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月城 陽奈
…………
月城 陽奈
(眠れない…)
月城 陽奈
(病院の屋上にでも行こうかな…)
私の病院には屋上があります
星空の見える、綺麗な屋上が
月城 陽奈
(やっぱり綺麗な星空…)
月城 陽奈
(って、あれ？優斗さん？)
月城 陽奈
ゆ、優斗さん…？
優斗
あぁ、陽奈
彼の目の周りは赤くなっていました
今も涙が滲んでいます
月城 陽奈
(泣いてる…？)
月城 陽奈
えっと…
優斗
何しに来たん？
優斗
寝れへんの？
月城 陽奈
はい、眠れなくて…
月城 陽奈
優斗さんは何を？
優斗
俺は、星を見に来ただけ
それが嘘だとすぐに分かりました
だって、彼の笑顔がいつもより引きつっていて
どこか悲しさを思わせる笑顔だから
月城 陽奈
そう…ですか
優斗
そんな所に立っとかんとこっち来いや
優斗
ほら
月城 陽奈
はい
優斗さんはベンチの横に私を座らせました
優斗
なぁ、陽奈
月城 陽奈
何ですか？
優斗
陽奈って好きな奴とかいんの？
月城 陽奈
好きな人…ですか
優斗
うん
月城 陽奈
気になってる人ならいます
優斗
へぇ、幸せやな！
優斗
陽奈にそんな風に思われて
それが貴方だって言ったら…
どんな反応するんだろう
月城 陽奈
そうですかね
優斗
うん、絶対そう
優斗
ってか、敬語やめへん？
月城 陽奈
あ、敬語ですか…
優斗
いや？
月城 陽奈
全然嫌じゃないです！
月城 陽奈
今からタメ口で話しますから！
優斗
へぇ~？
優斗さんはニヤリと笑いました
優斗
じゃあ、俺の事どう思う？
月城 陽奈
えっと、素敵な人だと思います…！
月城 陽奈
あっ…
月城 陽奈
(敬語使っちゃった…)
優斗
ぷっ…
優斗
あはははは(笑)
優斗
やっぱり陽奈は面白いな
優斗
なんか元気づけられたわ！
優斗
じゃあ、また明日！
優斗さんは一方的に話し、病室へ戻っていきました
月城 陽奈
(行っちゃった…)
月城 陽奈
(なんか不思議な人だなぁ…)
月城 陽奈
(ますます惹かれちゃう…)
翌日
優斗
よっ！陽奈！
優斗さんはもういつもの優斗さんでした
昨日の悲しげな顔が嘘のように
月城 陽奈
おはようござ…
月城 陽奈
(じゃなくて…)
月城 陽奈
お、おはよう…
月城 陽奈
(なんかぎこちない…)
優斗
お、敬語じゃなくなった！
優斗
距離縮まった気がする！
月城 陽奈
わ、私もそう思う…！
優斗
あ、そうや！
優斗
今日さ、俺の病室来て？
月城 陽奈
優斗さんの病室…？
優斗
うん、もっと話したいし！
月城 陽奈
うん、分かった…！
優斗
よし決まりやな！
優斗
じゃあ、8時に来てな！
月城 陽奈
うん…！
私がそう返事をすると
嬉しそうに笑って、優斗さんは去っていきました
月城 陽奈
(上手く話せたかな…)
8時
月城 陽奈
(病室はここでいいのかな？)
コンコン
優斗
は~い
月城 陽奈
陽奈だよ
優斗
お、入って！
月城 陽奈
お邪魔します…
優斗
来てくれて良かった~
優斗
あ、ここ座って
私は優斗さんが出してくれた椅子に腰掛けました
月城 陽奈
今日は何で病室に？
優斗
陽奈ともっと話したくて
優斗
あと、話したいこともあって
月城 陽奈
(話したいこと…？)
月城 陽奈
そっか
優斗
陽奈の学校はさ──
それから私たちは沢山話しました
月城 陽奈
あ、もうこんな時間…
時計の針は9時を指していました
優斗
ほんまやな
優斗
今日は来てくれてありがと
優斗
また来てな！
月城 陽奈
うん、もちろん…！
月城 陽奈
あ、そういえば話って？
優斗
あ~、それはまた今度にするわ
月城 陽奈
……？そっか
月城 陽奈
じゃあ、またね…！
優斗
おう！
それから私たちは毎晩8時に
お互いの病室へ行って話をするようなりました
そして2週間後…
今日は遂に退院の日です
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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