晴希
みこと→すちをいじめている
すち→みことにいじめられている
みこと親→みことがいじめの主犯格だと知る
すちはみことにいじめられていて、蹴られ殴られ、切られ、水を浴びされ、虫を食わされたり。他にも、言いたくないことなど沢山のことを、みことがリーダーのグループにされた。そんな日々が高校に入学し、数ヶ月起こる。
そんなことをされるすちは当たり前だが、精神を壊してしまう。精神以外もそうだ。友達との関係や、みこととの関係も、痛覚や常識的な考え方、今までだったら当たり前の様に感じた生活だって、全て壊された。
すちは中学時代何も興味の持たなかった空が友達になった。誰1人としてすちの友達になろうとするものはいない。みんなすちを空気の様にどこかに行ってしまう。なのに放課後、屋上、誰もいない、と言う条件が揃う時だけ、すちを物の様に扱う。それすらも、孤独よりはマシだと感じてしまう、それくらい追い詰められていた。
すちは、そんな数ヶ月で積もった恨みや辛み、全て抱え込んだまま、空と一緒になってしようとしたが、それではみこと達の思う壺だ、結局、屋上から身を捨てるのなら、「全てぶちまけてしまおう」そう考えた。その考えを行動に移すまでの時間は1週間もなかった。
みことが友達と何事もなかったかの様に外で遊んでいることを知っているすちはみことがいない間にみこと宅へ向かう。突然怪我をしたすちがやって来てはみこ
との親も困惑したが、すちから言われた一言で全てを察した。
みことの親はまともだった様でみことをすぐに呼び出し、今まですちにやって来た事を吐かせた。みことが、「いじめた。」と言うまで本当は信じたくなかっただろうに、みことの親は最初から最後まですちの味方をしてくれた。そうして、みことは親から酷く失望され、絶縁宣言と共に家から追い出された。
2年ほど時を戻す。
その頃は、中学2年生だろう。中学2年生のすちは、お金持ちで、誰からも愛され、勉強もできるみことを憧れていて、すちの心には憧れと共に好意を抱いていた。その事を知っていながらも、みことはすちのこといつまでも強調する様に2人の関係を「親友」と呼んでいた。しかし、みこともすちのことが好きだったのだ。もしかすると、この頃からみことは歪んだ愛を持っていたのかもしれない。すちが好きだったみことはすちにはバレない様に他の同級生や後輩をいじめてた。幼いながらにこのことはすちにも、親にも先生にも。誰にもバレてはいけないとは感じていた。しかし、本能に従うままにいじめを行っていたため、どうして悪いことなのかまでは頭が回っていなかった。勉強はできるが、人間性も頭も最悪だった。そんな中学2年生が過ぎ、受験の年。その頃のみことは受験だから、と親から監視された生活を過ごしていたのもあり、いじめはやめていた。そして、またすちと同じ学校に通えることが決まり、みことはとても喜んだ。しかしすちが同じクラスでいじめをしてもバレやすい状況になってしまった。何を考えたのか、みことは「バレるくらいならすちくんをいじめちゃえば良くない?」と思った。
すちは生物学的にみことに負けていた。他の人も、負けていた。殴られたすちをみて、怖くて、見過ごして、みことの言う通り、すちを避けて、誰も見てない時にいじめる。出来るだけ普通の顔をして過ごす。
みことは親に捨てられた。そんな時、自分に都合の良い様にしか解釈できない可哀想な頭は、いじめた相手であるすちのことを思い出した。
「そういえばすち君、俺のこと好きやったよな。助けてくれるんちゃうん?」
すちの家へ向かう。チャイムの音がする。
すちはインターホンを見た時絶句した。なんでみことがここにいるんだ、みことの親はこのバケモノを外の世界へ解き放ったのか?馬鹿なのか?何をしに来たんだ、早く、早く帰ってくれ。そんな事を言おうとしても喉が渇いて声が出ない。出来るだけ、冷静に、お母さんはもう寝てしまったのだから、迷惑かける訳にはいかない、どうすれば良いのだろう、とりあえず話せる状況にしないと!
ドアを開けたる音がする。自分が何をしたのかすらわからなくなってくる。
「すち君!出てくれると思った!実は俺、親に捨てられちゃってな、すち君俺のこと好きやろ?やから泊めてくれへん?」
何を言っているのだこの馬鹿は、ニコニコ話す目の前の人間が本当に生物なのかを疑う。グイグイ押される、中に入られる、お母さん達が危険に晒される!そんな訳にはいかない。
自分の一番の力を使って馬鹿な事を押す。
「やめて、」
鈍い音がする。玄関の階段から落ち、地面に倒れ込んだ音だろうか。そんな状況でやっと涙を流す。こんなにも馬鹿だと生きづらいだろうなと少し同情した。
少し背中から血を流している様に見える。暗くてよく見えない、影かもしれない。そうだと良いな、と誰にも聞こえない声で言う。彼にやられた事を自分がしたくはなかった。
すち君の方を見る。あれ、なんか顔が濡れてる。ぺたぺたと自分の顔を触るうちに手から血が流れていることに気がつく。全身が痛いからきっと、背中も足も怪我したんだろうな、。この落ち方だと受け身が取れなかったから、もしかしたら下半身不随になるかもな、とか、現実を見てる様な、現実から目を逸らしている様な思考になる。
「最低。」
あぇ、
「すっちー…?」
悲しい。彼にそんなことが言われる日が来るなんて、思いもしなかった。ずっと自分の支配下で悲しく、絶望で歪めた顔を見せてくれると思ったのに。
絶望だけがお前の感情じゃなかったの?嘘だよ、こんなの。
「演技でしょ…?」
