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タリスマン

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タリスマン

第1話 - タリスマン

626

2018年09月20日

#恋愛

#事故

#♡650目標

#スタッカート

スタッカート

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なんであの時、喧嘩なんてしちゃったんだろう…後悔だけが頭をよぎる。

私の彼氏、「東雲太司」は私と口喧嘩をし、走って車道に飛び出してしまった。

そこで通ったトラックにはねられて…即死だった。私は泣き続けた。

七瀬千世

なんで…なんでよ…。

七瀬千世

かえってきてよ…太司…

七瀬母

千世…もう2週間も大学に行ってないでしょ？

七瀬母

辛いのは分かるけど、気分転換のためにも講義受けてきたら？

七瀬母

きっと東雲くんも千世が泣いてるところ、見たくないと思うな…

七瀬千世

そうだね…ありがとうお母さん。

七瀬千世

私…頑張って行ってみる

ジリジリ… ミーンミンミン…

七瀬千世

暑い…陽炎が出来てる。猛暑日って言ってたしな

七瀬千世

久しぶりに外に出たからちょっと気持ち悪いな…

七瀬千世

あれ、どうしたんだろ…体がフラフラして

七瀬千世

ダメだ…もうムリっ！

奇しくも太司がはねられた車道で転がるように倒れてしまった

七瀬千世

太司…私ももうすぐあなたのいる世界に逝くから、待っててね

七瀬千世

…うっ！えっ…！？

車にひかれる直前、突風が吹いて私は歩道へと転がった。

東雲太司

(…せ、ちせ！聞こえる？怪我はない？)

東雲太司

(俺だよ太司だよ！大丈夫か？)

七瀬千世

太司！？どこにいるの！逢いたいよ…

東雲太司

(残念だけど、俺はもうあの世の住人だ)

東雲太司

(けど成仏出来ないからお前の心にだけ特別に声が聞こえる)

七瀬千世

太司…ごめんね、私…

東雲太司

(いいんだ、俺も悪かった)

東雲太司

(だからもう俺の事は忘れて幸せになって)

七瀬千世

そんなこと出来ない…忘れるなんて！

東雲太司

(じゃあ、そこの木の下をみてよ)

七瀬千世

木の下…？あっ、お守りがあるよ！

東雲太司

(それ、お前にあげる)

東雲太司

(お守りを俺だと思って大切にしてくれれば俺は充分)

東雲太司

(俺が好きなのは永遠にお前だけだから)

東雲太司

(…さよなら、ちせ)

七瀬千世

…っ！うんっ！ありがとう、大好きだよ太司！

東雲太司

(お前のタリスマンになれてたらいいな……。)

それから私が泣くことは無くなった。勿論、彼のことを忘れたわけじゃない…だって！

七瀬千世

talisman…タリスマンって「お守り」の事だったんだ…。

私の心にはいつだってタリスマンがいるから、だから笑顔でい続ける！

お守りに向かって私はそう叫んだ…ずっと見守っててね、太司！