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夏の午後。
蝉の声が、体育館の壁越しにジージーと響いている。
ここは、日本一と名高い中学バスケ部の体育館──
けれど、ステージの上には、 まだランドセルが大きく見えるような小さな少年が、 ちょこんと座っていた。
魅音
一ノ瀬 父
魅音は、足をぶらぶらさせながら、 コートを見つめていた。
一ノ瀬 父
一ノ瀬 父
〇〇
一ノ瀬 父
一ノ瀬 父
憂唯
一ノ瀬 父
魅音
魅音
憂唯
魅音
憂唯
一ノ瀬 父
一ノ瀬 父
一ノ瀬 父
黎翔
一ノ瀬 父
一ノ瀬 父
黎翔
一ノ瀬 父
一ノ瀬 父
悠斗
父は、この中学のコーチ。
元プロ選手としても名の知れた人物で、 いまは全国屈指の強豪校を率いている。
この日は母がいないため、魅音も練習を見に来ていた。
シュッ——
黎翔
魅音
悠斗
△△
悠斗
憂唯
悠斗
汗と熱気の中を駆ける声。
魅音は、その中でボールを持つ兄の姿を、 じっと見つめていた。
小さなバスケットボールを抱えながら、 何度も何度も、コートに視線を送って──
ピーーピーー
一ノ瀬 父
一ノ瀬 父
はーい
魅音
合図と同時に、ぽふ、と立ち上がり、 さっきまで兄たちがシュートを決めていたゴールの前へ。
その姿を見つけて、黎翔が笑う。
黎翔
魅音
〇〇
△△
悠斗
いつの間にか、 魅音の周りには中学生がたくさん集まっていた。
魅音
そう言って、魅音はちょこんと膝を曲げ、 小さな手でボールを持ち上げる。
△△
でも──当然、ゴールには届かない。
魅音
憂唯
いつの間にか隣にいたのは、憂唯だった。
憂唯
魅音
憂唯
憂唯
魅音
憂唯
黎翔
憂唯
憂唯
悠斗
黎翔
魅音
悠斗
魅音
黎翔
魅音
みんな
憂唯
魅音
魅音
魅音
ぽすん、と跳ねるボール。
もちろん、ゴールには届かない。
魅音
憂唯
魅音の顔が、パッと花開くように笑った。
魅音
一ノ瀬 父
魅音
ぴょん、と跳ねて走り出した──その瞬間。
魅音
つるんっ、と床で足を取られ、勢いよく転んだ。
一ノ瀬 父
すぐに父が飛んできて、しゃがみこんだ。
魅音
一ノ瀬 父
一ノ瀬 父
一ノ瀬 父
魅音
涙をこらえて、唇を噛む魅音。
一ノ瀬 父
優しく頭を撫でて、父が微笑んだ。
一ノ瀬 父
魅音
一ノ瀬 父
魅音
一ノ瀬 父
一ノ瀬 父
魅音
一ノ瀬 父
一ノ瀬 父
一ノ瀬 父
にこ、と笑って立ち上がる父の背中を見送りながら──
憂唯
魅音の隣に、もう一度憂唯が戻ってきた。
憂唯
魅音
憂唯
憂唯
魅音
魅音
その言葉に、憂唯は少しだけ照れたように笑った。
二人のやりとりを、そばで見ていた黎翔と悠斗が ふと目を合わせる。
悠斗
悠斗
黎翔
黎翔
悠斗
黎翔
──たったそれだけの、夏の一幕。
でも、
ちょこんと体育座りで笑う姿も、
泣かずに唇を噛んだあの表情も。
できたっ!って走り出す声も、
ちゃんと、みんな見ていた。
魅音が“愛されていた”こと。
憂唯が“守ろうとしていた”こと。
このときはまだ──誰も知らなかった。
この優しい時間が、 いずれ“壊れてしまう”ことなんて。
未来に生まれる歪みの気配さえ、 この夏の光の中には、なかった。
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