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6人兄弟

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6人兄弟

21 - 水色の原点

♥

1,943

2021年12月05日

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月が綺麗ですね

 

この言葉が
あなたが好きだと言う
意味になった
理由を知ってるかい?

 

ワレキミヲアイス

 

風流は思わぬところから
作られるんだね

 

それはヒントも同じこと

清々しいくらいの肌寒さ

少しだけつんとするような

冬の朝特有の匂い

反対に、何故か暖かい体

いつもみたいな嫌な汗もない

𝐶.

...んぅ...

まだもう少し寝てたいなぁ

𝑆.

...ころーん?

𝐶.

...うゅ...

𝐶.

...にゅ...

𝐶.

ん!?

兄の声が聞こえて気がして

飛び起きる

𝑆.

あ、起きた〜

𝐶.

さとみくん...!?

𝑆.

んだよw

𝑆.

そんなに驚く?w

いつもみたいに

からかうように笑う兄

𝐶.

いやっ...

𝐶.

だって...

まあ確かに

今日中に起きるだろうとは言われてた

けど

びっくりはするじゃん!

𝑆.

んは〜w

𝑆.

なに?

𝑆.

心配してくれてたの?w

𝐶.

うるせーバーカ

人に散々心配かけといて

こいつは...

𝐶.

一発殴らせて

𝑆.

は?

𝑆.

こちとら病人だぞ?

𝐶.

いいからいいから

𝐶.

ね?

𝐶.

一発だけ!

𝑆.

やーだー!!

彼の両手を掴もうとするも

ひらりひらりと避けられる

𝐶.

あー、もー!!

𝑆.

うぇーいww

このバカみたいなテンションも

今はものすごく嬉しくて

と、

ごんっという音と

後頭部の痛み

𝑆.

ぶふっwwww

大爆笑を堪えながら

にやにやこちらを見てくる彼

𝑅.

病人に何やってんですか

𝐶.

いや、元はと言えば
さとみくんが...!

𝑆.

俺はなにも知りませーん

𝐶.

はいっ!?

𝑅.

あー、分かりました
分かりました

𝑅.

どっちも殴れば
解決ってことですね?

𝐶.

大変

𝑆.

ご迷惑を

𝐶.

おかけしました

𝑅.

よろしい

てか殴られたとこ たんこぶになってない?

痛いよぉ...w

𝐶.

...てか、今何時?

なんかるぅとくんいるし

𝑅.

14:00です

𝑆.

この寝坊助が

𝐶.

え、そんなに寝てたの?僕

いつもよりカラカラな声で

驚いた声を出す

𝑆.

いつもより
声ガラガラじゃん

𝑆.

炭酸水どころじゃ
なくなってるぞ

𝐶.

うるさい黙れ

なんか喉乾いてるし

𝐶.

飲み物買ってくる

𝐶.

金よこせ

ベッドの上の彼に手を差し出す

𝑆.

は?w

𝐶.

あったりまえでしょ!

𝐶.

さとみくんのせい
なんだから!

𝑆.

はぁ〜?ww

𝑆.

しゃーねーなぁー

なんだかんだ言って

財布を渡してくれる

さすが、心広い

𝑆.

後で絶対レシート見せろよ

嘘、全然広くないわ

𝐶.

はぁーい

𝑅.

っあ、僕が
行きましょうか?

ちらっ、と兄の方を見る

少し目線を合わせて

なぜ素直に財布を渡してくれたのか 理解した

𝐶.

んーん、
買いたいものあるから
僕だけで行ってくる!

𝑅.

そうですか、っ

若干あわあわしながら

相槌をうつ弟

𝐶.

じゃ、行ってきまーす

𝑆.

...そこ、座って?

𝑅.

...あっ、はい

𝑆.

ねぇ、
質問なんだけどさ──

ドアを閉める直前

少し悲しそうな兄の顔が見えた

病院の中にある

コンビニに入る

飲み物が並んでいる棚を見渡して

適当なものを手に取る

無駄遣いしたら

あとで請求されそうなので

必要なものだけ手に持つ

𝐶.

...、あ、

いつもなら見過ごしてしまうような

子供が好きそうな

お菓子棚

そんな中に

ひとつだけ、

目を引くものがあった

𝐶.

...飴...

特別でもなんでもない

期間限定でもない

普通の飴

でも何故か

今日だけは

この飴に惹かれた

𝐶.

...サイダー、、

そっと手に取って

レジに並んだ

病室へ戻ると

そこに、

弟の姿はなかった

代わりに

少し考え込んだような兄がいた

𝐶.

...あれ、るぅとくんは?

𝑆.

...ん、あー

𝑆.

帰っ、た?

顔をしかめて

どこかを睨む

𝐶.

...そ

手に持っていた飴の袋を

兄に放り投げる

𝐶.

はい、なんか買っちゃった

𝑆.

おま、危ねーなぁー

顔の前でキャッチした袋を

まじまじと眺める

𝑆.

...ぁ

𝐶.

𝑆.

ころん、
そこに置いてある
鞄とって

机の上に置いてある鞄を指差す

𝐶.

はいよ

鞄を渡すと

すぐになにかを漁り始めた

そんな彼を横目に

椅子に座って

先程買ってきたサイダーを飲む

甘くて

ただ、乾いた喉には

少し痛くて

一気に飲むことが出来ない

𝑆.

あ、あった

𝐶.

ん?

口からペットボトルを外して

兄の方を見る

𝑆.

はい、これやるよ

兄から渡されたのは

𝐶.

...飴

先程買った飴と

黒い飴

𝐶.

僕黒飴
苦手なんだけど...

𝑆.

いいから持っとけって

𝐶.

えぇ〜

そう言いながら

水色の飴を食べようとする

と、

𝑆.

あ、すとっぷ!

𝐶.

ん?

𝑆.

こっち食べて

飴が入った袋を差し出して

そう言ってくる

𝐶.

同じ飴じゃん

𝑆.

いいから〜

𝐶.

...変なの

袋から飴を取って

頬張る

𝐶.

てかなんで2つなの?

𝐶.

1つでいいのに

𝑆.

ヒントが1つだけだと
難しいだろ?

𝐶.

ヒント?

𝑆.

それに、

𝑆.

これは2つだから
意味があるんだ

𝐶.

なーに言ってんだか...

𝑆.

今はわかんなくていいの〜

そう言うと

ほんの少し

悲しそうに笑う

𝑆.

てか兄ちゃんと
仲直りしろよ

𝐶.

うげ

𝐶.

いや無理だよぉ

𝐶.

叩いちゃったんだもん...

𝑆.

だからこそちゃんと
謝らなきゃなんだよ

𝐶.

うへぇ〜

飴をバリバリと噛みながら

首を振る

と、

𝐽.

お邪魔しまーす

𝐽.

兄ちゃんのお迎えに
上がりました〜

𝐶.

頼んだ覚えないんだが

𝑆.

もうそろそろ
いい時間だろ、
帰れって

𝐶.

お前の仕業か

𝑆.

ぴんぽーん大正解

𝐶.

ちぇっ

大人しく荷物をまとめて

病室から出ようとすると

𝑆.

...ころん

兄の深刻そうな声が聞こえて

振り返る

𝐶.

っ!?

胸の部分を掴まれて

彼の顔の前まで引き寄せられる

𝐶.

な、なに、

𝑆.

...1つ覚えてて

𝑆.

ちゃんと、
間違ってないから

𝐶.

...?

何を言い出すのか このイケメンは

𝑆.

...合言葉

𝐶.

?合言葉?

𝑆.

そう、

𝑆.

合言葉はね────

無言で歩く道

申し訳なくて

声をかけたくても

喉につっかえてしまう

ちゃんと止めてくれてたのにな

𝐽.

...ごめんな

𝐶.

...ぇ...

彼は何も言わずに

小さく笑んだ

なんだか少し

その笑みが悲しくて

ふと

足を止める

ゆっくりと進み続ける彼に

声をかける

𝐶.

...雨、止みませんね

文学に長けている彼なら

この意味くらい分かるだろう

𝐽.

...その雨は
止むことはないでしょう

くすり、と笑って

こちらを振り向く彼

𝐶.

...ありがとう

大丈夫

今なら、

大切なものはまだ失ってない

大切なものが何か

ちゃんと分かってる

𝐽.

...帰るで

𝐶.

...うん

帰ろう

僕たちの原点に

弟が差し出した手を

そっと握って歩き出した

𝑡𝑜 𝑏𝑒 𝑐𝑜𝑛𝑡𝑖𝑛𝑢𝑒𝑑...

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