最終決戦
そう言うが正しいだろう
俺たちは隊員全体で力を合わせて
あの鬼舞辻無惨を倒した
凄いよね
俺たち
もちろん俺だって頑張った
俺の兄貴分と戦ったんだ
爺ちゃんの為に戦ったんだ
しかもさ
俺勝ったんだよ
ボロボロだったけどさ
今だって身体中痛いもん
なんかよくわかんない ヒビも入っちゃって
でも炭治郎は
片目がなくなってしまった
もうあの火傷しそうなほど 熱い両目でこっちを 見てくれることはない
柱だって崩壊した
どんどん皆死んじゃうんだもん
あんなに強かった人達がさ
鴉たちの知らせで どんどん死んだって伝えられるの
怖いったらないよ
もう柱も2人だけ
けど討伐する当てもないし
もう無くなっちゃうんだけどね
生きて帰ってこれたのは すっごく嬉しい
怖い鬼もいなくなった
それだって十分 嬉しいことなんだろうけど
俺ってば
全然喜べないの
怪我したからとか
沢山の犠牲が出たからとか
そんないいものじゃなくて
もっと自己中な考え方
……
俺1人になっちゃう
また1人ぼっちになっちゃうんだ
嫌だ
それだけが嫌なの
もう俺誰の役にも立てない
どうしたらいいんだろう
どうやって生きていけばいいの?
鬼と戦うのは怖かったけど
ずっとコイツら倒して行くんだって
それでいつかヘマでもして
鬼に食われて死ぬんだって
それまでは
鬼殺隊として
求められて、助けて、褒められて
そうやって生きていけるって
これから死ぬまでは1人じゃないって
思ってた
この生活がいつまでも続くって
勝手に思ってた
でも多分違うんだろうな
あの生活が続いてくれればって
願ってたんだ
1人じゃない、仲間のいる、
そして鬼もいる
そんな生活を願ってた
本当
鬼殺隊として最低だよ
善逸
うこぎ
善逸
うこぎ
パサりと羽ばたいて 少し先の木に留まる
善逸
善逸
善逸
善逸
善逸
俯いた拍子に 目元に溜まっていた水が頬を伝う
善逸
善逸
だって
もう戻れない
辛くて苦しくて悲しいけど
どこかすごく満たされる
あの頃には戻れない
善逸
善逸
うこぎ
ぎっ、ぎっと床が軋む音が聞こえる
炭治郎
善逸
炭治郎
炭治郎
炭治郎
炭治郎
善逸
そっと抱きとめられる
長い長い戦いの後
お互い重症で暫く会えていなかった
善逸
炭治郎
炭治郎
こんなに優しいお前は
俺がどうして泣いているのかだって
話しても理解はしてくれない
でも
お前は優しい奴だから
俺が言えば
俺を1人にしないでくれるんだろうな
善逸
善逸
炭治郎
炭治郎
炭治郎
ほらね
音も本気なの
優しすぎて笑っちゃう
酷いやつだよ
炭治郎
炭治郎
炭治郎
炭治郎
善逸
善逸
炭治郎
するりと髪に指が通される
解くように動くその手が
善逸を安心させた
炭治郎
炭治郎
善逸
炭治郎
炭治郎
善逸
善逸
善逸
炭治郎
炭治郎
善逸
善逸
善逸
炭治郎
炭治郎
善逸
やっぱり安心するんだ
炭治郎の音
声も心音も呼吸も
全部が俺を包み込む
炭治郎から離れる事が いちばん怖いのかもしれない
炭治郎
善逸
炭治郎
善逸
どうして善逸は
本当に苦しんでる時や悲しい時に
声を押し殺して泣くのだろう
いつものように
助けて欲しいと 叫んでくれたらいいのに
炭治郎
もう助けは求めてくれないのだろうか
鬼の居なくなったこの平和な世界で
善逸は助けなんて 求めてくれないのだろうか
善逸の頬にできた傷を そっと撫でる
この傷はきっと
善逸に深く刻まれて
いつまでも善逸を苦しめる
善逸のお兄さんが
そう刻み込んだんだ
善逸はきっとこの傷を見る度に あの戦いを思い出して
そして鬼になったお兄さんを 思い出す
それが少し
ほんの少し
羨ましいと思ってしまった
記憶が形となって刻まれる
見る度触れる度痛む度 嫌でも思い出してしまう
そんな傷跡
炭治郎
炭治郎
善逸
炭治郎
爛々と光る炭治郎の瞳が熱を持つ
炭治郎
傷は付けたくない
きっと泣いてしまうから
炭治郎
炭治郎
善逸
傷を伝い指が唇に辿り着く
これが『好き』なのかも 分からない
この思いはどこへ向かうのが 正しいのだろう
炭治郎
重心を落としてかさなりあった唇は
罪悪感だけが残るものだった
コメント
3件
続きください!
コメントありがとうございます!!すごく励みになります(´;ω;) 炭善は不滅ですねっ( *˙ω˙*)و グッ!