夜彦
先を急ごう

昼食を終えた僕達は
黎明市の中心部へ
歩みを進めていた。
久遠
小鳥遊君、ちょっといい?

僕が止まろうとすると
そのまま歩き続けるよう
静かに言った。
夜彦
どうしたの?

久遠
この市内に入ってから思ってたんだけどさ...

久遠

久遠
誰かに監視されてるかもしれない

夜彦
えっ⁉︎

久遠
静かに‼︎盗聴されてる危険性もあるから大声は出さないで

夜彦
わ、分かった

響子
なァ、思ったんだけどよォ...

響子
誰かアタイらのこと見てねーかァ?

久遠
ちょっ...‼︎

夜彦
声大きいですって‼︎

響子
あ?気付いてたのかよお前ら

雫
え⁉︎そうだったんですか⁉︎誰に⁉︎

響子
んー、よく分かんねーけど...多分、上?

雫
上ってことは...塔からってことですか⁉︎

響子
それは分かんねーけど

響子
てか、何でお前らはコソコソしてんだよ

夜彦
いや、盗聴されてるかもしれないって虎走さんが言ってたから

響子
もし、されてたらバレた瞬間に何かしら攻撃か何かしてくるだろ

響子
それなのに一切、それがねェからただ見られてるってだけじゃねーの?

久遠
わざと泳がされてるのかも...

響子
そんな回りくどいヤリ方して何がしたいんだよ

響子
おい‼︎出てこいよ‼︎アタイらを監視してるヒキニート‼︎

夜彦
ちょ、そんなことしたら

???
それって俺のことっすか?

久遠
なっ...誰?

そこへ現れたのは
天狗のお面を被った
黄緑色の髪の毛の
チャラそうな服装の男だった。
夜彦
何で天狗...?

???
ああ、それに関しては顔を隠せれば、何でも良かったってだけなんで気にしないでほしいっす

雫
流鏑馬(やぶさめ)さん...

久遠
流鏑馬?それがこの男の名前なの?

???
おっと、名前公開...まあ、別に良いっすよ

蘭丸
初めまして、俺の名前は流鏑馬 蘭丸(やぶさめ らんまる)っす

蘭丸
訳あって顔は隠してるっすけど、全然怪しい者じゃないっすよー

久遠
あなたは神様の見習いなの?

蘭丸
そうっすね

久遠
私達の敵?

蘭丸
んー、今は敵じゃないっすけど...今後どうなるかは分からないって感じっすね

久遠
どういうこと?

夜彦
あの‼︎質問しても良いですか?

蘭丸
ん?答えられる範囲内であれば良いっすよ

夜彦
流鏑馬さんも“願い”はあるんですか?

蘭丸
...どこでその情報を?

夜彦
亡くなった血洗島さんが言ってたんです

夜彦
塔へ2人を連れて行けば願いが叶うって...

蘭丸
そうっすね...叶えて欲しいことはあるっすよ

蘭丸
でも、ここで色々暴露してペナルティ受けるのだけは嫌っすからね

久遠
ペナルティ?

蘭丸
おっと、口が滑ったっすね

蘭丸
取り敢えず、俺はこれd

響子
おい、ちょっと待て

響子
お前、神の力持ってんだろ?

響子
くれ、アタイに

蘭丸
神の力...というか元々持ってたというか...

蘭丸
できれば俺も渡したいっすけど、渡し方が分からないんすよ

響子
つまり、お前を殺せば貰えるかもしれねーんだろ?

響子
だったら殺すしかなくね?

蘭丸
待ってくださいっす、俺は別に争いたい訳じゃ

響子
死ね

すると百目鬼さんは
瞬間移動のごとく
流鏑馬さんへナイフを
突き刺そうとした。
しかし、刃先が
彼に当たる寸前で
突如、彼女の持っていた
ナイフが弾け飛んだ。
響子
あ...?

蘭丸
俺は争いごとは好きじゃないんすよ

蘭丸
でも、そっちがその気なら...受けて立つっすよ?

今まで陽気な声質だったが、
彼女の攻撃を受けると
その声は低くなり加えて
一瞬、殺意を感じた。
蘭丸
俺が敵になるかどうかは皆さんの選択次第っす

蘭丸
でも、もし俺が敵になったら真っ先に

蘭丸

蘭丸
水鏡さんを殺すので気をつけてくださいっす

雫
えっ...何で...⁉︎

蘭丸
だって、俺達の目的は一緒じゃないっすか

久遠
その目的って私達を塔へ連れて行くこと?

蘭丸
正解っす

蘭丸
塔へ連れて行くのは早い者勝ち、つまり俺の敵は水鏡さんだけっす

蘭丸
でも、その邪魔をするなら誰であろうが容赦はしないっす

蘭丸
それだけは覚えておいてほしいっすね

夜彦
あの‼︎ちょっと良いですか?

蘭丸
また質問すか?もう答えられそうなことないと思うんすけど...

夜彦
どうして、僕達の前に現れたんですか?

夜彦
監視がバレただけで現れるなんて、あまりにも単純すぎじゃないですか?

夜彦
何か別の理由があるんじゃ...

蘭丸
鋭いっすね、小鳥遊さん

夜彦
あれ?僕、名前言ってない...

蘭丸
監視してたから全員の名前くらいなら分かるっすよ

蘭丸
で、質問の答えなんすけど...

蘭丸
詳しく言うと神様に罰受けちゃうかもなんで、簡単に言うっす

蘭丸
“ライバルを減らすための作戦”っすよ

夜彦
ライバルって...他の神様の見習いですか?

蘭丸
まあ、そこら辺は想像力が豊かな学生の頭脳に任せるっすよ

蘭丸
じゃあ、俺はこれで失礼するっす

夜彦
...ん?

夜彦
あれって...
