テラーノベル
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とんでもない悪夢に起こされる
兄ちゃんがいなくなってから
兄ちゃんが愛想笑いしか見せなくなったことも
るぅとの口数が異常に減ったことも
「お兄ちゃん」と呼んでくれた
双子の弟が
俺のことを名前で呼ぶようになってしまったことも
全部寂しくて苦しくて
辛い思い出となって蘇る
でも
俺らは
どんなにつらくても
どんなに苦しくても
進み続けなきゃいけない
考えるのをやめてはいけない
向かいのベッドで寝ていた
双子の弟がこちらを見ている
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彼は
眉毛を下げて
こちらにやってきたと思えば
優しく抱きついてきた
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この呼び方に違和感は感じなかった
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みんなの前では
つらいなんて感じさせないふたりだけど
誰よりも不安で
不安定なのを
俺は知ってる
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やはり
夢を見たあと
ひとりでは居られないか
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こいつも
成長している
兄ちゃんを心配している
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兄ちゃんの部屋
ここはみんながよく出入りする
フリースペースと化しているのだが
今日は部屋から声がしない
ドアの前には
「体調が悪いので、ほっといてください」
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マッキーペンで書かれた文字
なにかの裏紙のようで
インクはまだ少し湿っているようだ
俺らは確信する
こん、こん、こん
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反応はない
兄ちゃんは
体調が悪い"フリ"をしている
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ドアを開けると
俺より背の低い兄ちゃんと目が合う
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誰が見てもわかるような
不自然すぎる愛想笑い
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兄ちゃんは胸に手をあてた
なにか決心したのか
いっきに前を向くと
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急に"長男"になった兄ちゃん
自分自身もつらいだろうに
兄ちゃんはちゃんと兄ちゃんをやった
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兄ちゃんと同じくらいの背になったころんが
兄ちゃんを抱きしめると
兄ちゃんは涙をこぼす
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兄ちゃんは涙をぽろぽろ落としながら
言葉を紡ぐ
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俺らの方を見る
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兄ちゃんは昔から泣き虫だったけど
昔とは違う
兄ちゃんも、
成長している
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rn
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自分に言い聞かせるように言う
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rn
rn
rn
ああ
なんて大人なんだ
兄ちゃんはまだ18歳
大人でも難しいようなことを
兄ちゃんは簡単にやってのける
なにが兄ちゃんを
こんなに大人にしてしまったのか
なな兄ちゃんが居なくなったからか
はたまた
俺が子供すぎたのか
考えても答えは見つからない
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再び溢れてきた涙を
肩でふいて
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rn
やっぱり兄ちゃんはすごい
少し照れくさいけど
兄ちゃんの頑張りを無駄にしたくはない
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こん、こん、こん
返事はない
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はなをすする音
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しずかにドアを開くと
布団に突っ伏しているじぇる
そして
すわって
どこかを見つめているるぅと
るぅとは
イヤホンをつけている
物音に気が付いてか
イヤホンを外してこちらを見る
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涙をこらえていたのか
俺の腕の中に収まると
しくしくと泣きだす
ころんは
じぇるの方へ
jl
jl
jl
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眉を目いっぱい下げてこちらを見る
俺は
眉を少しあげて
強く頷いた
大丈夫
彼は優しいから
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人は
どうしても
自分を優先してしまう時がある
一度原点に立つこと
とても大切だけど
そう簡単じゃない
しかし
大切なのは
原点に立つことじゃない
俺らが立たせてあげることで
その意味を見出す
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まだ小さな弟に
気持ちを押し殺させることは
何度もやってきたことだけど
まだ少しつらい
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cl
jl
つらいのは自分だけじゃない
それを
るぅとも分かっている
だから我慢したんだ
だから今まで踏ん張れたんだ
rt
rt
弟たちは
あの出来事を
トラウマにしてしまったようだ
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cl
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るぅとと小指を絡める
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st
rt
"いつか必ず幸せになること"
これは
俺たち「家族」みんなのルールだ
とある日曜の15時だ
部屋に行ってゲームをするやつもいれば
勉強するやつ
昼寝をするやつ
おやつを食べるやつなど
様々だ
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ak
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rn
mk
mk
そう
みかちとのほぼ初めての触れ合いである
なぜかというと
めるとくんが別室でお昼寝中なのだ!
rt
rt
rn
気の使えるこいつは
俺が育てました
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この家にしては珍しい
5人という少人数で
小さい丸テーブルを囲む
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rn
tr
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彼が「めるめる」と呼ぶこと
その呼び方には
てるとくんにしか分からない
なにかがある
それがなんなのかは
きっとそのうち俺も知れるだろう
ak
rt
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やっぱり気の使えるこいつは
俺が産んだ気がする
mk
rn
rt
ak
ak
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人数がいつもより少ないから
みんなの幸せそうな顔が
近くでじっくりみれる
mk
ak
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rt
rt
rn
tr
rt
こんな小さなことも
もう離したくない
胸がザワザワするような
幸せと感じられるようになったのは
過去のせいか
るぅちゃんおっきくなったなぁ
なんて思いながら
適当に返事を返して
みんなで笑うんだ
なんて幸せなんだろう
ak
tr
mk
rt
rn
rn
mk
年齢差は大きいけど
喧嘩もないし
兄弟にしてはちょうどいい
年齢差なのではないか
俺は立ち上がって
隠してある
お気に入りのチョコを
5つ手に取って
席に戻った
窓からは
春の
暖かい日差しが差している
その光は
強すぎず
弱すぎず
暖かく俺らを歓迎している
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昼寝をしている
弟4人の中から
よだれを垂らしているやつを発見する
夢の中で
何を食っているのだろうか
拭いてやると
口を閉じて寝返りをうつ
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俺の半分しか
人生を生きていないこいつは
俺ら兄弟のなかでは
何故か幼く見えるのだ
本当になんでか分からない
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俺の言葉は
弟たちの寝息に溶けていった
しばらく寝顔を眺めていると
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目を覚ましたようだ
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弟は
部屋をぐるぐると見渡す
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弟は顔を青くする
なにか大きな恐怖に
憑かれているように
息が荒くなる
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寝ぼけているのか?
弟は部屋を飛び出していく
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俺は弟を追いかけた
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そう言って
あっきぃがみかちの小さな手に
また違う味の
クッキーを収めてあげる
ドタドタドタッ
ガチャン…!
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めるとくんが
お昼寝から覚めたようだ
その瞬間
めるとくんは
あっきぃと触れている
みかちの腕を強く引っ張った
クッキーは
床にぼとりと落ちる
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ml
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めるとくんの手は
微かに震えている
みかちが泣き出す
みかちは
めるとくんが怒ると
泣いてしまうことが多い
部屋にゆっくりと入ってきたろぜくんも
なにか考えているのかな?
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硬直しているあっきぃを
叩こうとする
が
てるとくんがそれを止める
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めるとくんの暴言は
誰にも止められない
彼は
暴言しか知らない
震えて涙を零しながら言うもんだから
可哀想で仕方なくて
めるとくんは
よくこぶしを強く握る
手のひらには
つめのくい込んだ血の跡がある
彼はもう一度
大きな声で言った
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その言葉で
糸がプツンと切れる
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めるとくんも
事態に気が付くと
威嚇をやめた
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大粒の涙が零れる
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とても苦しそうに顔を歪める
俺はどうしたらいいか
全く分からなかった
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