ギッ・・・ギシッ、ギシッ・・・
吐息混じりのベットの上は、音を立てて揺れている。
身体は充たされるのに、心は充たされない行為。
申し訳程度の前戯や、目線で理解させられる。
この交わりに愛なんてない。
いつからか、声なんて、なんだか怖くて出せなくなっていた。
終盤の火照りきった身体とは裏腹に、頭の中は虚しさで冷えきっている。
それでも体は正直に反応して、
息がどんどん荒くなってくる。
下唇を噛み、一瞬の快楽が過ぎ去ると、身体も冷めてくる。
すると、腹の中に生温い液体が注がれた。
ふと思い出す。
あぁ、そういえば、ゴムつけてくれてなかったっけ。
最初のときはつけてくれてたのに。
そのまま寝てしまった貴方を尻目に、シャワーを浴びに行った。
いつも同じラブホなので、シャワーの設定も結構慣れてきた。
汗を流したあとに、こうして中に出された精液の処理をしなければいけないのも、
私が大切でも特別でもなんでもないからなんでしょう。
私には貴方だけしかいないのに。
貴方にとって私はキスをするほどの仲でもないんですよね。
散々利用してきても、都合よく扱われても、私は貴方が、。
こんなこと考えるのは、寂しくて、悲しい。
貴方にとっての特別になれないのなら、いっそのこと貴方のことが嫌いになりたい。
でもそれは無理な話なんです。
それでも身体だけは求められるのが、やっぱり少しは嬉しく感じている。
辛いけれど、嫌ではない。
見せかけでも愛されてると思いたいものなんですよ。
服を着て、音を立てないように隣のベッドに入る。
寝返りを打つと、既に眠ってしまっている貴方の顔が見える。
この時間だけは貴方を独占できているようで、
でも、他の人も、何度も見ているんでしょうね。
眺めていると、貴方の口が開いた。
また、別の人の名前を呼んでいる。
今日、一度も私の名前を呼んでくれませんでしたよね。
私だって馬鹿じゃないんですから、知っています。
どんなに頑張っても、私は貴方の二番目にもなれない。
でも、私は貴方に尽くします。貴方に従います。それじゃ足りないですか?
貴方はあんなに私から奪ったのに、まだ足りないですか?
私じゃダメですか?
なんて。
怖くて声に出せないようなんじゃ、ダメに決まってますよね。
終
日本国民
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コメント
5件
ああ〜おいしい。 こーゆーのも悪かぁない!! 素敵な作品ありがとうございます。