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俺はもう、 打てる手がない。
話を引き延ばし、 助けを待ったが、 驚くほど廊下は静かだ。
後輩
本当にこれで終わりなのか?
これ以上の逆転は……。
奥出
後輩
教室の出入口に立っていたのは、 生徒会長の奥出だった。
奥出
後輩
奥出
俺はお前をずっと待っていた……!
後輩
奥出
後輩
後輩は素直に怪文書を手渡した。
奥出
後輩
奥出
俺は見ていることしかできなかった。
奥出は珍しく、 本気で怒っているようだ。
後輩
奥出
後輩
なかなか後輩は引き下がらない。
俺が口を挟もうとした、その時。
奥出
後輩
奥出
どうやら俺を助けることは手間らしい。
後輩
奥出
後輩
奥出
後輩の顔はあからさまに青ざめていた。
後輩
膝から崩れ落ちた後輩を見ながら、 俺は複雑な気持ちになっていた。
奥出は後輩を連れて、 生徒会室へと行ってしまった。
奥出と入れ替わるように、 友人が教室に入ってきた。
友人
拓斗
友人
そんなタイミングよく来るなんて怪しいな。
拓斗
友人
拓斗
まあ、知らなかったんだから仕方ないか。
友人
拓斗
友人
男がそう易々と、 助けなんて求めてられるか。
拓斗
友人
拓斗
約一時間は話し込んでいたと思うが、 あの後輩は一切表情を変えず、 俺を陥れることしか考えていなかった。
友人
拓斗
友人
俺の頑張りは何だったんだ。
拓斗
友人
奥出は優しい奴だ。
きっと大切な、 大切だった後輩に、 酷い仕打ちはしないだろうと、 俺は思っている。
生徒会室では、 心に穴が開いた後輩と、 生徒会長の奥出が話をしていた。
奥出
後輩
奥出
奥出はまだ怒りが収まっていなかった。
教室から生徒会室に向かう最中も、 この結果が悔しくて仕方がなかったのだ。
後輩
奥出
後輩
後輩はこれは所詮、 たった一度の過ちだったのだと、 甘く見ている。
奥出
後輩
奥出
これは単純な話で、 元気のない生徒を喜ばせたいという、 奥出のエゴに過ぎなかった。
後輩
奥出
後輩
後輩の本当の過ちは、 人の気持ちを考えず、 自分の保身に走ったこと。
奥出
後輩
奥出
堅苦しい言葉遣いは消え、 表情は緩み、 大粒の涙を流す後輩。
うつむいたまま、 奥出の顔を見ることができない。
後輩
奥出
後輩
後輩はすらすらと書類にサインをし、 軽くお辞儀をした後、 生徒会室から出ていこうとした。
奥出
後輩
奥出
また泣き顔になる後輩の頭を、 奥出は優しく撫でた。