コメント
1件
助けろななちゃん!
甘露寺蜜璃
隠
隠に声を掛けられた。 "甘露寺様"ではどちらのことか分からないが、隠としては柱を名前で呼びたくはないのだろう。
姉妹が揃っていても甘露寺様で呼ばれることが多い。
しかし奈那は自分の苗字を誇りに思っているため、嫌な気持ちはしない。
隠
奈那
甘露寺蜜璃
竈門炭治郎
深夜でも見送ろうとする炭治郎は本当に優しい。 家族や親友と言えるほどの関わりもないのに。
奈那
甘露寺蜜璃
竈門炭治郎
甘露寺蜜璃
奈那も頷く。いつが最後の別れになるか分からないのだから。
蜜璃は禰豆子を撫でながら竈門兄妹を応援している。
そして、炭治郎に近付いたかと思えば──何かを告げ、蜜璃は奈那に
甘露寺蜜璃
と声を掛け走り去っていった。
奈那も禰豆子を一撫でした後、蜜璃を追い掛けるため炭治郎に背を向ける寸前。
治郎に背を向ける寸前。 見えてしまったのだ。炭治郎が鼻血を勢いよく吹き出した様子が。
吹き出しそうになるのをなんとか堪える。当然吹き出すのは鼻血ではなく、笑いの方だが。
蜜璃は綺麗な女性だから無理もないな、と心の中で頷き奈那もその場を後にした。
鉄穴森
鉄穴森の工房へと着いた奈那は、手渡される刀を見て目を輝かせた。
奈那
鉄穴森
鉄穴森
刀鍛冶の技術とは本当に素晴らしい。
鉄穴森の尊敬する里長の鉄珍は、蜜璃のような薄くしなり、よく斬れる刀も、しのぶのような槍型の鋭利な刀も作ることができる。
奈那にとっては鉄穴森の刀がいちばん"しっくりくる"為、彼の打ったものしか考えられないが。
奈那
奈那
鉄穴森
鉄穴森
鉄穴森
奈那
深々と頭を下げる鉄穴森。鬼殺隊は刀鍛冶がいなければ続かない仕事だ。
頭を下げたいのはこちらの方だ、と奈那は思う。
今度、鉄穴森さんとその奥様に団子でも持って行こう。
そう思い、蜜璃と共に里を後にした。
数日経ち、蜜璃の警備地区の巡回中のこと。
師弟関係のふたりは教育の意図があるのか共に警備することが多い。
特に苦労せず鬼を倒したふたりは、せっかくなら街に寄って桜餅でも食べよう。そんな話をしていた。
しかし。
上空を焦った様子で飛ぶ鴉を見つけたふたりの顔から笑みが消える。飛んでいるのは、間違いなく炭治郎の鎹鴉であったから。
静かにその言葉を待つ。
鎹鴉
鎹鴉
奈那
耳鳴りに周囲の音が全て掻き消される。
上弦。上弦は…杏寿郎の命を奪い、天元に鬼殺隊を引退させるほどの怪我を負わせる強さの、鬼だ。
そんな鬼が二体と、無一郎が、そして同期が、戦っている。
柱でないと上弦とまともに張り合うことは難しいだろう。
つまり……いくら炭治郎たちも強いとはいえ、無一郎の負担はかなり大きい。
一体で柱に重症を負わせる鬼が、二体。
甘露寺蜜璃
奈那
甘露寺蜜璃
奈那
奈那では上弦に敵わないと判断した蜜璃は、先に住人の保護と避難誘導をするように命じた。
それは、妹に死んでほしくないという彼女の独りよがりな判断だったのかもしれない。
蜜璃の鴉が人が多く残されているであろう里の中心と言える場所へと案内する中、奈那の鴉は何かを察したのか別の方向へと飛んでいく。
奈那
突然現れた大きな金魚のような鬼に思わず声をあげる。
鬼ではあるが、同じようなものが周囲にたくさんいるため本体ではないのだろう。
頚…と思われる部分も容易に斬ることが出来る。 しかし身体は崩壊せず、再生を始めた。
もしやと思い不自然に生えている壺を斬る。
どうやら壺から力を得て動いていたらしい。魚の身体は崩壊を始めた。
奈那
小さな影を視界の端で捕える。 この付近は危険だ、里の出口まで案内しなくては。
追いかける。少年が何かの前で…必死になっている。
奈那
息が止まった。もしかしたら、一瞬だけ心臓も止まっていたかもしれない。
少年の元に駆け寄った奈那が目にしたのは、大きな水槽の鉢ような場所に閉じ込められた…紛れもない、霞の彼。
針が全身に刺さって痛々しい。
奈那
彼は目を大きく見開き、何かを言おうとしている。
…うしろ……後ろ。確実に口がそう動いている。
少年は無一郎のいる水槽を割ろうと集中していて気付いていない。
奈那は少年の後ろを見る──鬼。鬼だ。あの金魚。
考えている暇は無かった。刃物のように鋭い爪が少年を貫こうとしている!
間に合わない。気付くのが遅かった。刺された、鳩尾を。
金魚は驚いてヨタヨタと歩く少年にとどめを刺そうとしている。
鳩尾を刺されてはもう助からない。それでも。
奈那は咄嗟に少年を抱え、その場から離れる。
脚に激痛が走った。肉が深く裂かれた。脚が。痛い、痛い、痛い。
あまりの痛みに意識が朦朧とする。ドクドクと流れる液体を感じる。止血しなければ。
泣き叫ぶ少年。冷静になってと声を掛けるも届いていない。
三人が助かるには私が、柱である彼を救うしかない。そう思い奈那は無一郎に空気を送る方法を考える。
奈那
少年がハッとして声を荒らげる。
???