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手から、腕から、背中から、冷たくて固い感触が伝わってくる。
俺は…寝転がっている?身体が動かない、指1本動かない。
?
?
頭の中で声が反響する。
声は途切れ途切れで、発声している男の顔にはもやがかかっている。
気づいたら俺は走り出していた。さっきまで動かなかった筋肉が必死に動いている。
しかし、十数メートル走ったところで転んでしまった。体を冷や汗が伝う。
そして…
麗
気づいたら俺は病室の寝台で眠っていた。
隣で機械の心電図が電子音を奏でている。そんな音を呑気に聴きながら先程見ていた夢を思い出す。
俺はどこにいた?あの男は誰だ?なぜ走った?その後何が起こった?
…何故だ、考えれば考えるほど頭から抜けていく。
男の声も、男の容姿も、床の冷たい感触も…
……俺自身の事も。
俺はなぜここで寝ている?俺はどうやってここまできた?俺はいつまで寝ていた?
…俺って…誰だ?
俺、俺、オレ、ボク?ボク?おれ?
なにも、わからない、頭が、しろく…
…気絶しそうになった瞬間、病室へと大きな足音が近づく。
?
着いた瞬間、その人は大きなため息を着いてぐったりしていた。
?
目の前の男がそう俺に言う。…麗?おそらく俺のことだろう。
?
麗
?
?
?
…ああそう。恋人なのか。
……は!?こんな!?男が!?恋人!?
籠
籠
籠
そして、男がこちらへと近づき、俺の唇にキスをする。
麗
籠
籠
そう言い、キスした後の俺の唇をれろ、と軽く舐めとる。
籠
麗
己の唇を指でなぞる。籠の唾液がまだ残っているようだ。
記憶の抜け落ちた脳、見知らぬ男…
麗