楡井
体育休むんすか!!?
楡井
蘇枋
蘇枋
日が眩しい体育の授業の中 周りはそそくさと 準備運動を始めていた。 それを横目に俺とにれくん は2人で話をしていた。
蘇枋
突き刺さって動けないだけだよ!
楡井
カラッと笑い切る俺に にれくんは突っ込みをした。 ある意味、 足首は腫れていて動く度に痛いし 動けない。
向こうの方から 「楡井ー!!!はやくこい!!」 という怒号が聞こえてきた。
楡井
ちゃんと言ってくださいっすよ!!
蘇枋
こちらをちらっと覗きながら 走っていくにれくんを 手をヒラヒラと振りながら送り出した。
1人遠くから見る体育は こんなにもつまらなく 時間の流れが遅く感じるのかと 嫌という程痛感した。
まだ少し涼しい季節なので やわらかい風が吹いていた。 落ち葉が巻き上がる傍、 君はそこに居た。
蘇枋
蘇枋
桜
ボロボロな君は ポケットに手を突っ込んだまま こちらに向かい歩いてきていた。
桜
桜
ぶっきらぼうに そっぽを向きながら 俺に話してきた桜君。 なんだか面白くって クスッと笑ってしまった。
蘇枋
動けなくてねー!
桜
じゃねぇか
にれくんと言い方は少し違えど、 同じことを言う桜君は さらに面白く可愛くも思えた。
桜
蘇枋
思ってね
風が俺たちの 髪や服を揺らした。
桜君の前髪が揺れ、 どんどん赤くなってゆく 可愛い桜君の表情がみえた。
保健室の窓から見えた蘇枋の様子が おかしく思え、 部屋を抜け出し ここまできた。
見学している理由を聞くにも、 足が刺さってるだの 変なことを言い出しやがった。
さっきからニコニコ楽しそうに 蘇枋は笑っていた。
桜
蘇枋
その時の蘇芳の表情は、 風に揺られた髪のお陰で よく見えた。
少し頬を赤らめつつ 微笑み俺を見ていた。
桜
桜
蘇枋
桜
桜
桜
桜
無理やりそらされそうな話を 戻した。 蘇枋はニコニコしたまま 口を動かさなかった。
冗談じゃないんだけどな と思いながら、 桜君の言葉になんて答えようか 迷っていた。
正直に真実を伝えたら 優しい君だ きっと自分を責めるであろう。 嘘を伝えても、 きっと君ならすぐ分かってしまう だって今の俺は、 あの桜君に嘘を見破られて しまいそうなくらい、 表情に出てわかりやすいからだ。
じゃあ、 どうしたらいいのだろうか。 いつもはすぐ回る頭も 桜君の事となると、 思考が止まる。
笑ったまま固まる俺の表情 をみてからか、 先に桜君が口を開いた。
桜
言わなくていいだぜ
きっとこの時の俺は、 声も出さぬまま口を開け ぽかーんと立っていただろう。 自分で見てなくてもわかるくらいな 間抜け面をしていたのでは 無いだろうか。
桜
桜君の口角がにぃっとあがった。 この瞬間、太陽の光が誰よりも似合っていた。 まるで光を浴び大きくなる桜の 木の様に
この瞬間も俺は、 桜君のことをかっこいい。 ただそう思った。