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母さん…

大丈夫、私が…

彫刻刀を手に取る。

試しにノートのページを切ってみる。

ピッと線が入って切れた。

大丈夫、大丈夫…

何度言い聞かせても 私の心臓は強く打ち続ける。

父さんが起きるのは7時半。

寝ている今のうちに喉を切り裂く。

それが私の作戦だった。

それだけが。

父さんの部屋にそっと入る。

床に落ちてた何かを踏みつけたみたいだったけど、

痛みは感じない。

それくらいに興奮していた。

母さんを殺したやつが

目の前でのうのうと 寝ているのだから。

そこからはあまり覚えていない。

血しぶきで真っ赤に染まるベッド。

私自身も血にまみれながら

分からない。

どうしてか分からないけど

笑った。

今まで生きてきた中で1番高らかに。

そうよ!どうしてもっと早くにこうしておかなかったのかしら!これで、これで…!!

笑いは止まらない。

かけつけた母さんは叫ばなかった。

ただ

悲しげな目で私を見つめていた。

シメキリ(全12話)

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