翌日の昼休み
教室は、まるで嵐の前の静けさみたいだった。
ゆいが席に座った瞬間── 9人の視線が一斉に向く。
星野 ゆい
その理由はただひとつ。
昨日、ゆいが熱でぼんやりしながら呼んだ “誰かの名前”。
本人は覚えていない。 けれど、それを聞いた“誰か”がいるらしい。
そして今── 9人全員が 「自分の名前だったに違いない」 と確信していた。
橋本涼
……え?
その一言で教室は一気にざわつく。
井上瑞稀
瑞稀が机に手を置き身を乗り出す。
井上瑞稀
とんでもない嘘まで混じり始める。
は? それは無い。
琳寧が冷静に切り捨てる。
井上瑞稀
菅田琳寧
井上瑞稀
教室の温度が一気に上がる。
気づけば、ゆいは9方向から囲まれていた。
橋本涼
本髙克樹
今野大輝
井上瑞稀
鈴木悠仁
(いや、だから覚えてないってば……!!)
ゆいは机に押しつけられるように後ずさる。
星野 ゆい
一瞬の沈黙。
そして── 全員が同時に立ち上がる。
井上瑞稀
川崎星輝
稲葉通陽
菅田琳寧
本髙克樹
今野大輝
橋本涼
……ついさっきまで争ってたくせに。
方向は違えど、 “ゆいが大事”という気持ちだけはブレないらしい。
井上瑞稀
菅田琳寧
井上瑞稀
菅田琳寧
今野大輝
ついに教室の隅で、 保健室送り担当争奪戦 が始まった。
ゆいは頭を抱える。
星野 ゆい
でも、9人の熱はしばらくおさまりそうにない。
「ゆいちゃん、」
落ち着いた声で呼ぶのは── 誰よりも冷静な星輝
その目だけが、喧騒の中でまっすぐゆいを見ていた。
(……あ)
胸の奥が少しだけ熱くなる。
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