東西戦争

ｺﾝｺﾝｺﾝ

ｶﾞﾗｯ

起きてはいる

ただ、

返事どころか顔もこっちに向けてくれない

僕なんていないように、窓の外を眺めたまま

…

無理もないかもしれない

大阪に脇腹をえぐられ

お気に入りだった服も、破れて血まみれ

いち早く戦争をどうにかしようと動いて、このザマだ

おかげで精神は崩壊状態

周りの声が届いていない

おまけに遠目でもわかるくらいの隈が、目の下にできていた

みんなは気にしなくていいと言ってくれた

でも…そんなの出来ない

何故なら…

おとといあんなことがあったけど、兵庫は元気そうで

代わりに様子見をしてきてほしいと言う頼みで、僕は三重の病室に行っていた

ｶﾞﾗｯ

京都の右腕は肘の上あたりからごっそり持ってかれていて、

残った左手で頭を抱えている

当然のように話は通じない

でも、必死に語りかけた

俺は僅かな可能性も逃したくなかったから

一瞬、声？が聞こえたような気がした

だが、それと同時に京都の顔は青ざめる

…

もしかして大阪が⁉︎

ﾊﾞｯ

京都の方から何かが飛んできた

とても速く、何かは分からなかった

そしてそのまま

ﾎﾞｺｯｯ！！

俺のほうに当たった

当たった部分がじんじんと痛く、

鉄の味を感じた

そして足元に、ヒビが入ったテレビのリモコンが落ちていた

そっからは

あまり覚えていない

泣いてるで

僕…泣いてるの？

ああやって、話しているうちに三重を苦しめてたんじゃないかって思ったから？

……いや、

三重は戦争なんかする前から

ずーっと苦しんでた

なのに何にも出来なくて、今になって後悔している

あまりにも自分勝手だ

きっと何10年も待ってた

こんな僕らを待っててくれてた

それなのに…僕のせいで

こんな怪我をさせた

こんな僕らよりずっと

あの人は三重を分かっていた

大切にしてくれていた

あの人と写った写真からは

僕らの知らない一面をいっぱい知れた

最初は「以外だ」とか、「そうなんだ」とか、

感想しか思い浮かばなかったけど

あれが三重の…

素であり本性

もちろんその写真に僕は写ってない

だから

三重は、あの人といる方がずっと

のびのび出来て幸せだっただろう

…………………………

やっぱり三重は

あの人と"東"へ行くべきだった

行けたのに行けなかったのは

僕のせいだ

だからって泣いていい訳ない

自分よりずっと泣きたい子は

僕のせいで目の前にいる

〜続く〜