こさめ
…ッ…
みこと
…俺を殺そうとしてた?
その声はいつにも増して低い。
包丁を持った手首が強く握られる。
痛かった。
こさめ
ッうるさい…
今にも泣きそうな声で
こさめ
うるさいうるさいうるさいッッ!
そう叫んだ。
彼の黄色い瞳がひかる。
いつもとは違う、鋭い目つき。
正面から睨め付けるが、 おれが負けた。
みこと
…なんでそんなことすんの。
低い声。 俺の心を突き刺す。
こさめ
だってッ…、!
勝手な、思い込み。
こさめ
…どうせおまえもっ、
こさめ
自殺すんだろッ!?
みこと
え…?
こさめ
こさめが好きになった人、はっ!
昔好きだった女の子も、みなとくんも 友達として好きだった人も
こさめ
全員自殺したッ!
飛び降りたり、首吊ったり、
こさめ
こさめは、ッこさめはぁッ、!
もう見たくない。
こさめ
もうこれ以上ッ!好きになった人の…
…こさめがすきなのは、
こさめ
自殺する姿を見たくないっ!!!!
みことくんだったんだ。
こさめ
なら、先にッ…死んで……
両手には、力がなくなる。
両目からは涙が溢れる。
こさめ
…エグッ……うぅッ…
みこと
…
みことくんは黙って俺を見つめた。
包丁はただこさめの手に握られていて
これ以上力を抜けば落ちてしまいそう
みこと
本音は?
こさめ
…ッ…いなくならないで…
暖かい手が、
みこと
うん。
細長い指が、
こさめ
…ずっと、こさめといてッ……
優しい瞳が、
みこと
ずっと一緒。
甘いその声が、
こさめ
……死なないでッ……
愛おしい全てが、
みこと
死なないよ。
何故か、おれが
好きになってしまった。
絶対に、ありえなかったのに
心が何故か満たされた気がして、
また涙が溢れた。
自分の気持ちに蓋をして
自分の心をひたすらに閉ざして
こさめ
…だいすき
大切な人に、
みこと
俺も大好き。
後悔をー。
こさめ
…ごめんね、もう部屋、戻るね…
みこと
うん。おやすみ。
こさめ
…ッ!
こさめ
おやすみっ!
みこと
(…バレたかと思った…。)
みこと
(リスカ…辞めなきゃって思ってるんだけどなぁ)
みこと
(…俺も線路で自殺しようと思ってたし…おにぃとおなじだなぁ…)
みこと
っぁあ…
考えなおそ。