曲の病

暖かいな…

抱きしめているから直で伝わる体温。

撫でれば擽ったそうに動くし、たまに寂しそうに抱きしめてくる。

いつもと変わらない、そんな行動も、病にかかれば嘘のように感じる。

さっきまで暴れていたうりは、本当に別人だった。

血に飢えたモンスターのような、俺の見た事のない姿。

一方的な好きは、いつか壊れて隙になる。

心に穴が空いて、涼しい風が通り過ぎるんだって、わかってる。

一方的でもいい、知りたいんだ、君のこと。

笑う姿も、怒る姿も、泣く姿も、悲しむ姿も、

全てコンプリートしたい。

歪んでる、歪んでるよ。

こんな俺でも、そんな君は、愛してくれることってあるの…？

まるで、操られてるみたいじゃん…

俺たちは人形で、曲が台本。

俺達は、曲の道具に過ぎないんだな…

今日の朝からずっとそうだ。

ゆあんが暴れた時も、うりが壊れた時も、いち早く駆けつけるのはたっつん。

メンバーの事を思ってしてくれてる。

でも、少し怖い。

そういう人が、黒幕なんて言う世界、

いくらでもあるでしょ？

疑いたい訳じゃない。

何かを問い詰めたいわけじゃない。

信じてるからこそ、なんて言えはいいか、どうやったらいいかわかんないんだよ。

たっつん。たっつんは、なんて言ってくれる…？