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鏡花は言われた通り、夜叉白雪を呼ぶ。

その姿を見て太宰は満足そうに笑った。

太宰治

……もう、そろそろかな

太宰がそう呟いた時、感じたことのある気配が後ろからした。

と、いうより、大きな音が鳴り響いた。

鏡花は勢いよく後ろを振り返る。

そこにはエレベーター付近の壁がぽっかりと空いていて、その真ん中に探偵社の人たちがいた。

泉鏡花

……! みんな……

江戸川乱歩

ねえー! もうちょっと丁寧にできなかったのー?!

国木田独歩

まさか、壁をぶっ壊すとはな……

芥川龍之介

こちらの方が早いだろう。それに、どうぜ異能を使うのだ。

芥川龍之介

早いに越したことはない。

谷崎潤一郎

そういうものかな……?

探偵社の人たちが鏡花、太宰の元へと駆け寄っていく姿を見て、

アバドンは笑った。

アバドン

仲間を呼んだとして、何になる?

アバドン

貴様の言う通り、私が全ての元凶だとするならば、

アバドン

大勢が集ったところでなんの意味もなさん。

太宰治

ううん、そんなことはないよ。

太宰治

きちんと意味があるんだよ

アバドン

……

太宰は嬉々として手を広げながら、探偵社員がいる方へと振り返る。

そして、心底幸せそうに

太宰治

さあ、君たちの異能で私を殺しておくれ

と、言った。

国木田独歩

な、何を言っているんだ……?

谷崎ナオミ

なぜそんな急にそのようなことを……?

泉鏡花

だから、夜叉白雪を呼んだの……?

芥川龍之介

太宰さん……

江戸川乱歩

やっぱりね。そんなことだろうと思ったよ。

国木田独歩

ら、乱歩さん……?

太宰治

さすがだねえ、乱歩さん。あなたがあなたでよかった。

江戸川乱歩

……魔人を倒す唯一の方法は異能無効化の力を持つ太宰を太宰以外の異能力者が殺すこと。

江戸川乱歩

だが、それは無理に等しい。太宰は“異能無効化”を持つ異能力者だから。

江戸川乱歩

だけど、……

太宰治

だけど、私は私を殺す方法を見つけた。

太宰治

それは、

江戸川乱歩

フョードル・ドストエフスキーを殺すこと。

太宰治

正解

谷崎ナオミ

ど、どういうことですの……?

江戸川乱歩

とりあえず、説明は後だ。

江戸川乱歩

今はまず、太宰を、太宰を殺さなくてはならない。

泉鏡花

でも、この人が死んだら、敦は……!

江戸川乱歩

殺さなきゃ、敦ですらも戻ってこない……!

江戸川乱歩

お願いだ。頼むから、今は僕の言うことを聞いてくれ……

太宰はゆっくりとアバドンに近づいていく。

太宰治

アバドン。君は貪欲だね。

太宰治

わざわざ“アラハバキ”になるなんて。それだけ、神になりたかったんだね。

アバドン

……なに?

すっとアバドンの額に指をくっつけて、太宰はこうつぶやく。

太宰治

異能力。人間、失格。

ぱあっと青白い光が発せられたかと思うと、中原の体がずるっと膝から崩れ落ちた。

そして、太宰の目の前には茶色のウィッグを手にしたフョードルの姿があった。

アバドン

おのれ、貴様……!

太宰治

久しぶりだね。

太宰治

まだ兄様の皮をかぶっているのは癪に障るけど、初めの頃の姿になってくれてよかった。

太宰治

あれから何人の人に殺されたのかわからないけど、

太宰治

やっぱり最初の兄様の方が一番可愛らしくて好きだよ。

太宰治

アバドンもそんな兄様が好きだろう?

アバドン

何を言う、貴様……

太宰治

さあ、芥川くん、鏡花。

太宰治

今すぐ、私とこいつの胸を突いて殺してくれたまえ。

太宰治

今が絶好の好機だ。

芥川龍之介

……太宰さんの、頼みと、あれば

泉鏡花

……わかった

芥川龍之介

異能力、羅生門……!

泉鏡花

異能力、夜叉白雪……! え……

芥川龍之介

な、なぜ……

泉鏡花

なんで、夜叉白雪が出てこないの……?

二人がどれだけ異能を使っても、異能力は出てこない。

体の奥にある感覚はするけれど、体の外に異能力が出てこない。

泉鏡花

な、なんで……?

アバドン

愚かだな、人間。

アバドン

私が異能の創造主なのだから、私が止めたいと思えば止められるに決まっているだろう。

ふんと鼻で笑う。

だが、すぐにアバドンは苦しそうに唸り始めた。

アバドン

ア゛、ァ、アァ゛、な、なぜ、貴様がッ……

その瞬間、芥川と鏡花に異能力の気配を感じた。

泉鏡花

異能が、使える……

芥川龍之介

……鏡花!

泉鏡花

……うん!

芥川龍之介

異能力、羅生門!

泉鏡花

異能力、夜叉白雪!

二人の異能力が太宰の胸を貫いた。

そして、太宰は密かに手にしていた青い光を放つ短剣をアバドンの胸に突き刺した。

太宰治

……乱歩さんっ!

江戸川乱歩

言われなくても!

江戸川の声がしたかと思うと、アバドン、太宰を除くその場にいたものたちは、

江戸川が開いた本の中に吸い込まれていった。

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コメント

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ユーザー

いやもうなんて言うか神様仏様羊右様って感じですね…ありがとうございます。テラーに居てくれて……

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