消灯して
なんだか眠いのに
寝る気にはなれなくて
カーテンを持ち上げて
窓の外を眺める
俺の息が
窓を白く染めたり
だんだん手がかじかんでくるのも
冬の特権だ
𝐽.
素直に言えなくて
伝えることも難しくして
まるで
常に挑むみたいな
がさがさ、と音を立てて
向かいのベッドで寝ている弟が
寝返りを打つ
こうゆうふうに
寝れない日は
大抵お話を書くんだけども
今日は
なんか苦しくて
今はなにもできない
きっと気づいたことが 多すぎたのだ
𝐽.
𝑆.
兄が
あえて
俺が迎えに行ってから その話をした理由
𝐽.
″ 探れ ″
″ 物事には必ず意図がある ″
″ それが無意識だとしても ″
𝐽.
寄りかかっていた窓から
頭を離す
そこにいる彼を起こさないように
静かに部屋のドアを開けた
ほんの少し
ドアの隙間から漏れる光
𝐽.
𝑅.
𝐽.
片手に
カッターを持っている兄に 問いかける
𝐽.
𝐽.
𝐽.
彼の精神状態が 安定していないことは
病室であの言葉を 言われた時から 分かっていた
本来彼の方が 人を落ち着かせることが得意なのだ
𝑅.
そう言って
兄が持ち上げたのは
綺麗な長方形に切られた ダンボール
𝐽.
𝑅.
𝐽.
ため息をつきながら
整えられた掛け布団の上に
飛び乗る
𝑅.
𝑅.
𝐽.
𝐽.
𝑅.
𝑅.
𝐽.
𝑅.
𝐽.
𝑅.
ベッドの上で
鉛筆回りをしながら
逆立ちができるか試みてみるも
目が回ったせいで
上手くできなかった
𝐽.
𝑅.
壁に頭を預けて
目を閉じる
𝐽.
𝑅.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝑅.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝑅.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝑅.
𝐽.
𝑅.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
𝑅.
𝐽.
𝐽.
𝐽.
返事は返ってこなかった
それでもいい
だから
𝐽.
𝐽.
𝑅.
𝑅.
薄く目を開けると
口を手で隠した兄が見えた
そっ、と
見なかったふりをして
もう一度目を閉じた
今くらいは
静かに
冬を聞こう
𝐽.
𝑅.
意味がわからないという顔で
俺の隣まで来てくれる
𝑅.
𝐽.
兄の背中に
そっともたれる
天井からの光を防ぐように
目を左腕で隠す
𝑅.
𝐽.
空いている右手で
彼の左腕に優しく触れる
𝐽.
𝑅.
𝐽.
𝑅.
白を切るつもりらしい
𝐽.
𝐽.
𝑅.
𝑅.
𝐽.
もうこれ以上
大切な人に一生の傷が残るのは 嫌なんだ
𝑅.
彼の左手が
俺の右手と重なる
似ているのかもしれない
考えていることも
胸の痛みも
彼が小さく動く度に
懐かしい匂いがする
小さな傷と
乾燥が絶えない彼の手を
親指で撫でる
きっと
この人は
優しくて残酷なんだ
𝐽.
𝐽.
𝑅.
𝑅.
でも俺らはちゃんとわかってる
𝑅.
もしもの世界なんて
𝑅.
ただの幻想だ
𝐽.
𝑅.
𝑅.
𝑅.
𝐽.
言葉の裏には
ちゃんと大好きが隠れてるから
幻想なんかに頼らず
酷い現実でも
甘んじて受け入れよう
𝑅.
𝑅.
𝑅.
𝐽.
ベッドから降りて
静かにドアを開ける
𝑅.
𝐽.
𝑅.
𝑅.
𝐽.
ドアを閉める直前
兄の頬をなにかが伝ったのは
きっと
気のせいなんかじゃない
水だけ飲んで寝ようと
キッチンへ降りると
𝐽.
がしゃん!
俺の声の数秒後に
大きな音がした
𝑅.
暗がりにいたのは
先程ベッドで寝ていたはずの弟
近くにはコップだったで あろうものが落ちていた
𝑅.
慌ててかきあつめようとする彼
𝐽.
地面に彼の手がつく寸前に
彼の手を掴んで止める
𝐽.
今にも泣きそうな顔で
何度も謝ってくる
𝐽.
𝐽.
音を消して歩くためだろうか
彼は裸足だった
𝐽.
破片をとりあえず スリッパの底で端に寄せる
真っ青な顔で破片を見つめる弟を
持ち上げる
𝑅.
𝐽.
𝐽.
弟の体は
いとも簡単に浮いた
不自然な程に
リビングのソファに
そっと彼を置く
連れてきたはいいものの
治療の仕方が分からない
兄を呼ぶしかないだろうか
ひとまず
置いてあったティッシュで
彼の足を抑える
𝐽.
𝐽.
すると、
服の裾を引っ張られた
𝑅.
𝐽.
𝑅.
𝐽.
𝑅.
𝑅.
𝑅.
𝐽.
𝑅.
彼の顔は
暗くて見えなくて
俺を止める手も
振り払えば解けそうな程
弱くて
𝐽.
𝑅.
𝑅.
苦しそうに
言葉を絞り出す彼
𝑅.
滑り落ちるように
手が服から離れる
𝑅.
𝐽.
𝑅.
𝑅.
𝐽.
𝑅.
今度は
拒むように
優しく押してくる
𝐽.
冷たい冬の匂いに
ぽつりと
彼は呟いた
𝑅.
理解しているつもりだった
彼ももう
子供じゃないということを
𝑡𝑜 𝑏𝑒 𝑐𝑜𝑛𝑡𝑖𝑛𝑢𝑒𝑑...
コメント
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一気読みしました! 涙が止まらないです(´;ω;`) 続き楽しみにしてます! フォローとブクマ失礼します(*・ω・)*_ _)
一気読みしました!もう感動感動過ぎて枕が涙でいっぱいです😭(?)続き待ってます!