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恭平となんてことない話をしながら帰る 毎日通る道なのに、1人じゃないってだけで 新鮮な感じがする
2人とも学校から徒歩圏内に住んでいて 最近この辺りに引っ越してきたという恭平の家は 学校と僕の家の間にあった 普段朝から晩まで部活の練習で忙しい恭平は 学校へ行く時間も帰る時間も違くて 今まで一緒にこの道を歩いたことはなかった
恭平
と恭平がグレーの外壁の家を指差す その家の前に誰かが立っていた
恭平
大吾
大吾くんと呼ばれたその人は 無地のトレーナーに黒のパンツ姿で シンプルで無駄のない格好をしていた
透けるような色白の肌に艶のある黒髪、 長めの前髪でよく見えないがきょろっとした瞳が どこか小型犬みたいな雰囲気を感じさせる 会釈しようとした時、ザァッと大きな風が吹いた
恭平
前髪が風に揺れて隠れていた 黒目がちな瞳と目が合った瞬間 世界から音が消えて 全てがゆっくりとスローモーションになった
まるで金縛りにあったように動けなくなって 隣で恭平が何かを話している気がするのに 何を言っているのか理解できない ただその瞳に吸い込まれて その場に立っていることしかできなくて
なにこれ、と初めての感覚に戸惑っていると
恭平
恭平にりゅちぇ、と呼ばれて 止まっていた思考がフル回転し始める
恭平
何か話さないと、と慌てて挨拶をする
流星
大吾
ペコリと頭を下げてから顔を上げると また西畑さんと目が合った 一度目が合うとその瞳に吸い込まれるように 逸らせなくなる
恭平
流星
なんとかその視線を断ち切るように バイバイと恭平に手を振りその場を離れる 2人に背を向けて歩き出したものの、 どうしても西畑さんのあの瞳が忘れられなくて そっと振り返った
っ!
すると西畑さんもこっちを見ていて また目が合ってしまった
...3度目や
急に顔が熱くなる感覚がして あの黒々とした瞳から逃れるように 僕は走って家に帰った