殺し屋として、兄弟として

ゆあんくん

どこにいるのかもなにをしているのかも わからない

それに…あのゆあんくんがスマホを 家に置いて出ていった

探そうにも全く検討がつかない

なにかないかともう一度 ゆあんくんからの手紙を読み直してみる

じゃぱぱへ しばらく家を留守にします。 強くなって帰ってくる。 いつ帰れるかわからないけど じゃぱぱにはしばらく仕事は せずに休んでてほしい。 生活費は俺が送るから。 絶対に俺のことは探しちゃ 駄目だよ。 ゆあん

生活費は俺が送るから

いつかゆあんくんから生活費が 送られてくる

それが送られてきた場所が わかれば…

ゆあんくんの居場所がわかるかもしれない

それから俺はゆあんくんから 生活費が送られてくるのを待った

あれから数日後

ゆあんくんから一通の封筒が届いた

その場で送られてきた場所を確認する

たった一つの頼みをなくして 絶望する

ﾎﾟﾀｯ…

封筒が濡れてる

雨が降っているわけでもないのに

今やっと気づいた

これは雨じゃなくて…俺の涙だった

両親を殺されて殺し屋としての 仕事に慣れてきてからは 一回も泣いていなかった気がする

それは…俺が知ってる範囲では ゆあんくんも一緒

いや…それからもゆあんくんは 泣いていたのかもしれない

俺の知らないところで…

それから俺は涙を拭って とあるところを目指して走り出した

俺は殺し屋の本拠地へ 押しかけて普段俺らが殺す奴らの 情報を収集しているボスのもとへ やってきた

仕事をするとなるとゆあんくんを探す時間は 減ってしまうが

もうなにも手がかりがない今、 ボスに頼るしかない

数日前

俺が上司だからか割とすぐ 教えてくれた

ボスが教えてくれた場所まで 全力で走る

探さなきゃ

見つけなきゃ

そして、見つけたら……

もう、絶対離さない

ゆあんくん

俺には君が必要だよ