コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
翌朝。 私が校舎に入ると、すでに昇降口の空気が妙に重かった。
……なんか嫌な予感する
そっと下駄箱へ向かい、靴を取り出していると――
おはよう、ゆいちゃん!
ぱっと明るい声。 通陽が満面の笑みで手を振りながら走ってきた。
稲葉通陽
いや、今日は俺、
通陽の腕を掴んで止めるように、 琳寧が静かに立ちはだかった。
菅田琳寧
稲葉通陽
その2人がバチバチし始めた直後――
ゆいちゃん、こっち
ひょい、と腕を取られた。 振り返ると、悠仁が半分寝ぼけた顔で立っていた。
鈴木悠仁
星野 ゆい
鈴木悠仁
その発想怖いんだけど!?
そこへ、克樹がスポーツバッグを肩に引っかけて割り込む。
本髙克樹
さらに、大輝が優雅に髪を整えながら微笑む
今野大輝
黎もスマホをぽちぽちしながら近づいてきた。
矢花黎
載せるな!!
全員がいっせいに突っ込む
ほんとにやめて……死ぬから……!
すると、後ろから小さな声がした。
……ゆいちゃん
振り返ると、昨日手をつないで帰った星輝が立っていた。 今日も大きな瞳がうるっとしている。
川崎星輝
星野 ゆい
その一言で、空気がビリッと凍った。
今野大輝
大輝が本を閉じながらため息をつく。
今野大輝
やだ、怖い……!
案の定、男子たちがざわめき始める
井上瑞稀
鈴木悠仁
橋本涼
本髙克樹
菅田琳寧
本髙克樹
菅田琳寧
稲葉通陽
喧嘩してる原因、全部私じゃん……!
ガヤガヤと揉めていると、琳寧が静かに言い放った。
菅田琳寧
全員が琳寧を見た。
「星乃ゆい。 俺たちは、君が好きだ」
星野 ゆい
菅田琳寧
その言葉に、陽斗が頷く。
稲葉通陽
悠仁も苦笑しながらポケットに手を入れる。
鈴木悠仁
涼は腕を組み、真っ直ぐに言う。
橋本涼
克樹は優しく微笑む。
本髙克樹
黎はニヤリと笑う。
矢花黎
大輝は静かに本を閉じて言った
今野大輝
そして、星輝は一歩前に出て、ぎゅっと私の手を握った。
川崎星輝
――9人全員の視線が、私に刺さった。
ちょっと待って待って待って……!
心臓がうるさく鳴る。 呼吸が浅くなる。
そのとき、
……ゆいちゃん。逃げよ?
宙から降るように聞こえた小さな声。 通陽が私の腕を掴んで走り出す。
星野 ゆい
稲葉通陽
9人が同時に追いかけてくる。
橋本涼
井上瑞稀
鈴木悠仁
矢花黎
今野大輝
いやいやいや全然落ち着いてない!!!
こうして――
“9人の王子による、星乃ゆい争奪戦”が 本格的に幕を開けた。