桃
桃
目を覚ますと
そこには、俺の愛しい恋人がいた
赤
少し声が出しにくい
いつまで眠ってたんだろう
桃
桃
赤
赤
桃
すかさずツッコミをする
俺の愛しい彼だ
そう確信した
疑っていた訳では無い
ただ、ここにいるのが本当に自分の恋人か区別がつかなかっただけ
赤
桃
赤
桃
よく見たら隈ができてる
少しやつれたような気もする
俺が寝ている間に、
何があったの?
赤
桃
赤
桃
赤
桃
赤
桃
桃
ぶつぶつ言いながらハグをしてくれる
この暖かい手が好き
この少し筋肉がついてる体が好き
このふんわりとした匂いが好き
桃くんの全部が好き
桃
桃
赤
赤
桃
桃
こういう優しいところも好き
赤
赤
桃
赤
赤
桃
桃
赤
桃
桃
やっべ、忘れてたと呟きながらナースコールを押した
お医者さんからしたら、いや忘れてんじゃねぇよって話なんだけど、
すぐに看護師さんとお医者さんがきた
心臓の音を聴かれたり、なんか色々された
声については無理しない程度にと言われた
まだ検査なども残っているためまだ入院らしい
少なくても1週間だと
赤
桃
赤
桃
赤
桃
桃
桃
赤
桃
桃
桃
赤
赤
なんで思い出しちゃダメなの?
俺、なにかしたっけ?
思い出せない
思い出すなって言ってるから思い出さないのが正解なの?
プルルルルプルルルル
桃
桃
桃
赤
ほんとごめん。そう言いながら外に出ていった
どうして、必死に思い出すのを止めたんだろう
なにか、いけないことでもいたの?
思い出せない
2週間前の記憶だけすっぽりない
まるで切り取られたように
桃
桃
桃
桃
赤
赤
俺は笑顔で見送った
そしたら、びっくりしたような泣きそうなような顔をしてこちらを見て
にこっと笑って病室から出ていった
桃くんのふっと見せた表情が気になるが
強烈な眠気に襲われて眠ってしまった
夢を見ていた
アンチなどで病んでリスカしている俺
それを必死に止めようとしてくれている桃くん
桃くんの目には、1回寝ただけじゃ取れなさそうな濃い隈ができていて
とても疲れ切っているようだった
それでも必死に止めて
慰めて
褒めて
自分の活動だってあるのに俺を優先して寄り添ってくれて
でも、
限界を超えていたのか
俺は自殺を試みていた
首を切って死のうとしている俺
首を絞めて死のうとしている俺
車に轢かれて死のうとしている俺
全て失敗に終わった
だけどある日
窓から落ちた
そこで夢は終わった
ふと手首を見る
服で隠れていたので袖を捲る
手首の辺りに大きな絆創膏が貼ってある
それを思いっきり剥がした
すると、夢で見た通りのリスカ跡がついていた
あれは、俺の忘れていた記憶なのか?
頭がズキズキと痛む
赤
もしかしたら首も…?
頭が痛いのを堪えながら鏡を見る
俺の首には縄で首を閉めたような跡がうっすらと残っていた
頭には包帯が巻いてある
赤
お前なんかいらない
気持ち悪い
うざい
声きもい
赤
赤
嫌な予感がする
思い出したりなんか、してないよね?
桃
桃
お願いだから、当たらないでくれ…ッ!
そう願いながら会社を飛び出した
こういう時だけ感は当たるようで
こんな結末にした神様とやらを恨んだ
桃
1つの雫が彼の目に落ちる
漫画やアニメ特有の
自分の涙が相手に当たって目を開く
そんな風になってくれればいいのに
どう足掻いたって変わらない
俺の愛しい人は真っ赤に染って死んだ
受け止めたくなくても、これが現実なのだ
仕方がない
人は死ぬ時、聴覚だけ残ると聞いた
まだ残っているのなら伝えた
桃
桃
桃
桃
桃
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