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大森

風磨君、時間作ってくれてありがと。

菊池

大丈夫だよ。

最近、映画の撮影で仲良くなった風磨君。 撮影に入る前に、もし何か支障があれば言う事で、Domである事をカミングアウトしてくれていたのを思い出したぼくは、風磨君にPlayをお願いする事を思い付いた。 風磨君には、電話で抑制剤が効かない体質だとう事を話していて、自分で助けになるなら…と言う事で、今日、都内のホテルで落ち合う約束をしていた。

大森

こんな事に付き合わせちゃってごめんね。

菊池

全然!俺で役に立つ事があれば協力するよ!

菊池

むしろ、大森君は俺が相手で大丈夫?

大森

…うん。

本当は、大丈夫かと聞かれたら分からない。 Playをするには信頼関係が必要って聞くし、ぼくは涼ちゃんとしかPlayした事ないし… でも、ワンナイトする人も居るし、大丈夫だよね…?

本当は、自分がSubだと告げる事も嫌だったし、少し慣れてきたとは言え、Playに関して、頭では仕方ないって分かっているのに、気持ちの面ではまだ少し抵抗がある。 でも、こうするしか方法がないから…

ぼくは自分に大丈夫だと言い聞かせた。

菊池

始めるね。

大森

お願いします。

この空気が変わる感じが未だに慣れない。 自分も相手も“普通”じゃなくなる感じ。

菊池

『Kneel』(お座り)

なんだろ…心臓が苦しい気がする。

大森

…っ、

初めてDomの人とのPlayだからよく分からない。 でも、涼ちゃんの時には感じなかった感覚が全身を襲っている。

ぼくは違和感を感じながらも、風磨君が出したCommandに従いその場に座り込んだ。

菊池

『Good』(上手)

待って…

菊池

『Roll』(寝転がって)

風磨君の口からCommandが発せられる度に、どんどん心臓が苦しくなっていく。 Command自体は涼ちゃんと言ってたものと変わりないのに… どうして…? Domだから…?

いや、違う… これは…

菊池

『Good』

気付いた時にはもう遅かった。

菊池

『Look』(目を見て)

やだ、ぼくに命令しないで! やだやだやだ!従いたくない! こわい…!やめて…!

大森

っ、はっ…ぅぁっ…

どうしよう、息が出来ない。 声も出せないから事前に決めてたsafe wordも言う事も出来ずに、どんどんパニックになっていく。

菊池

…大森君?

ぼくの異変に気付いた風魔君が中断して駆け寄り、心配そうに声を掛けてくれたけど、ぼくは自分の胸元を掴み、ヒューヒューと苦しそうに息をする事しか出来ないでいた。

どうしよう、どうしよう、どうしよう。 こんなはずじゃなかったのに。 大丈夫だと思ったのに。 風磨君は悪くないから、そんな顔しないで。 ぼくが悪いの… ぼくが…

菊池

やばい、Sub dropだ…

助けて…苦しい…

〜〜♪

その時、カバンに入れてあったスマホが鳴っている音が聞こえてきた。 そういえば、涼ちゃんが心配だから連絡すると言っていたのを思い出して、ぼくはカバンに手を伸ばそうとするけど、一歩も動く事が出来ない。

菊池

待ってて!

ぼくのその様子を見てた風磨君が、急いでカバンが置いてあるところまで行き、スマホを取り出した。

菊池

出るね?

スマホの画面を見せてくれたけど、視界がや歪んでいてよく見えない。 それでもぼくは、当然、着信の相手は涼ちゃんだと思い込み、風磨君の問いに首を縦に振って答えた。

菊池

もしもし、すみません。
菊池です。

ぼくは必死に息を吸いながら、風磨君が言ってる事に耳を澄ませた。 涼ちゃんが来てくれたら、もう大丈夫… そう思って。

風磨君は電話口の相手にぼくがSub dropになっている事を伝えている。 でも、なぜか上手く伝わってない様子で、ぼくがSubな事、抑制剤が効かない体質である事を風磨君は必死に説明していた。

なんで今更、涼ちゃんにそんな事説明してるの…? 嘘だ… もしかして…

大森

ぁ……待、って…

菊池

若井君も?

ぼくは何とか声を絞り出したけど、風磨君には届かず、予想してた一番最悪な事が起きてしまった。

菊池

…分かりました。

なんで… なんで寄りによって若井なんだよ…

菊池

若井君、5分くらいで来てくれるって。

菊池

だからもうちょっと頑張ろ…。

やだ、会いたくない… 若井にこんな姿見られたくない…

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コメント

7

ユーザー

初コメ失礼します! 色々凄すぎて言葉が出てきませんでした!

ユーザー

色々まさかのまさか過ぎて( °Д° ) これからどうなるんやぁぁああああ( ꒪ㅂ꒪ )

ユーザー

めっちゃ続き気になる!!

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