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コメント
2件
そう言えば、1991年12月25日もロシアでは雪だったそうですよ(正確かは古すぎて怪しいですが)
フランス
うーん、と机から離れる。
どうやら彼はまた手紙を書いていたらしい。
封のされていない封筒が机に出っぱなしだった。
フランス
と、その時、彼の部屋の片隅に置いてあったラジオが音を鳴らし始めた。
が、ノイズが多く、よく聞き取れない。
フランス
フランスは立ち上がると、カーテンを開け、パリの空を見上げた。
まだ雪も振っているし、雲も切れていない。
____________This is、_____sigal_____
__こちら、______。聞こえたら________。
…それでも、世界が少しずつ、ちょっとずつ"解ける"音が、聞こえ始めた。
アメリカ
イギリス
まだまだノイズがある無線だったが、仕方ないと割り切り、そのまま会話を続けた。
アメリカ
イギリス
イギリス
断続的に、ロシアや中国、韓国の声が聞こえたが、なにを喋っていたのかはわからなかった。
イギリス
アメリカ
アメリカは、ふと空を見上げる。
…かつて、アメリカの初恋の"彼"がアメリカに想いを伝えた日も、
そして同時に、目の前で崩れた日も、
雪が、降っていた。
イギリス
アメリカ
イギリス
イギリスがそう言うと、アメリカは『あぁ〜...』と声を上げた。どうやら思い出したようだ。
イギリス
真面目な口調で語り始めるイギリス。
そんな彼の姿に驚いたのか、アメリカはいつの間にか聞き入っていた。
アメリカ
イギリス
イギリス
イギリス
ノイズ越しでも、彼の声が震え、小さく泣いている声が聞こえた。
アメリカ
アメリカ
イギリス
彼はなんでもお見通しらしい。
イギリスが困り果てたかのように笑うと、椅子に深く腰を掛けた。
イギリス
アメリカ
イギリス
アメリカは、深くため息を付く。
…彼も、虐待被害者の一人であった。
イギリスも幼少期、イングランド、という兄から虐待を受けていた。
幸い、アメリカには何故か虐待を行っていないから彼は受けていないが…
______兄弟はよく似る。
イギリスにとって、それは最悪な皮肉であった。
アメリカ
アメリカがそれを知ったのは、独立してから数十年後のこと。
関係を再構築している途中に、イギリスの日記を見つけたのがきっかけだ。
______そこには、毎日の虐待で精神をすり減らしていたイギリスの姿があった。
イギリス
アメリカ
アメリカ
謝っても、傷は塞がらない。
それは当事者であるアメリカ自身がよく知っている。
...だが、ちゃんとした理由があるのであれば別だ。
アメリカ
イギリス
アメリカ
大きく一息をつく。
ノイズは、だんだんと小さくなっていた。
アメリカ
アメリカ
イギリスは目を見開いた。
到底許されるものではない。
赦されることなんてないし、その準備だってされる価値すらないと考えていた。
...向き合ってもらうことだって。
それなのに、彼はイギリスに真摯に向き合って、『赦す準備』をしてくれた。
まだ赦されたわけではないのに、涙がポロポロ、と溢れていった。
イギリス
アメリカ
アメリカも、そんなイギリスにつられて泣いてしまいそうだった。
ニューヨークの空は、もう雪はやんでいて、外は活気で溢れていた。
_______そして、彼らの間にあったノイズは、いつの間にか消えていた。