私には気になることがある
破蕾 鈴
……
竜崎 翔
スー…スー…
破蕾 鈴
(またソファの上で寝てる)
それは、私の夫、竜崎翔
破蕾 鈴
(薄い毛布掛けとこ)
竜崎 翔
ん〜、…スー…
何故、彼はあんなに強い人たちを従えて 番長にまで成り上がったのか
竜崎 雷華
何か
竜崎 楓太
悩み事ですか?
破蕾 鈴
うわっ!
顔に出ていたのか、双子が私の顔を 覗き込んでいた
破蕾 鈴
翔さんはなんで番長に
なったのかなって
なったのかなって
竜崎 雷華
それは…
竜崎 楓太
僕たちが原因ですね
破蕾 鈴
え?
その言葉には驚いた、焚き付けたって ことだろうか?
竜崎 雷華
お話してあげる
破蕾 鈴
お話?
竜崎 楓太
いわゆる昔話ですよ
昔、兄さんはイジメられていました
本人は気にしていませんでしたが、僕たち はよく止めに入っていたんです
竜崎 雷華
お兄ちゃんをバカに
するなー!
するなー!
竜崎 楓太
兄さん、大丈夫?
竜崎 翔
…気にすんな
丁度兄さんが中学2年、僕たちはまだ 小学生でした
しかし、次第に標的は兄さんから僕たちに 変わっていきました
そしてある日、不良達に囲まれて殴られ 続けた時があったんです
竜崎 雷華
お兄ちゃん!
楓太兄ちゃんが!
楓太兄ちゃんが!
竜崎 翔
!、楓太!
竜崎 楓太
だ、大丈夫ですよ…殴り返し
てませんから…
てませんから…
僕は何とか妹を守り切りました、その時…
竜崎 翔
良くやった
竜崎 楓太
!
兄さんが僕の頭を撫でてくれたんです
竜崎 翔
大丈夫だ、後は何とかする
そう言って、兄さんは家を出ました
帰って来たのは翌日の朝でした
竜崎 翔
………
竜崎 雷華
あ!お兄…ちゃん…
竜崎 楓太
兄さん!…え…
玄関に立っていたのは血まみれになった 兄さん本人でした
竜崎 雷華
お兄ちゃん!?
怪我したの?
怪我したの?
竜崎 楓太
兄さん!何やって…
そして、兄は倒れました、寝ただけだと 知った時はホッとしましたよ
翌日から、イジメられる事は無くなりまし た、寧ろ不良達が頭を下げる様になったん です
破蕾 鈴
そんな事があったんだね
竜崎 雷華
あの時のお兄ちゃん
凄く怖かった…
凄く怖かった…
竜崎 楓太
朝一番、玄関に血塗れの
竜人が立ってたら
竜人が立ってたら
竜崎 楓太
誰だって怖いだろ
竜崎 楓太
僕が驚いたのはほぼ無傷
だったって事ですね
だったって事ですね
破蕾 鈴
やっぱり強いんだね
竜崎 雷華
鈴お姉ちゃんは
怖く無いの?
怖く無いの?
破蕾 鈴
私はその強さに助けられたから…
破蕾 鈴
だから、全然怖くないよ
竜崎 翔
何の話してんだ…
ソファで寝ていた翔はゆっくりと体を 起こす
破蕾 鈴
貴方の話
竜崎 翔
俺の?何の?
破蕾 鈴
ひ
竜崎 雷華
み
竜崎 楓太
つ
竜崎 翔
なんだよ揃いも揃って
竜崎 翔
風呂でも入るかね…
竜崎 雷華
お兄ちゃん!私も!
竜崎 翔
ダメに決まってん
だろうが!
だろうが!
竜崎 雷華
ケチー
竜崎 翔
ケチとか言うな






