翌日、私達は泡沫帽子店に 足を運んでいた。
無那
...本当に迷惑じゃないですか?
レイラ
仕方ないだろう?状況が状況なんだからさ
希空
確かに一向に捜索に進展がないからな
無那
無那
あ、この扉です‼︎
レイラ
よし、それじゃあ開けるよ?
そう言ってレイラさんは 泡沫帽子店と書かれた扉を 思い切り開けた。
劇場内
無那
こんにちは、久しぶりだね
月雲
おや‼︎お客様、2度目のご来店ありがとうございます‼︎
月雲
本日はどのような帽子をお買い求めで
無那
あ、ストップ‼︎実は帽子を買う前に少し頼みたいことがあってさ...
月雲
頼みたいこと...ですか?
無那
無那
私達と一緒にお母さんを探してほしいの‼︎
月雲
...は?お母さん?
無那
実はね...
私は彼女に今まで 葬儀屋がやってきたこと、 新たな手掛かりがないことを 全て話した。
月雲
そうなんですか...
無那
だからお願い、押し付けて悪いけど少しでも協力してほしい
月雲
...分かりました、協力しましょう
月雲
黒星さんや天国さんは廿楽の病気のことを邪険に扱ったりしませんでしたから
無那
ありがとう...‼︎
月雲
廿楽もいい?
廿楽
...うん、大丈夫
レイラ
良かったね、ナナ‼︎
無那
はい‼︎
レイラ
それじゃあ早速作戦を立てようか
レイラ
ハッキリ言って現状は何も手掛かりが掴めていない振り出しの状況だ
希空
それは違うぞ、今のところ手掛かりは防犯カメラに映った緑髪の男だけだ
レイラ
...ああ、そうだったね
レイラ
天国君の言ったこと以外に手掛かりは何もない
レイラ
だから何か案があったら言ってほしい
希空
既に周辺の市内捜索は終わらせてあるから二度目の捜索はより時間が掛かる恐れがある
無那
防犯カメラは使い物にならないし...どうすればいいんだろう...
月雲
(そういえば、この前“あの女”が来た時私達にくれた物役に立つかな...)
月雲
あのさ...‼︎
彼女が発言をしようとした その時、何かが彼女の服を グイッと引っ張った。
月雲
えっ?
月雲
月雲
廿楽?どうしたの?
廿楽
....
廿楽
ダ、ダメ‼︎
月雲
何がダメなの?
廿楽
こ...怖い...
月雲
怖いって...何が?
そう言い残すと廿楽ちゃんは スクリーンの裏に 入って行ってしまった。
月雲
あっ、ちょっと‼︎
驚いた月雲ちゃんも 追いかけるようにスクリーンの 裏に消えていった。
希空
どうしたんだ?
レイラ
何だか怖いって言ってたね
無那
...私、少し様子見てきますね
二人にそう言い残し 私はスクリーンの裏へ 向かった。
スクリーン裏
無那
どうしたの?何かあった?
月雲
それが私にも分からなくて...
無那
ねぇ、大丈夫?何か怖いものでも見た?
廿楽
....
彼女は静かに頷いた。
無那
それってどんな怖いもの?
すると彼女は ゆっくりと口を開いた。
廿楽
...にゃ
月雲
えっ?
廿楽
廿楽
“般若”の顔をしてたの...
無那
般若...?
無那
それってレイラさんの顔?
月雲
般若って...確か嫉妬や恨みを持った怨霊のお面です
無那
それじゃあレイラさんは誰かに嫉妬や恨みを持っているってこと?
月雲
恐らく...
無那
でも一体誰にそんなもの持っているんだろう...
月雲
ならそれを確かめませんか?
無那
確かめるって...どうやって?
そう言うと彼女は 私の前に何かを差し出した。
無那
これは...小型の機械と眼鏡?
月雲
はい、これは小型のGPSと位置情報を確認できる眼鏡です
無那
凄っ‼︎でも何でこんなハイテクなもの持ってるの?
月雲
これはよく来るマッドサイエンティストから貰ったものです
無那
マッドサイエンティスト...⁉︎
月雲
月雲
名前は絵鳩 小春(えばと こはる)、最低最悪のゴミカス女です