哀

ずるいよ、私の心を奪ったくせに。

メールで聞かされた事実

それは信じたくないこと。

"好きな人いるんだよね"

知ってたよ、最初から。

ただ私が受け入れられなかっただけ。

でも改めて翔太からそのことを話されると辛くなっちゃうじゃん

自分で打った文字がまた自分の首を絞める

苦しくて堪らない

どれだけもがいたって抜け出せない

まさに奈落。

ずっと自分に言い聞かせてきた

翔太はあの子に興味なんかない

好きになるわけがないって。

本当は気付いていたのに

始まりがあるなら必ず終わりがある

そんな言葉をどこかで聞いた。

私が翔太のことを好きになった時から、こうなる運命だったんだ。

上手くいって欲しくないと願いながらも翔太の相談に乗ってしまう

本当に馬鹿だな。私。

終いには"頑張れ"なんて言ってしまって

思ってもないくせに。

そりゃそーじゃん。

だって翔太かっこいいんだもん。

"お前のおかげ"とか"ありがと"とか

そんなこと言われたらもっと翔太のこと好きになっちゃうじゃん。

そのメッセージに既読はつけず

気付かないふりをして眠りについた

ごめんね、翔太。

ずるい私を許して。

私なんかが翔太のことを好きになっちゃってごめんね。