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暗く、まるで廃墟そのもののような不気味な部屋を湊は進んだ

誰かいますかー?

暗闇に向かって呼び掛けても返事は返ってこない

それどころか、物音一つしない

用事があって来ました

どなたか居たらお返事ください

なかなか返ってこない

……まあ狭そうだし進むか

狭いのに足音が響く

まるでお化け屋敷のようだ

しばらく進むと、畳の敷いてある部屋にたどり着いた

すみません、どなたかいらっしゃいますか?

ゆっくり歩きながら呼び掛けていると、後ろから気配がした

月希羽

あっ

月希羽

こんにちは

こんにちは…

月希羽

あなたのことは全て聞きました

月希羽

アルシノジェノの原液が欲しいんですって?

月希羽の目は明らかに笑っていなかった

そ、そうですね…

研究に必要でして

月希羽

そうでしたか、研究に必要なんですね

はい…

月希羽

新薬の開発ですか?

はい、アルシノジェノに代わる新しい奇病用の薬を開発しようと我々の会社では考えています

月希羽

なるほど…

月希羽

アルシノジェノの危険性についてはご存知ですか?

はい、勿論です
だからこそ、アルシノジェノに代わる薬を作らなければならないと考えております

月希羽

素晴らしい考えをお持ちなんですね

月希羽

流石、医療関係の方ですね

あはは、ありがとうございます

医は仁術とも言いますから

少し笑ったようにも見えるが、まだ目が曇っているようだ

ところで、アルシノジェノの原液は貰っても良いですか?

月希羽

あ、はい勿論

月希羽

駄目です

えっ

月希羽は湊を冷たい目で見た

月希羽

いや~それにしてもあなたは嘘がお上手なんですね

月希羽

でもまだまだ伸び代がありますよ

月希羽

嘘付かなくて良いですよ

いや、私は嘘など──

月希羽

あなたの仲間ですから

湊は体から込み上げてくる冷や汗と嫌な記憶に拒絶反応を出しそうになった

仲間って…あなたは別の会社ですよね?

しかもあなたは医療従事者でも、関係者でもない

失礼ですが、とても仲間とは思えないのですが…

月希羽

確かにあなたにとっては敵かもしれません

月希羽

嫌な記憶、嫌な自分、嫌なことがみるみるよみがえってしまいますもんね?

月希羽

今はまだ薬が効いているからまだ安定しているほうでしょう

月希羽

……一応言うとあなたよりも''歴''は長いんで頼って良いですよ

月希羽の一言で湊は全てを思い出してしまった

辞めて、辞めて、、

思い出させないでよ、

私だって一生懸命生きているのに…

ただ症状が軽いだけなのに…

辛いのは私もなのに…

月希羽

大丈夫ですよ、味方ですから

月希羽

月希も、同じ奇病持ちですから

月希羽

憶喰病、しかも軽い方なんて特に辛いでしょう?

やめて、嫌だ、嫌だ…

月希羽は泣き崩れた湊に寄り添った

どうせあなたには分からない

あなたのような重症患者には分からない

言っても、きっと世間は理解してはくれない

重症患者も自分のことで精一杯

だから私はもう…

ぐしゃ、と嫌な音がした

月希羽

ぐっ

月希羽

んぐっ

赤い花びらが室内に舞った

月希羽

助け…

皆殺しにするしかないの…

もうぴくりとも動かない月希羽をどかし、立ち上がった

ふふ、、あはっ

こんな気持ちもきっと世間は許してなんかくれないか

誰にも理解されずに苦しむしかないのか

残酷だね、現実

ふと壁に目をやると、アルシノジェノの原液が置かれていた

…ようやくだ

原液を手に取り、隅々まで舐め回すようにじっくりと見た

こりゃあとんでもない代物だ…

これでようやく殺せる…

邪魔者と面倒な奴ら、全部、全部、皆、全員

早く''楽にしてあげる''からね…?

''消えたい皆''

アルシノジェノ2.5 FIN アルシノジェノ3に続く…

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