬を見ていた。
風が吹き、夕日の中でふたりの影がひとつに重なる。
――過去の痛みはもう、 ふたりで包み込んだから。
これからは、“幸せな記憶”だけを増やしていけばいい。
紬と菜月は手をつないで歩き出した。 未来はまだ白紙だけど、 そこに描かれるのはきっと温かい色ばかり
赤く染まる空の下、 ふたりの運命の糸は、より強く、より優しく結ばれていた。
――これは、ハッピーエンドの先の、 ふたりの幸せな日常の物語。