???
『片割れ…命…空…笑顔…』
ナレーション(タガタ)
今日も、響き___
???
『はーい』
タガタ
駆け抜ける___
???
『聞き…って…すか?』
タガタ
今日も、ノイズ___
ナレーション(タガタ)
俺は知っている。あの日、とき戻しされたことを。それはさほど重要じゃないんだ。
ナレーション(タガタ)
''真依ちゃんがイミゴになったから''
真依
ほらクロ!シロ!転ばない様にね!
クロ
はーい!
シロ
はーい!
悠真
おい、イミゴ
ナレーション(タガタ)
''悠真が生きたんだ''
真依
ん?悠真どうしたの?
ナレーション(タガタ)
''俺の邪魔となった男の子''
悠真
お前を救う。この神社から、この立場から。
真依
何言って…
悠真
お前…。知ってんだよ。オレと双子で、憧れを抱いてんだろ。だから、我慢させるくらいなら俺が救う
ナレーション(タガタ)
やっぱりだ。どちらかが片割れに同情して、2人消えて行く。どうして何だ?俺から離れていくのは…俺が悪いのか?
真依
悠真、やめ___!
悠真
い、イミゴ?
タガタ
俺からイミゴを奪わないで?君は生者だろう。君は戻るんだ。この日常を壊すなら許さないよ
悠真
た、タガタ…
ナレーション(タガタ)
この世界にイミゴは必要なんだ。この世界からいなくなるのなら、俺は阻止する。これが正解なんだ。
タガタ
これで良いんだ。魂と永遠に…
ナレーション(タガタ)
今日も皆、鳥居で。
クロとシロは走り回り転んで、また走る。その繰り返しだ。イミゴと悠真くんは今日も言い合っている。
クロとシロは走り回り転んで、また走る。その繰り返しだ。イミゴと悠真くんは今日も言い合っている。
真依
悠真!それ私の羊羹!
悠真
へっ!とろいお前が悪い!
真依
もう!私の取らないでよー!
悠真
取れるもんなら取ってみろよ!
タガタ
……………
???
『片割れ…命…空…笑顔…』
タガタ
うっ…何だ?空?命?
ナレーション(タガタ)
俺は踵を返した。あの、悠真君の存在が痛かった。……突然、思ってしまった。イミゴも俺と同じ。それなのに、なぜ笑える?なぜ顔をあげられる?なぜ、なぜ___!
今までは聞けなかった。また犠牲を出すような気がしていた。彼女が不幸になってしまう気がした。彼女まで、''キボウマデ''消える気がした。そんな時、いつかの日の彼女の言葉が頭に浮かんだ。
今までは聞けなかった。また犠牲を出すような気がしていた。彼女が不幸になってしまう気がした。彼女まで、''キボウマデ''消える気がした。そんな時、いつかの日の彼女の言葉が頭に浮かんだ。
真依
タガタさんと一緒に、お母さん…四ツ目神を見守り続けます。
真依
不幸かどうかは私が決めるよ。何も知らないままでいたくない。
ナレーション(タガタ)
どれも全て、今の彼女が言った言葉じゃないかもしれないけど、俺の心を救ったのは彼女だ
その言葉に縋るようにまた、彼女へと足を歩める。
先程まで片割れと小さなことで言い合っていた彼女は、片割れを置いてどこかへ消えていた。
その言葉に縋るようにまた、彼女へと足を歩める。
先程まで片割れと小さなことで言い合っていた彼女は、片割れを置いてどこかへ消えていた。
タガタ
イミゴ?どこだい?
ナレーション(タガタ)
問いかけても声は聞こえない。
嫌な予感がした。
イミゴは、''忌み子となった娘''なのだ。なら…
嫌な予感がした。
イミゴは、''忌み子となった娘''なのだ。なら…
タガタ
愛情…嫌だ…嫌だ嫌だ!!
ナレーション(タガタ)
…どれくらい経っただろう。
日は沈まないが結構な時間絶望し、へたり込んで泣いてた気がする。
俺の気持ちは沈んだまま、彼岸の庭に行った。
日は沈まないが結構な時間絶望し、へたり込んで泣いてた気がする。
俺の気持ちは沈んだまま、彼岸の庭に行った。
真依
あ、タガタさん!
タガタ
!?
どうして…どうしてこんな所にいるんだ!!
どうして…どうしてこんな所にいるんだ!!
ナレーション(タガタ)
俺は何を言ったのか分からない。
でも、何故か不思議と怖さを感じなかった。
___そして、気が付いたら。
でも、何故か不思議と怖さを感じなかった。
___そして、気が付いたら。
真依
タガタさーん!
タガタ
ん?
真依
聞きたいことってなんですか?
ナレーション(タガタ)
…あぁ、怖くなかった理由は、彼女が俺の心を読んだように言った、あの言葉のおかげだ。彼女が俺の勇気の源だったんだ。なら…今なら、許してくれるよね?
タガタ
…君はどうして''心から''笑えるの?君もわかっているのだろう?俺も君も、片割れの命で生きていた。それを知っている。だから俺は空の笑顔しかできない。でも君は心から笑っている。とうしてなんだい?君は、わかっていて、なぜ…
ナレーション(タガタ)
分かった。ノイズで心がぼやけていた言葉。…彼女は傷付いただろうか。いや、呆れたのだろう
真依
…確かにわかってます。彼の死で私が生きていたことも、あの日、彼が時戻しを行う際にタガタさんが私と悠真を気絶させたことも。
ナレーション(タガタ)
彼女はわかっていた。俺の罪すらも、行動も。…海のような、広い心を持っている彼女は。
タガタ
…!?
なら、どうして…
なら、どうして…
真依
それはこっちのセリフです。どうして気絶なんか…
タガタ
だってあのままじゃ君は行ってしまう。俺はイミゴ以外いらない!…真依ちゃんは悠真君の代わりにイミゴになった。でも悠真君は2人とも助かろうとしていた!
真依
…いつ、私が行くなんて言ったんですか!?確かに、また見てみたいと思ったこともあります!でも今の生活を手放したいなんて思ってない!悠真の行動とタガタさんの思いで私の感情を書き換えないでください!
ナレーション(タガタ)
彼女は''特別''だった。
四ツ目神にも捕まらず、綺麗で純粋な心、眩しい瞳を持っていた。
俺はイミゴを力ずくで引き寄せ、抱きしめた
四ツ目神にも捕まらず、綺麗で純粋な心、眩しい瞳を持っていた。
俺はイミゴを力ずくで引き寄せ、抱きしめた
タガタ
俺は、誰でも良いんじゃない
イミゴが良いんだ
「佐原真依」じゃなくて「イミゴ」
でも君が言ったら俺はもう、笑みを浮かべないだろう。
君には離れて欲しくないし、この細い腕で俺を掴んでて欲しい
でも君が行くくらいなら
そう思ったんだ
イミゴが良いんだ
「佐原真依」じゃなくて「イミゴ」
でも君が言ったら俺はもう、笑みを浮かべないだろう。
君には離れて欲しくないし、この細い腕で俺を掴んでて欲しい
でも君が行くくらいなら
そう思ったんだ
真依
っ…!!
だから、ちゃんと私を見てください!!
だから、ちゃんと私を見てください!!
ナレーション(タガタ)
イミゴを顔を引き寄せられ、強く、眩しい瞳を見つめた。
イミゴは泣いていた
俺まで泣いてしまいそうなくらいに
イミゴは泣いていた
俺まで泣いてしまいそうなくらいに
真依
私は行きません!!
タガタさんのそばに居ます!
どれだけ罪を重ねても、時が経っても、隣にいます!
私を信じてください!!
タガタさんのそばに居ます!
どれだけ罪を重ねても、時が経っても、隣にいます!
私を信じてください!!
ナレーション(タガタ)
彼女の光のような言葉に、何度救われただろう
何度心惹かれただろう
どれだけたっても届かない
どれだけ考えても、答えなんて出てこないのだ
何度心惹かれただろう
どれだけたっても届かない
どれだけ考えても、答えなんて出てこないのだ
タガタ
っ…
ごめん
信じる
君は離れないと、裏切らないのだと思っていて、今日裏切られたと思った。でも裏切ったのは俺なんだな…
ごめん
信じる
君は離れないと、裏切らないのだと思っていて、今日裏切られたと思った。でも裏切ったのは俺なんだな…
ナレーション(タガタ)
彼女に嫌われても、呆れられても、俺が親であることは変わらないのに
裏切ったのは俺だった
裏切ったのは俺だった
真依
分かったなら良いんです…!
ナレーション(タガタ)
泣きながら俺の胸元に顔を埋める
俺はまた罪を重ねてしまった
でも彼女は許してくれたんだ
…そして、本題に戻ろうと顔を上げ息を吸う彼女を俺は見つめた
俺はまた罪を重ねてしまった
でも彼女は許してくれたんだ
…そして、本題に戻ろうと顔を上げ息を吸う彼女を俺は見つめた
真依
ある日、悠真が夢で言ってました
悠真
心から笑え。
心から叫べ。
気持ちを押し殺すな。
未来はお前の存在で変わるんだ
心から叫べ。
気持ちを押し殺すな。
未来はお前の存在で変わるんだ
真依
確かに夢だったけど、本当に言われてる気がしたので実行してるんです
タガタ
……………
真依
心から笑い、心から叫ぶ
ナレーション(タガタ)
そして彼女は、凛とした空気を壊すように息を吸う
真依
今を楽しむぞー!!
悠真は私の分まで幸せになるんだ!
私は悠真の分まで楽しむんだー!!
…そう、心の中で叫びました。
悠真は私の分まで幸せになるんだ!
私は悠真の分まで楽しむんだー!!
…そう、心の中で叫びました。
タガタ
……………
真依
それだけで心がほっとするんです
私は死んでて
でも悠真は生きてて
それだけで嬉しくて、同時に泣きたくなる
だから笑えるし、泣けるんです
私と、悠真と、タガタさんと、クロと、シロが、笑えて泣ける。
私は死んでて
でも悠真は生きてて
それだけで嬉しくて、同時に泣きたくなる
だから笑えるし、泣けるんです
私と、悠真と、タガタさんと、クロと、シロが、笑えて泣ける。
真依
私は、強がって大人のフリして
でも本当は寂しがり屋で
色々な事を教えてくれた
お父さんみたいな神様と
照れ隠しで酷いこと言うけど
でも姉思い
いじられるとすぐ拗ねる弟と
悪戯好きで人懐っこい男の子と
お人形さんみたいで可愛い女の子と
見たことは無いけど優しい両親と
私の周りに、愛してる家族がいるから泣きたくなるし、ありがとうって叫びたくなるんです。
でも本当は寂しがり屋で
色々な事を教えてくれた
お父さんみたいな神様と
照れ隠しで酷いこと言うけど
でも姉思い
いじられるとすぐ拗ねる弟と
悪戯好きで人懐っこい男の子と
お人形さんみたいで可愛い女の子と
見たことは無いけど優しい両親と
私の周りに、愛してる家族がいるから泣きたくなるし、ありがとうって叫びたくなるんです。
タガタ
………
ナレーション(タガタ)
あぁそうだ
この答えだ
だから縋ってたんだ
今の彼女は俺のイミゴだ
前のイミゴは居ないけど
今のイミゴは俺の娘だ
許されないとわかってるけど
言いたいんだ、今すぐに
彼女なら家族という関係を壊したい
この答えだ
だから縋ってたんだ
今の彼女は俺のイミゴだ
前のイミゴは居ないけど
今のイミゴは俺の娘だ
許されないとわかってるけど
言いたいんだ、今すぐに
彼女なら家族という関係を壊したい
タガタ
もう、馬鹿だなぁ
悠真君は兄だよ
君が生まれた時代は、下の子が兄だからね
クロは俺達にしか懐かない
シロも同じだ
ご両親は…優しそうだね。
すっっごい妬ける
…それに俺は、君といる時だけ我慢してるんだよ?
教えてないことも、見せてない一面も、まだまだ、ね
悠真君は兄だよ
君が生まれた時代は、下の子が兄だからね
クロは俺達にしか懐かない
シロも同じだ
ご両親は…優しそうだね。
すっっごい妬ける
…それに俺は、君といる時だけ我慢してるんだよ?
教えてないことも、見せてない一面も、まだまだ、ね
ナレーション(タガタ)
その後、俺はイミゴの頬をつついた
やっぱりイミゴだ、と改めて感じた
イミゴは拗ねたが、俺はまた、イミゴを力ずくで抱きしめた
やっぱりイミゴだ、と改めて感じた
イミゴは拗ねたが、俺はまた、イミゴを力ずくで抱きしめた
ナレーション(タガタ)
今の日常を、もう1人の相良は許さない。