清々しいくらいの肌寒さ
少しだけつんとするような
冬の朝特有の匂い
反対に、何故か暖かい体
いつもみたいな嫌な汗もない
𝐶.
まだもう少し寝てたいなぁ
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝐶.
兄の声が聞こえて気がして
飛び起きる
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
いつもみたいに
からかうように笑う兄
𝐶.
𝐶.
まあ確かに
今日中に起きるだろうとは言われてた
けど
びっくりはするじゃん!
𝑆.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
人に散々心配かけといて
こいつは...
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝐶.
𝑆.
彼の両手を掴もうとするも
ひらりひらりと避けられる
𝐶.
𝑆.
このバカみたいなテンションも
今はものすごく嬉しくて
と、
ごんっという音と
後頭部の痛み
𝑆.
大爆笑を堪えながら
にやにやこちらを見てくる彼
𝑅.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝑅.
𝑅.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝑅.
てか殴られたとこ たんこぶになってない?
痛いよぉ...w
𝐶.
なんかるぅとくんいるし
𝑅.
𝑆.
𝐶.
いつもよりカラカラな声で
驚いた声を出す
𝑆.
𝑆.
𝐶.
なんか喉乾いてるし
𝐶.
𝐶.
ベッドの上の彼に手を差し出す
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
なんだかんだ言って
財布を渡してくれる
さすが、心広い
𝑆.
嘘、全然広くないわ
𝐶.
𝑅.
ちらっ、と兄の方を見る
少し目線を合わせて
なぜ素直に財布を渡してくれたのか 理解した
𝐶.
𝑅.
若干あわあわしながら
相槌をうつ弟
𝐶.
𝑆.
𝑅.
𝑆.
ドアを閉める直前
少し悲しそうな兄の顔が見えた
病院の中にある
コンビニに入る
飲み物が並んでいる棚を見渡して
適当なものを手に取る
無駄遣いしたら
あとで請求されそうなので
必要なものだけ手に持つ
𝐶.
いつもなら見過ごしてしまうような
子供が好きそうな
お菓子棚
そんな中に
ひとつだけ、
目を引くものがあった
𝐶.
特別でもなんでもない
期間限定でもない
普通の飴
でも何故か
今日だけは
この飴に惹かれた
𝐶.
そっと手に取って
レジに並んだ
病室へ戻ると
そこに、
弟の姿はなかった
代わりに
少し考え込んだような兄がいた
𝐶.
𝑆.
𝑆.
顔をしかめて
どこかを睨む
𝐶.
手に持っていた飴の袋を
兄に放り投げる
𝐶.
𝑆.
顔の前でキャッチした袋を
まじまじと眺める
𝑆.
𝐶.
𝑆.
机の上に置いてある鞄を指差す
𝐶.
鞄を渡すと
すぐになにかを漁り始めた
そんな彼を横目に
椅子に座って
先程買ってきたサイダーを飲む
甘くて
ただ、乾いた喉には
少し痛くて
一気に飲むことが出来ない
𝑆.
𝐶.
口からペットボトルを外して
兄の方を見る
𝑆.
兄から渡されたのは
𝐶.
先程買った飴と
黒い飴
𝐶.
𝑆.
𝐶.
そう言いながら
水色の飴を食べようとする
と、
𝑆.
𝐶.
𝑆.
飴が入った袋を差し出して
そう言ってくる
𝐶.
𝑆.
𝐶.
袋から飴を取って
頬張る
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
そう言うと
ほんの少し
悲しそうに笑う
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
飴をバリバリと噛みながら
首を振る
と、
𝐽.
𝐽.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝐶.
大人しく荷物をまとめて
病室から出ようとすると
𝑆.
兄の深刻そうな声が聞こえて
振り返る
𝐶.
胸の部分を掴まれて
彼の顔の前まで引き寄せられる
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
何を言い出すのか このイケメンは
𝑆.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
無言で歩く道
申し訳なくて
声をかけたくても
喉につっかえてしまう
ちゃんと止めてくれてたのにな
𝐽.
𝐶.
彼は何も言わずに
小さく笑んだ
なんだか少し
その笑みが悲しくて
ふと
足を止める
ゆっくりと進み続ける彼に
声をかける
𝐶.
文学に長けている彼なら
この意味くらい分かるだろう
𝐽.
くすり、と笑って
こちらを振り向く彼
𝐶.
大丈夫
今なら、
大切なものはまだ失ってない
大切なものが何か
ちゃんと分かってる
𝐽.
𝐶.
帰ろう
僕たちの原点に
弟が差し出した手を
そっと握って歩き出した
𝑡𝑜 𝑏𝑒 𝑐𝑜𝑛𝑡𝑖𝑛𝑢𝑒𝑑...
コメント
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本当に、ドロップさんのストーリー好きです✨
ブクマ失礼します
マイリスト&ブクマ失礼します!!