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果実に伸ばされた手は、サクヤとは違うものだった。

カエデ

まだ食べられるな…ほら

サクヤ

あ、ありがとう……ございます

一見学生のようだが、どこか達観した雰囲気を持つ青年。

肩にかけた鞄からは、分厚い本がいくつか見えている。

サクヤ

良かった…
今月の食べる分が減っちゃうかと思いました

カエデ

そんなにひもじい生活してるのか?……
透華『とうか』に住んでるわけじゃないのか

サクヤ

いいえ、オレは買い出しでこの街に来ているだけで…

カエデ

へええ!でも外からだと遠いだろ?どこの出身なんだ?

サクヤ

えっと……よく〔名も無き東の国〕って呼ばれてる所で

地名を聞いた途端、青年の瞳が輝き出す。

愛想は良いが、どうやら知識に貪欲な人物らしい。

カエデ

あの国出身の人とは初めて会ったよ!

カエデ

確かすごく遠い場所だよな?食べ物も美味いって聞いたし…
小説の舞台にはぴったりの国だよなぁ

サクヤ

小説家さん、なんですか?

カエデ

あぁ

サクヤが尋ねると、青年は思い出したかのように呟き、背を正した。

カエデ

俺はカエデ。小説家...の...今は見習いだ。
この"花祭り"に来たのも、小説の資料集めのためなんだ

"カエデ"と名乗る青年は、親しげに右手を差し出しサクヤに握手を求めた。

サクヤも快く手を握り、自己紹介をする。 すると。

_____________ブワァッ

サクヤ

わぁ!?

握った2人の手を、桃色の花びらがひとりでに包み込んだ。

慌てて手を離すと、花びらはしばらく空中を回り、やがてどこかに飛び去っていった。

サクヤ

……何だろう、これ

地面に色のくすんだ異物を落として。

サクヤは訝しげな顔をして、その異物を摘まみ上げる。

片手で握り込める程の大きさのそれは、ブニブニしていて気味が悪い。

ふとカエデの顔を見やると、彼はひどく驚いた表情を浮かべてサクヤを見つめていた。

カエデ


…サクヤ、お前も花使いなのか!!

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