ぼーっと生きていた
何もかもが思い出せず毎日イライラしていた
そんな人生ももうそろそろ終わり
体力が衰え
目もあまり見えず
寝ている日が多くなり
いつ目が覚めない日が来てもおかしくはない
みゆき
善一
みゆき
善一
ある夜のこと
善一
善一
何故か急に思い立って
花屋に向かっていた
その時だった
???
???
おかしいこんな街中に電車なんか来ない
そう思っては見たが男は確かに車掌服を着て帽子を目深に被っていた
善一
???
善一
???
善一
???
???
断ろうとと思ったが
吸い込まれるように電車に乗り込んだ
見た目はただの電車だ
乗客は善一のみ
車掌
車掌
善一
善一
アナウンスがおかしい
電車が止まった瞬間窓を見ると
善一
善一
どこか懐かしい
男女が映っていた
赤ん坊の鳴き声が聞こえる
母親
父親
母親
愛おしげに赤ん坊を二人は撫でた
善一
空いた心のピースが少し埋まった
善一
父は戦争に行き
死んでしまう筈だ
善一
車掌
また窓を見た
善一は川辺で遊んでいた
???
音程の外れた下手くそな歌が向こうの川岸から聴こえた
善一
歌の主が誰だかもわからなかった
でも何故か心のピースがまた少し塞がった
車掌
善一
心臓が大きく跳ねた
きっと、大切な思い出の筈だ
コメント
33件
すごいなぁ。自分もいつかこんな風に書けるようになりたいなぁ。