テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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0時になると奴らが動き出す

第10話 - 祖父と孫 / 迫る投票時間

2020年08月06日

#マネキン・木製人形

#閉鎖されたデパート

#ホラー

#脱出系

高山蓮夜

俺ら8人は店内にある図書館に来ていた。何故だか開いていたその扉をしっかりと内側から施錠し、中央のテーブルへと向かう

樋口さんさまだ乱れていたが無理もない。ずっと仕事をして来た大切な上司を失ったんだ。あの感じからして、相当、彼の事を尊敬していたんだろうなぁと分かる

佐山翔太

(にしても坂田さんは一体、何を言おうとしてたんだ？GMの正体？彼はこの糞ゲーを仕組んだ首謀者の正体を知っているとでも言うのだろうか？亡くなってしまった以上、もう何も聞き出せないのだが......)

彼は誰よりも先に椅子に座ると怒りながら

樋口剛

俺は納得してねぇからな。坂田さんの遺体をあの場に放棄した事を

と、言ったのだ

日比谷彩人

リーダーの身体は大きく太い。あの筋肉質で重たい身体を運ぶのはデメリットしかないでしょ

大葉凛太郎

そういう事ですよ〜？

樋口剛

ちっ、イライラすんなぁ〜あぁぁぁぁぁぁ

並木愛莉

(......うるさ)

八代美由

(す、凄いイライラしてる)

おじいさん

ごめんなさい、ごめんなさい、本当にごめんなさい

樋口剛

あぁ、イライラする。おめぇのせいだ。少しでも詫びるってなら責任持って死ねや

樋口はおじいさんの胸ぐらをまた掴み、彼の身体を大きく揺さぶった

女の子

や、やめて！おじいちゃんを許してあげて！お願い、お願い！罰なら私が幾らでも受けるから！

並木愛莉

あぁ〜うぜーお前ら、見てられねー

後頭部を右手で全力でかきむしる彼女。そのイライラは彼女も同じだった

日比谷彩人

おい、もうやめろよ。いい加減にしろ。樋口

ごっつい彼の腕を日比谷が掴む

樋口剛

あぁ！？なんだお前。ヤンのか？

日比谷彩人

見てられねーっつってんだろ？やめろよ？こんな事して何になる。もうリーダーは戻って来ねぇだろ？おい、見ろよ？彼女を。泣いてんぞ？こんな小さな女の子泣かして、老いぼれの爺さんイジメて何が楽しいんだ？お前。それが人名を救う職に就く者のする事か？あん？

彼女の言ってる事は全くもって正しかった。いつの間にか泣いている女の子の顔を見て、樋口はその手をおじいさんから話した。それを見るなり彼女も彼から手を離す

樋口剛

ちっ、調子乗んなよ？ただのクソニートが

日比谷彩人

調子乗ってんのはお前だ樋口。リーダーが死んだ今、誰が私たちをまとめるリーダーかと思ったが、少なくともお前はその器じゃない。大人しく黙ってろ

樋口剛

ちっ、あぁ〜イライラする〜

ギスギスした空気の中、恐る恐ると八代がある事を言ったのだ

八代美由

あ、あの〜

並木愛莉

何？

八代美由

何だよ？

樋口剛

なんだ？

怖い感じの3名が口を揃えてそう言った。それを見るなり、少し萎縮してしまったのか八代は「ひ、ひぃ」と言って黙ってしまったのだ

佐山翔太

八代さん、今、何を言いかけてたの？

すかさず、俺が彼女をフォローする。自分が間に入り、こう発言する事で彼女も話しやすくなる筈だと

八代美由

あ、あの〜

佐山翔太

うん？

八代美由

とりあえずお2人の話を聞いた方が〜と、思いまして。まだ名前も聞いてませんし、

その2人を除く者が「あっ」と声を漏らした

並木愛莉

それもそうだな

日比谷彩人

リーダーの事もあるし、自己紹介は手短かにな

かくして俺らはまた自己紹介をした。決定的に違うのは名前だけ教えるって事だ。自身の事は後回し、それはリーダーの死で学んだからな

その2人は祖父と孫娘の関係だった。おじいさんの方は“木野和義(きのかずよし)”と名乗り、孫娘の方は“木野比奈(きのひな)”と名乗ったのだ

佐山翔太

今まで大変でしたね、突然、こんな事に巻き込まれて......

木野和義

え、えぇ、まぁ

木野比奈

おじいちゃん怖いよ、不安だよ。私たち大丈夫だよね？ねぇ？

比奈ちゃんは🧸のぬいぐるみを強く抱き締めながらそう尋ねる。相当、怖くて辛い思いをしているんだろう。無理もない事だ

木野和義

あぁ、あぁ、大丈夫だ。大丈夫。おじいちゃんが比奈を守ってあげるからね、必ず

木野比奈

ホントに！？

木野和義

あぁ。あぁ

樋口剛

何が「おじいさんが守ってあげる」だよ「必ず」。明らかに守られる側のあんたに一体、誰が守れるって言うんだ

木野和義

そ、それは......

樋口剛

けっ、ほら見ろ

投票まで残り34分となった今。エリアBのあるフロアで激戦が繰り広げられていた

男

おい、火炎だぁ、火炎！ゆけファイアー🔥🔥🔥

火炎男(ファイアーマン)

この僕様に指示をしないで欲しいかな

男

いいからヤレって言ってんだろ

火炎男(ファイアーマン)

はいよぉ〜

火炎男(ファイアーマン)

ふぉぉぉぉぉぉぉ⤴︎ ⤴︎⤴︎

火炎男(ファイアーマン)

ファイアー⤴︎ ⤴︎⤴︎

どういう訳かこの男。火炎と呼ばれた者は見た目は完全に消化器なのに、そのノズルスプレーから熱々の超火炎を噴射させる。それもかなりの広範囲の長距離に渡ってだ。マネキンの群れはその炎に焼かれ、一層される

男

鎮火だ鎮火だ。おい、消化！消化だヤレ

ミス消化器

このボクに命令しないでもらいたいかな〜？愚民の糞モブの分際でさぁ(笑)

ミス消化器

部を弁えろっての

男

あぁ〜姉弟揃って面倒な奴だなぁ〜

ミス消化器

はい、鎮火〜

火炎男の姉らしい彼女が気だるげに火だるまのマネキン達を消化した

ミス消化器

あぁ〜終わった、疲れた無理、もう寝たい。悪い夢なら早く冷めて、さっきまで気持ちイイ事してる途中だったの。マジ無理空気読んで死んで

男

はぁ〜

男は溜息を吐く

男

なぁ、どう思うよ？これ？

女

どう思うって？

男

チームワークだよチームワーク

女

ん〜？あんまり詳しい事は分からないけど、まぁ、どうにかなんじゃね？つぅーか、火炎男(ファイアー)とか糞ダサい感じすんのに何気強くね？ウケるW

火炎男(ファイアーマン)

まぁね。これ、火炎放射器だから？マジで。多分、僕様が今、一番強いんじゃね？知らんけど

ミス消化器

流石はボクの弟君だぁ〜当たり武器を引くなんてやるぞでかした！お姉ちゃんは嬉しいぞよ〜！？

火炎男(ファイアーマン)

あ、はい、そうすか(笑)

ミス消化器

釣れないな〜弟くんよぉ〜

火炎男(ファイアーマン)

うわぁ、きっしょ、きも(小声)

ミス消化器

あん？なんか言った？

火炎男(ファイアーマン)

いえ、何も

男

おい、それより早く残りの2人と合流すんぞ

女

その2人って今、何処にいるんですか？

男

ゲーセン内にいるらしい。そこはゾンビみたいにマネキン達がうじゃうじゃしていてな。出ようにも出られないんだとさ。さっきNEXUSの個チャに動画が送られて来た。キモかったよマジで

ミス消化器

え、そんな沢山にいるのにたったボクら4人で救出行くの？それ無理ゲじゃね？死ぬくね？ってか、最悪6人全滅でしょ？

男

そうなんだよなぁ。そこが問題だ

火炎男(ファイアーマン)

キラーン(￣+ー￣)
天才僕様、ひーらめいちゃった〜ひらめいちゃった〜

ミス消化器

なんだい我が弟よ。一体、何を閃いた

火炎男(ファイアーマン)

あ、知りたい？知りたい？

ミス消化器

うんうん、うんうん、うんうん

火炎男(ファイアーマン)

ふっ、ふっ、ふっ。それはもう、何を隠そう、他のグループと合流して協力して助けに行くのさ！キラーン(￣+ー￣)

この瞬間、彼らの時が止まったように感じられた

ミス消化器

な、な、なんと！？さ、流石は天才だぁ、ボクの弟くんよぉ！

火炎男(ファイアーマン)

だろ？姉さん

ミス消化器

うんうん

女

いや、それぐらい誰でも思い付くんじゃ......

火炎男(ファイアーマン)

あ？

ミス消化器

あ？

女

い、いえ何も......

男

兎にも角にもだ。合流するにしても連絡を取らなくてはな

火炎男(ファイアーマン)

あ、その点に関しては僕様にお任せ下さいまし〜！既に何人かにチャットを飛ばしておりまする！

ミス消化器

よっ！流石はボクの弟！やる事が早い！早すぎる！有能だぁ〜！

ミス消化器

で、返信の方は？

火炎男(ファイアーマン)

ん？勿論ZEROだよ？ゼ～ロ～

ミス消化器

は？

女

もうダルいしちゃっちゃっと行って助けよ。火炎いるし余裕でしょ

男

それもそうだな。じゃあ早速行くぞ

女

おん

ミス消化器

うぃ〜

火炎男(ファイアーマン)

よいちょまる〜♬︎

エリアC 4階

そこでは投票をしようか悩んでいる一人の中年女性が居た。名を大塚花。今年、高校2年生の息子を持つ母親だ。

大塚花

真司。必ず生きて元の世界に帰るからね

彼女はその貴重な一票を入れた。するとそれは何処からともなく現れた

走る爆弾型木製マネキン

キュエエエエエ！！！

キチガイみたいに奇声を発するそいつは彼女の身体に飛び付くと即座に爆発をする。辺りには赤い肉片が飛び散っていた。

時、同じくしてエリアＣ内。地下駐車場。ここで沢山停車している車の影に隠れて芋芋している男がいた。

チキン竜田

ぐへへ。ソロプレイやっぱ最強じゃね？つかここマジパなくね？人っ子一人来ないじゃん？このゲームおゆ過ぎwww

分かりやすい死亡フラグを立てるチキン(な)竜田(苗字)。彼の元にもそれは現れた

走る爆弾型木製マネキン

キュエエエエエ！！！

チキン竜田

う、うわ〜く、くるなぁ〜

ドガーンと彼は身を隠していた黒いベンツと共に吹っ飛んだ

エリアAB 残り17名エリアCD 残り13名投票までの時間。残り25分

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高山蓮夜

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