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ピピピッ
ピッ
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なんて事はない日常の朝。
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鏡を見る。
見慣れた黒髪、深い青の瞳に左目の下の涙ぼくろ。
人より長く伸びた犬歯。
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顔を洗い、朝食を摂るためにリビングへ赴く。テレビをつけ朝のニュースを確認する。
『速報です!突如として街中に現れた“大型敵”が“No.1ヒーロー、オールマイト”の活躍により撃退されました!』
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テレビにはそのオールマイトが超人的パワーで敵を殴り飛ばす様子が映し出されている。夢のような光景だが、自身を取り巻く環境がそれを現実だと訴える。
“敵” “ヒーロー” “オールマイト”
夢のようで夢じゃない光景。
世界人口の約八割が“個性”と呼ばれる超常的能力を手にした超常社会。能力を悪用して犯罪を犯す悪人を“敵”と呼ぶ風習。そしてその敵を個性を扱い倒す“ヒーロー”と呼ばれる人々によって成り立つ、あまりにも覚えがあるこの世界。
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どうやら俺は
ヒロアカの世界に転生してしまったらしい。
これは俺が子供の頃の話。
まだ5歳くらいの時だったかな。
子供
子供
子供
子供
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俺の名前は「金城時哉」。物心ついた時に前世を思い出した。
個性は“吸血鬼”。生き物の血を吸って身体能力を強化することができる。他にも血を操ることができたり、日光に弱かったり、まあ所謂物語の中に出てくる、俺が知っているものと大体同じ。
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子供
ガッ(石投
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ヒーローを盲信しているこの社会は、生まれ持った個性が“悪役っぽい”。ただそれだけで人々の差別の対象になるようだった。吸血鬼なんて個性を持って産まれた俺は、それだけで虐められていた。
ただ、それだけで。
俺が血を飲んでいようがいまいが、イジメに事実は関係ないのだ。
それに子供なんてものは加減を知らないから
子供
子供
ゴゥッ(炎
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子供
子供
子供
子供
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個性で怪我を負わされる事は日常茶飯事だった。
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ガッ(投
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母
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母
母
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母
母
俺の個性のせいで、母は人付き合いの面で迷惑を被っているらしく、ストレスからいつの日からか俺に八つ当たりをしてくるようになった。まあきっと、自分がうまくいかない理由を他人に押し付けているだけだろうけど。いつも喚き散らしていて、あの人が家で怒っていないところを俺は見たことがない。
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きんとき!
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或いは二度目だからなのか。前世の記憶を思い出してからは、俺は昔の思い出に浸るようになっていった。
でも、あの頃はずっとずっとマシだったんだ。
それが分かったのは俺が8歳の頃だっただろうか。
猫
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家が嫌になって飛び出して、夜も更けた頃。帰り道の途中に、車にでも轢かれてしまったのだろう、血まみれで倒れている一匹の猫がいた。
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ドクン
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ドクン
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ドクン
赤い血がテカテカと街灯の光を反射して輝いている。キツイ鉄の匂いが漂い、その芳しい香りに気がつけば涎が垂れていた。
ああ
我慢できない
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個性の影響による吸血衝動
この後、俺は人に見つかって通報された。
我慢できなくて、結局死骸がカラカラになるまで血を吸い尽くしてしまった。この出来事が噂になって俺たちはこの街に居られなくなり、遠くの街へ引っ越した。
あの時のことはよく覚えていない。
ただ見つかった俺は
両手や服、口の周りをべったりと血で汚し、深く醜く、笑っていたらしい。
ああいや、ひとつだけ覚えていた
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初めて飲んだ血は、甘く、滑らかで、とてもとても美味しかった。
ドカッドコッ(殴
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母
母
母
母
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母
ドゴッ(殴
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引っ越さなきゃならなくなった時はそれはもう大変だった。俺が脇目も振らずさながら化け物のように生き血を啜っていたと知って暴力を振るってきたヒステリックな母、いつもは無関心だけれど珍しく焦っていた父。
“吸血鬼の親”
さぞ不都合で不名誉な肩書だったろう。
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あれから何年も経って中学生になった。イジメは無くなって、友達も出来て、しばらくは有意義な生活を送っていたと思う。
同級生
同級生
同級生
同級生
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個性への偏見は無くならなかったし、その頃にはもうすっかり人間嫌いになってしまっていたが。
キーンコーンカーンコーン…
同級生
同級生
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キィ…(扉開
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“あの件”から、どうしても無視できない問題ができてしまった。だから、昼餉は人目のつかない屋上で摂ることにしている。
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吸血衝動はあれから無くなるどころかどんどん肥大し続けていて、とうとう日常生活に支障が出るところまで来ていた。人が多い所だと特に酷い。
だからこっそり動物の血を買って、毎日隠れて摂取している。
内が見えない容器に入れてストローで吸う。誰もいない所でやるのは念のため。
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にしてもここまで衝動が酷いのは、ストレスのせいなんだろうか。
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ガチャ(扉開
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同級生
同級生
同級生
同級生
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そうやって足早に移動する。この時、俺はきっと焦っていたんだろう。
ドンッ(押
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同級生
足元がおぼついて、絡まった足に引っ掛かって転んで、ちゃんと蓋を閉めようと水筒に手をかけたところで、まだ蓋が緩んでて、
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バシャァッ
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カランカラン…(転
同級生
同級生
ぶつかった衝撃で水筒を取り落とし、蓋が外れて中身がぶち撒けられた。赤い軌跡をつけながら蓋が転がっている。ぶつかった学生の足にかかり、ベッタリと血が付いてパニックになっているようだった。
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そこまで言って一瞬言葉に詰まった。
何も間違ってなんかない。現に俺は血を吸っていたじゃないか。
それでも口からは否定の言葉しか出てこない。誰に言っているのかも分からない。
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同級生
同級生
同級生
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kn
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完全に否定することはできなかった。
屋上から皆逃げ出した後も、尻餅をついたまま、暫く呆然としていた。
あの後は散々だった。
ヒソ…ヒソ
同級生
同級生
同級生
同級生
同級生
同級生
同級生
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顔も見たくないと、専業主婦の母はいつも俺を朝早くに家から追い立てるし、かといって嫌になって学校をサボれば学校に行けと怒られる。
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同級生
同級生
同級生
同級生
同級生
同級生
話は瞬く間に校内に広まり、友達だと思ってた奴らは皆俺を避けるようになって、噂には尾鰭がついて根も葉もないそれを根拠に謂れのない悪口まで言われるようになった。
最初は気味が悪いからと、嫌がらせや暴行を受けることもあったけど…
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ああ
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正直、個性と上手く付き合って生きるのがこんなに大変だとは思わなかった
でももし、俺に記憶が無くて、個性が“当たり前にあるもの”であったら、ここまで苦しむ事にはならなかっただろう。
俺がこんなに苦しいのは前世の記憶があって、中途半端に理性を持っているからだ。そのせいで自分自身の感情に素直になれなくて、常識ある大人だから我慢しなきゃって思ってしまう。
「血を吸ってはいけない」
個性を持つ俺はどうしてやっちゃダメなのかと思う。常識のある俺はそんな簡単なことも分からないのかと思う。
ヒロアカの世界に転生したって気づいた時は、前世には存在しなかった超常に正直テンション上がったよ?
でも
こんな“単純なこと”に悩み続け事になるなんてどうして想像できよう。
そこからは兎に角勉強を頑張った。勉強ができれば、周囲は自分のことを「すごい人」だって認識してくれるだろうから。
昔から他人のような関係だった両親にも、頑張って良い学校に行けば、一度くらいは認めて貰えるんじゃないかって
そんな期待もあった。
決して良い人達だとは言えないけど、ここまで自分を育ててくれたんだから
一度くらい…
そうして猛勉強の末
俺は雄英高校の普通科に合格することができた。
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母
母
その目は俺を見ていなかった。
こんなに気の乗らない新学期がかつてあっただろうか。
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皆がいたら、もっと楽しかっただろうな、なんて。
一人でいることが増えて思い出に彷徨うようになってからはいつもこんな感じの事を考えているような気がする。
でも仕方が無いだろう。誰も俺のこと理解してくれなかったんだから。 皆の事ばっかり考えてるから、彼らに似た容姿を持つ人を見かけるとドキッとする。前方を歩く人の、前髪から覗く澄んだ水色の瞳なんて、かつての友人にそっくりでーー
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目を疑った。
落ち着いた茶髪に、片方だけ長い前髪。冬空のように澄んだ、あの水色の瞳は。
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見間違うはずがない。忘れた訳もない。まごう事なきNakamuが、そこにいた。
かなり前を歩いていて、鞄に付いている空色パンダと白い尾のキーホルダーがチラリと見えた所で人混みに紛れて見失いそうになり、気がつけば走り出していた。
タッタッタ、
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走る。
友人らしき人物の背中を追う。
ずっとずっとずっとずっと皆のことを想ってた。
見間違うはずがない、忘れた訳がない
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角で見失いそうになりながらも、彼が教室に入っていくところが辛うじて見えた。
今はこれが都合のいい幻でないことを望むばかり。
バンッ!!!(扉開
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??
思いっ切り扉を開ける。勢いよく開けたせいで大きな音が鳴り、教室の中にいた全員がこっちをみる。
何か言われているが一切耳に入らない。今の俺の目には彼しか見えていない。
けど、彼の驚いた顔を見て
はっとして、頭が冷静になってきた。
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そこまで気づいて、途端に不安がこみ上げてきた。
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どうなってしまうんだろう。
いいや。覚えているはずだ
だってこんなにずっと会いたかったんだから!
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不安になりながらも声をかける。
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??
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それは、かつての呼び名
尾も白い俺たちのーー
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安心したら涙が止まらなくなった。物心ついた頃からずっと会いたかった。
誰も味方が居なかった。辛くて苦しい世界でずっとひとりぼっちだと思ってた。
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久しぶりに会った友人の手は暖かかった
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大きな目を更に丸くして満面の笑みで告げられる。
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この世界にずっとひとりぼっちだと思ってた
でもNakamuに会って確信した。
俺と同じで、皆転生している。
また、会える!
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ああ、これからは忙しくなる。ようやく人生に希望が見えた。
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楽しみだ。
作者
作者
作者
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