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33
芙月みひろ
248
#ソフトバンクホークス
さくら
90
kty(ちけっと!、nrkr)
1,923
ヴァローナ
ローゼ博士
テレビ局の前。 ヴァローナとローゼは、互いに足を止めた。 思いがけない鉢合わせに、数秒の沈黙が落ちる。
ローゼ博士
ローゼの声は低い。 今朝のヴァローナの態度を、未だに許していないらしい。 ヴァローナは口を開きかけて、閉じた。 何かを言おうとしている。 けれど、言葉を選び迷っている様子に、ローゼの眉間へ皺が寄った。
ローゼ博士
ヴァローナ
ローゼ博士
ヴァローナ
勢いよく投げつけられた鞄を、ヴァローナは咄嗟に受け止める。 ローゼはそのまま振り返ることなく、テレビ局の中へ入っていった。 荒げた声と物音に、通行人たちが足を止める。 何事かと向けられる視線。 けれど、ヴァローナは気に留める余裕もなく、 閉じていく扉を見つめていた。
ヴァローナ
ヴァローナ
メルシィの放送事故からずっと、ローゼの機嫌が悪いことには気付いていた。 どうしたの、と聞いた。 けれど返ってくるのは、ヴァローナ自身の身の回りについての質問ばかり。 非公式の場とはいえ、勝手に婚姻関係を口にしたから怒っているのかとも思った。 しかし、あの場ではあれが最善策だった。 ローゼも、それ自体を責めているわけではないらしい。 なら、何がいけなかったのだろう。 洗剤が合わないのかと思った。 だから、アイドル・ソルトがPRしている洗剤に変えた。 ボディソープも。 リンスも、シャンプーも変えた。 布団も変えた。 思いつく限り、色々と試した。 けれど。 どれも違った。
ヴァローナ
声が、閉まりゆく扉の前に取り残される。 ヴァローナはそこから動けなかった。 やがて、不意にその場へしゃがみ込む。
ヴァローナ
腹部を押さえる。 おかげで、妊娠したことも伝えられていない。
ヴァローナ
ヴァローナ
無意識に零れた声は、地面へ落ちる。 僅かに震えていた。 今までの記録を遡る。 自分が持つ知識を探る。 何度考えても、答えが見つからない。 どの知識にも。 どの書物にも。 今のローゼに、どうすればいいのかは載っていなかった。
コメント
1件
やっと言葉を交わせたと思ったら、あれだけ言われて投げられた鞄…胸が締め付けられました。ヴァローナが洗剤から布団まで全部変えて「何が違うんだろう」って試行錯誤してる姿がもう、切なくて。最後の「ローゼ、嫌いになった?」が地面に落ちるシーン、じんわりと心に残りました。知識じゃ答えが出せない悩み、すごくリアルでした。