人形屋さん。
ねえ。
人形屋さん。
怖い話しよ?
サラリーマン。
そうだな。
サラリーマン。
昔聴いた話をしよう。
人形屋さん。
ほうほう。
サラリーマン。
昭和の記憶がない世代が増えているんだよ。
人形屋さん。
平成と令和があるからね
サラリーマン。
そうなんだ。
サラリーマン。
だから誰も理解していないと。
サラリーマン。
恐れていた
人形屋さん。
そんなことで?
サラリーマン。
小さなトゲなんだよ。
サラリーマン。
こころに刺さるものとは。
人形屋さん。
それは半分だけは正しいんじゃないかな?
サラリーマン。
正しい?
人形屋さん。
半分しか分からない。
人形屋さん。
小説も人間も
サラリーマン。
たしかにね。
人形屋さん。
だから忘れるべきだよ。
サラリーマン。
昭和の記憶を、か。
人形屋さん。
血潮に染みたものは忘れない。
人形屋さん。
遺伝子も記憶も含めて。
人形屋さん。
あ!
サラリーマン。
??
人形屋さん。
供養だよ。
人形屋さん。
あなたの魂の安らぎも
サラリーマン。
供養をする、というのか?
人形屋さん。
利他とは生きていくうえで必要な知恵だよ。
サラリーマン。
しかし過去は重い。
人形屋さん。
そうだね。
人形屋さん。
ある哲学者はそれを「重力の霊」といった。
人形屋さん。
令和元年が始まるのだ。