声が出なくて、
苦しくて
喉の奥が痛くて
胸がきゅーっとなる
それから、目頭が熱くなってじわじわと涙が出そうになる。
界 雫
終わってしまった
誰にも、言えないまま_
佳代は知っているのだろうか。
樹がトマト苦手なこと。
佳代は知っているのだろうか。
樹が寝相悪いこと。
佳代は知っているのだろうか。
樹が泣き虫だったこと。
知るはずもない。彼はあなたに弱みを見せたがらないから...
界 雫
私は知ってたよ。
ずっと前から佳代に恋していたことも。
全部知ってた、わかってた。
なのに、、なんでかなぁ......
界 雫
_なんて、言える立場じゃないのに。
色々な気持ちが込み上げてきて視界にモザイクがかかる
あ......やば、、
界 雫
真田 佳代
界 雫
その言葉を聞いて安堵の息を漏らす佳代は、
華やかな白いドレスがとてもよく似合っていた__
真田 佳代
界 雫
真田 佳代
界 雫
そうだ、知らなくていい
彼女は知らなくていい
ただこのまま、平和に暮らしてくれればそれでいい_
いつか_私の知らない樹を、あの子は知るのだろう
界 雫
こんなに辛いなんて、思わなかった。
いつかこうなると、頭ではわかっていたのに。
こんな想いするくらいなら...こんな気持ち、、
界 雫
知らなくてよかったのに。
こんな気持ち...私は、
界 雫
???
界 雫
聞き慣れた声に顔を上げるとそこには
もう誰も居なくて_
ただ、春の香りとハンカチだけが漂っていた。
界 雫
どうして...あの人はいつも、、
界 雫
急いで額の雫を拭き取って、私は歩き出した。
そして、並んだ2人に向き直る
界 雫
界 雫
真田 佳代
真田 佳代
真田 樹
真田 樹
界 雫
界 雫
界 雫
真田 樹
真田 佳代
真田 樹
真田 樹
界 雫
紅く染まった二人を見てやっと...
やっと吹っ切ることができた気がした
界 雫
界 雫
これは本心だ
真田 佳代
真田 樹
界 雫
20XX年 11月 30日 土曜日
本日、結婚式日和である。
終わり