テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
6件
毎日投稿ッ……負けねぇぞい(???) 続き楽しみ過ぎるってッ………
第一話 「歯車がずれた時」
会議室__。
東京
会議室にはまだ誰も集まっていない。
その部屋には東京とただ一人だけ_。
大阪
大阪
座っていたのは大阪だった。
緩く笑っているが、目は全く笑っていなかった。
東京
東京
大阪
大阪
しばらくの沈黙。
だがその数秒のあいだに、東京の思考は凄まじい速さで巡っていた。
中部の動き、中国・四国の偽装取引、
そして__。あの夜、交わした“契り”の意味を。
そして東京は立ち上がる。
東京
大阪
大阪の呟きは、まるで何かを知っているようだった。
神奈川
神奈川
東京
神奈川
神奈川
東京
東京はゆっくりと立ち上がり、背後のモニターに浮かぶ日本地図を見上げた。
赤い点が、七つ。
それぞれの都市に、ボスがいる。七つの火。
東京
東京
静寂の中で、誰も返事をできなかった。
同時刻__。
大阪
陽気な声とは裏腹に、男の背中からは殺気が立ち昇っていた。
関西の首領――大阪。
金の指輪をじゃらつかせながら、麻雀卓を囲む部下を見下ろす。
京都
京都
大阪
大阪はゆっくりと、煙草をもみ消した。
大阪
大阪
京都
大阪
その笑みは、飄々としていて、底が見えなかった。
同時刻__。
愛知
冷静にモニターを見つめる愛知。
横には静岡が控え、部屋は静まり返っていた。
静岡
愛知
冷たい眼差しが向けられる。
そこにいたのは、愛知の側近――静岡。
どこかおっとりとした口調なのに、瞳は恐ろしいほど無表情だった。
静岡が、わずかに眉を上げた。
静岡
静岡
愛知
静岡
同時刻___。
薄暗い教会跡。
聖堂の壁に、銃弾の痕が穿たれていた。
宮城
宮城は、十字架の前で静かに目を閉じた。
東北の長。無口だが、信頼厚い男。
岩手
宮城はゆっくりと答えた。
宮城
窓の外、雪が舞う。宮城の瞳が冷たく光った。
同時刻__。
広島
広島
広島
彼は静かに筆を置き、真っ白な紙に“嘘”と一文字だけ書き殴った。
広島
広島
広島の唇が、にやりと歪んだ。
数時間後__。
福岡
福岡はその報告を聞いて、長い沈黙を落とした。
福岡は目を閉じたまま、ただ一言つぶやいた。
福岡
福岡
火のついたタバコを、テーブルに押し付けて潰す。
福岡
北海道
短く吐き出すような声が、静寂の雪を裂く。
彼は誰にも言わず、東京から届いた暗号メッセージを破り捨てた。
「もう一度、問う。東京に忠誠を誓うか」
――そう書かれていた。
北海道
彼の背後、無数の刃物と狙撃用の銃が並んでいた。
次回
――その会話の裏で、何人が死んだかは語られない。
第二話 「声なき銃声」