瀬名薫
瀬名薫
シャンシャンシャンシャン
岩泉
着替えて松川と部室を出ると、タイミング悪く変態タンバリンマネージャーと顔を合わせてしまい、松川を待たずに先に帰れば良かったなと後悔する。
が…
瀬名薫
薫はあっさりと身を翻して、校門の方へと足を向けた。 その様子に、あれ?と拍子抜けをする。
松川
瀬名薫
薫は晴れやかに笑うと、軽い足取りでルンルンと…いや、シャンシャンと歩いて行く。 タンバリンを鳴らして遠ざかっていく背中の数メートル後ろを歩いていると、ふと松川が俺に耳打ちをした。
松川
岩泉
松川
岩泉
松川
岩泉
松川
顔を顰める俺に、松川は意地の悪い薄笑いを浮かべる。 …こいつ。面白がってやがる。
松川
松川
余計なお世話だと睨み付ければ、松川は歩くスピードを速め、薫を追い抜いた。 じゃあね。後は若いお二人で。 顔をニヤつかせる松川に、薫は何のことだと首を捻る。
瀬名薫
目の前で繰り広げられる独り言に息をつくと、仕方ない、と早足に歩き出す。ファンキーババアを呪文のように繰り返す薫の肩にポンと手を置いた。
岩泉
瀬名薫
意味のわからない悲鳴を上げながら薫は猫のように飛び上がった。勢いよく振り向き、怯えたその目に俺を映すと、岩泉様か…とほっと胸を撫で下ろす。
瀬名薫
岩泉
瀬名薫
岩泉
瀬名薫
真っ暗な夜道。ふと、隣を歩く薫が急に笑いだした。 何の笑いなんだと尋ねれば、薫は頬を緩ませて溢れるようにして柔らかく微笑んだ。
瀬名薫
薫は幸せな夢の中にでもいるかのように、うっとりとした目で俺を見つめた。
真っ直ぐすぎる気持ちをそのまんまどストレートに伝えてくる薫に、またもや心をほんの少しだけ揺さぶられるが、それを悟られまいと真顔を貫く。
岩泉
瀬名薫
岩泉
瀬名薫
岩泉
瀬名薫
岩泉
瀬名薫
岩泉
ちょっと待っててくださいね!今出しますから! 俺の言葉は無視してんのか聞こえてないのか、薫は自分のバッグを開けて漁り出した。
瀬名薫
薫がバッグから一枚の紙を引っこ抜いたその時、何かが引っかかって、俺と薫の間に音を立てて落ちる。
それは一冊の本だった。背の部分には分類を示すラベルが貼られていて、ウチの図書室の本なんだと分かる。タイトルはーー、
“わかりやすいバレーボールのルール“。
瀬名薫
岩泉
岩泉
軽く屈んで本を拾い上げると、表面に付いた砂を軽く叩き払う。ほら、と差し出せば、薫は恥ずかしそうに頬を真っ赤に染めて、視線をざっぷんざっぷんと大きく波立たせていた。
瀬名薫
薫は俺の目をまともに見ることができず、顔を俯かせながら本を受け取ると、隠すようにして胸に抱いた。
…え?何で照れてんのこいつは?恥ずかしがるポイントが全然分かんねぇんだけど。
目を丸くさせて薫を見つめていると、薫は言い訳を並べ立てるようにしてテンパりながら口を開いた。
瀬名薫
瀬名薫
岩泉
瀬名薫
岩泉
カラオケ店の前に到着する。…が、出入口にはCLOSEの札が掛かっていた。 更に、自動ドアにはデカデカと、閉店のお知らせの文字と、これまでご愛顧頂きましてありがとうございました、などとつらつらと文が書かれていた
瀬名薫
瀬名薫
岩泉
瀬名薫
どうしたらそういう考えに行き着くのか、薫はバカ真面目に自分のせいだと思って、酷く動揺していた。 笑いそうになるのを、口の中を奥歯で嚙むようにし堪える。
瀬名薫
岩泉
瀬名薫
耐えようにも耐え切れず、遂には吹き出した。
もう無理だ。なんだこいつ。頭ん中どうなってんだよ。おかしすぎだろ。 腹いっぱいに声をあげてゲラゲラと笑いだす俺に、薫はきょとんと首を傾げていた。
岩泉
瀬名薫
岩泉
瀬名薫
緊張から解放されたからか、薫は力が抜けたようにしてその場に膝を折ってしゃがみ込む。バッグからタンバリンを取り出すと、愛おしそうにふっと微笑んだ。
瀬名薫
岩泉
コメント
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バカの容量を超えすぎておもろい笑
(っ'ヮ'c)<ワロタクロリッシュww